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2026.07.10

代表コラム

油外放浪記 最終回 第212回 「大口叩いた者が勝つ」

5月も最高益

まずはいつものように、当社が運営するSSの実績報告です(表1) 。

イラン戦争の動向を気にしながらも、とりあえず5月もガソリンの供給が途切れることはありませんでした。前年同月と比較すると、燃料油は販売量・口銭ともに減少しました。しかし、油外が1,000万円増収して2億2,700万円(8店合計)、おかげで営業利益は340万円増加の3,300万円。ともに5月の最高益です。

伸びたのは、車販とレンタカーです。
車販は、小売り・業販ともに大きく伸びました。小売りが伸びたのは、車販担当者の頑張りでしょうが、中古車在庫を増やしました。前年と比較すると、50台増の630台を、カーセンサーやグーネットに掲載しました。奇しくも増やした分だけ、小売り台数が伸びました。

業販では、5月も大量のレンタカーをAA(オートオークション)に出品しました。売却台数は昨年より25台多い62台。保有台数は昨年より12台少ない601台。それでいて、レンタカー売り上げが680万円増加の6,590万円。
つまり、1台当たり売り上げが伸びたわけです。

車検の販売チャネルに異変

車検がなかなか復調しません。5月もマイナス231台、マイナス460万円です。
車検の受検期間が2カ月間に延長されたので、3月満了車検を大量に1月に前倒し入庫した結果、肝心の3月になって、車検客があまり残っていなかったという失敗談を前々回で述べました。

これが4月に尾を引き、5月もマイナス。3月の後遺症がここまで残るのか? 疑問に思い、チャネル別の入庫台数を分析してみました(グラフ1)。

入庫台数を減らしたのは「店頭での新規獲得」と「商圏内ミラーリング」です。どちらも本社の負担が大きい業務です(表2) 。

本社がサボったのか、方針変更したのか、それとも別の要因なのかは、確認していないので分かりません。しかし、ことミラーリングに関し ては、この4年間で外注配布員が25人減り、配布数が6,300件減り、入庫が100台減りました。

本社主導でSSを運営する利点とリスク

当社においてSS業務は、「本社とSSの二人三脚」ではなく「本社が主導しSSが従う」スタイルです。車検しかり、車販やレンタカーも同じです。

業務や手順はすべて本社が決め「上意下逹」します。SSはその徹底度合いが定量評価され、徹底できない店長は更迭されます。徹底するまでチェックされ続けると、やがて全店が同じ方向に進みます。

たとえば、昨年度より本社(SS運営本部) が注力しているのが「生産性の改善」です。活動の主体は店長です。最初は「生産性」の意味も意義もよく理解せず、トンチンカンな行動もありました。

しかしSSごとの生産性を本社が毎週チェックし、リモート会議で指摘するうち、「なるほど、人件費を上げずに粗利を上げればよいのだ」という理解ができ始め、結果が現れました(グラフ2) 。

2025年度は500~1,000円改善しています。
このように「上意下逹」方式は、短期間で優れた成果が出やすいと思います。しかし車検で示されたように、「親亀こけたら皆こけた」となるリスクもあります。

やむなく始めたレンタカー専業店

さて、前回予告どおり、インバウンド・レンタカーの話をします。その前に、当社がSS以外でレンタカー専業店をやる事に至った経緯から述べます。

当社が最初にSSでレンタカーをやってみたのは、2008年のこと。下取り中古車などを集めて仲町台SSでやってみたところ、直ちに月100万円規模のビジネスが出来上がりました。他の店でもやってみましたが、どこでやってもすぐ結果が出ます。
この結果をSS業界に発表したのが2008年秋、FC展開を始めたのが2009年春です。

当社は当時、4カ所のSSを運営していました。たった4カ所、うち2カ所は郊外の田んぼの多い立地です。レンタカー売り上げはすぐに飽和しました。「人」に負わず、看板を出せばすぐにお客様がつき、50%近い営業利益率が得られます。こんなおいしいビジネスを、たった4店でしかできないのはもの足りません。
他社のSSの軒下を借りたこともありました。ところがついつい車両台数を増やしてしまい、SS運営に支障が出ると追い出されてしまいました。

やむなく2010年、JR新横浜駅の裏側のビルの5階に「入居募集」の看板が出ていたので賃貸契約し、レンタカー専業店を出店しました。店からエレベータで1階まで降りて徒歩30mの場所に、2台分の車両待機場(出発・帰着スペース)を確保します。
駐車場はあちこち5カ所に分散して契約しました(スタッフは,折りたたみ自転車で駐車場まで車両を取りに行ったものです)。洗車場も別の場所(コンビニの裏)に借りました。

店、待機場、駐車場、洗車場が見事に離れた、非常に不便なレンタカー屋さんだったのです。しかし売り上げはたちまち月間800万円を超え、ニコニコレンタカーでは全国ナンバーワンとなりました。
…にもかかわらず、慢性的な赤字です。当時の客単価は8,500円ほどでしたが、車両償却費以外に家賃や人件費が重くのしかかります。これをレンタカー単体で賄うには無理がありました。

そこで目をつけたのが、空港前レンタカーです。多くの空港は郊外にあるので、地代も安いだろう、まとまった広い土地が確保できるだろう。そして、空港から来るお客様はレンタカーを借りる期間も長く、客単価も上がるだろうと期待しました。
全国探してやっと見つけたのが、新千歳空港に隣接するアウトレットモールの中。カウンターを設けただけで、まったくレンタカー屋さんっぽくありません。不安でしたが、空港のお客様は運転に慣れていて、客単価も高かったのは期待どおり。最初の夏は50台がフル稼働しました。

ところが私は、冬の北海道を知りませんでした。観光需要そのものが雪に閉ざされ、まったく商売になりません。雪に懲りた私は、九州に目を向けました。鹿児島、長崎、福岡の空港前に立て続けに出店。したのはいいですが、北海道の原野に比べると予想外にコスト負担が重く、期待したほどの利益は出ませんでした。

くれぐれも申し上げますが、レンタカーはやはりSSとの兼業が最も簡単で高収益です。20店、30店の直営SSをお持ちの事業者様が本当に羨ましい。

インバウンドに活路を見出す

東京オリンピックの誘致が決まった2013年頃からでしょうか、円安、ビザ緩和、LCC(格安航空会社)の拡大といった環境変化もあり、外国からの観光客が顕著に増えました。
「ひとつインバウンドに対応してみるか」ーーノウハウもコンサルタントの起用もありませんでしたが、「やってみなければ分からないことは、やってみよう」が当社の社是です。

やってみて問題にぶつかるたび、解決の手立てを探すーーこの繰り返しで当社は40年間やってきました。

2014年から空港店でインバウンド対応を始めました。最初は「とんだ会社に就職したものだ」と思っていたスタッフたちも、10年もやれば、概ね基本が身につきます。
そして2024年。コロナが終息し、インバウンド客が爆発的に増えました。
当社も新たなステージに進みます。

まずは空港店開発の専任部門を立ち上げました。コロナなどで閉鎖・休業していた成田空港店、関西空港店、羽田空港店を、より好立地に移転して再開。熊本空港にも出店しました。今年秋には福岡空港の国際線店も開業します。
なかには田んぼを埋め立ててレンタカー用地に転換するなど、かなりの出費もありましたが、幸いSSが高収益事業になったので、思い切った開発投資ができました。
これでレンタカー専業店は10カ所です。

次の課題は海外からの集客です。
世界中の関連業者に闇雲にアプローチしていますが、この4月、「ヨーロッパカー」というフランスのレンタカー会社と提携することができました。国内では当社が専属契約です。ヨーロッパカーを通じて世界中からの送客が始まりました。予想以上の集客力です。

インバウンド売り上げは、前期は1.6億円でした。今期は3億円の見通しです。10年後には20店、5,000台、10億円の営業利益を目指します。

最後に

38歳でSSの販売促進会社を立ち上げ、47歳でSS実店舗の運営に携わるようになった私ですが、今年78歳です。
専門分野である「マーケティング」という息吹をSSに注ぎ込むことにより、どのような変化がもたらされるだろうか?
最初はその実験店という位置づけでSS運営を始めました。やがてSSが有するポテンシャルに気づき、「年間5,000万円以上の営業利益を生み出すSS業態を創ろう」と大見得を切ったのが2014年。

いろいろ苦労しましたが信念だけは曲げず、ようやく2024年になって、8店で5億円の営業利益が出るようになりました。
「大口叩いて実現しなければ恥ずかしい。だから火事場の馬鹿力が出る。だから成功確率も高まる」これが私の信条です。そういう意味で「月刊ガソリン・スタンド」誌の誌面をお借りできたことは、私にとってこの上ない幸せでした。そう、インバウンド・レンタカーも、必ず成功させなくてはならなくなりました。

さて、直営SSについては、そろそろ私が口うるさく言わなくても、若者たちが自ら目標意識や問題意識を持って業務に当たるようになってきました。直営SSのマーケティング活動から、私は身を引きます。

そういうわけで、「油外放浪記」の連載も今回で終了です。
18年間の長きにわたり、当社のSSの顛末にお付き合いいただいた読者の皆様、本当にありがとうございました。皆様の今後のご健勝をお祈り申し上げます。さようなら。

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