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2026.05.10

代表コラム

油外放浪記 第210回「よりによって、3月に車検が大失速!そのワケは?」

連勝記録が69でストップ

3月は、車検も車販もレンタカーも需要が増大する、一大「稼ぎどき」です。
いつものように、当社のSSの実績を見てみましょう(表1)。

営業利益が、とうとう前年割れしてしまいました。前年同月を300万円近く下回り、6,800万円(8店合計)。
コロナ危機が解消して以降、69ヶ月間連続して前年を上回っていた油外粗利も、とうとう足踏みしました。奇しくも「69連勝」は、戦前に活躍した大横綱、双葉山関の連勝記録と同じです。古い話で恐縮です。
いずれにせよ、油外の需要期に油外が奮わなかったのは、大誤算です。

こんな時こそ騒がず冷静に

こともあろうに、車検が大減販しました。
前年と比較すると、入庫台数が533台減、粗利が2,100万円減。2月をも下回る「あり得ない」事態です。
どんな商売も、いつかは天井に達し、衰退していくものです。しかし車検は法定需要であり、ここまで急激な落ち込みは考えられません。原因は「外」ではなく「内」にあると思われます。
まずは1~3月に実施した、車検キャンペーンを振り返ります。

(表2)に見るとおり、今年の計画は前年実績に対して、台数は2%、粗利は7%上乗せしたものでした。
1月、絶好調でスタート。前年実績を139台上回りました。
2月も計画をクリア。順調に推移していると楽観しました。
ところが3月、大きく失速。計画を560台も下回ってしまいました。当然、粗利も大幅未達。

SS別に見ると、計画台数をクリアしたのは1店のみ。粗利は全店未達。
目を疑います。いったい何があったのか? しかも突然に? 揃いも揃って?
真っ先に思ったのは、「生産性の改善」プレッシャーです。当社のSSでは、2年前から「生産性の改善」を重点テーマとしていますが、今期は労働投入時間を増やさずに生産性を伸ばしているのです(グラフ3)。

当社の方針は「必要な経費はどんどん使え、そしてかけた経費以上に稼げ」というものです。もちろん無駄な時間のカットならばよし。しかし生産性指標を改善するために、安易に時間カットに偏重しているのではないかと疑いました。
3月は車販のキャンペーンも同時開催しましたが、それもあって、車検に必要な行動量が大きく不足したのではないか。もしそうなら、縮小均衡に向かう誤った生産性改善です。

薄々懸念していたことが、とうとう現れたか?
ただしこれは仮説の一つです。迂闊に口にすれば、彼らのモチベーションに関わります。
私は黙って原因究明に勤しみます。

車検キャンペーン大失敗の巻

思いもよらないところに、原因を発見しました。
当社が展開した「車検の早期実施」企画が、反作用を起こしたのです!
車検の実施期間が「満了日までの2ヶ月間」に延長されたことは、皆様ご存知でしょう。
そこで当社は3月車検のお客様に「早期入庫2,000円割引」と銘打ち、1月に3月満了の車両を大量入庫しようと考えました。
果たして1月、3月車検を297件入庫しました(グラフ4)。昨年は0だった入庫です。

ところが、本来実施すべき1月車検を、昨年は935台実施したのに対し、今年は670台しか実施しませんでした。
何のことはありません。1台当たり2,000円のコストを使って297台の3月車検を前倒しで実施したら、そのシワ寄せで、1月車検を265台減らしたということです。

ならば3月は、5月車検を前倒しすればよかったのに、ということですが、キャンペーンは3月まで、つまり2,000円引きも3月まで。3月に入庫した5月車検は、160台止まりでした。

策士、策に溺れる

そもそもこの企画は、「3月のキャパオーバーによる機会損失を回避したい」との思いから始めました。
(表5)は過去4年間の1~3月に受注を「お断り」した件数です。

2023年、2月~3月に70件近い機会損失が生じました。「もしも受注していれば、キャンペーンが大成功したのに」と、販促担当者は相当悔しい思いをしました。

そこで各店の作業時間枠を増やすなどキャパ拡大策を実施します。その結果、2024年は「お断り」が半減しました。 それでも「2月3月はキャパオーバーするものだ」というイメージは、強烈に残ったまま。

そして2026年、「車検の早期実施作戦で機会損失をゼロにしよう」との企画に、みんなが期待を寄せました。 ところが蓋を開けてびっくり。1月2月に、半端ない件数を「お断り」していたことが判明しました。
フルコースに例えると、1月に前菜もそこそこにメインディッシュにがっついてしまい、肝心の3月には残飯しか残っていなかったという有様です。

今日の活動が将来にも積み上がる「ストックビジネス」

気を取り直して、3月実績を振り返ります(表1)。
車検の大失敗を尻目に、レンタカーの堅調さが浮き彫りとなりました。
8店合計で728台を用意し、収益9,200万円。前年比600万円の増収です。

計画どおりに車をラインナップすれば、計画どおりに収益が上がる。きわめて計算しやすい商材です。この収益を支えるのは、日常利用していただくリピーターの存在です。これが年々増加する。一般に油外販売は、毎月「ご破算」してゼロから数字を積み上げていきます。これに対し、燃料油やレンタカーは、リピーターの蓄積が販売量を下支えし、これに新規客が上積みされます。

ただし最近は、自動車市場の頭打ち、低燃費車の普及、通信の発達やモビリティの多様化などの理由から、往年の燃料油増販ロジックが崩れてしまった感があります。そこで新たなストックビジネスとして当社が注目しているのが、自動車保険です。

自動車保険がようやく事業化

保険の見込客を見つけ、商談し、数表やグラフ満載のツールを駆使し、苦労して新規契約に漕ぎつけたとして、得られる粗利は15,000円くらい。とても生産性が合わないと、当初、私は自動車保険の取扱いを敬遠していました。
これがストックビジネスだと気づいたのが10年前、2016年です。毎年90%以上が更新していただけるので、今日の商談が半永久的な収益となることを知らされました。

なるほど。仮に、毎月100件の新規契約を獲得するとして、年間1,200件。10年間頑張れば、更新率を勘案しても、保有契約数は1万件となります。手数料収入は年間1.5億円。20年間やれば3億円・・・。
という皮算用を胸に、社内に保険推進部門を立ち上げました。

あれから10年経ちました。3月時点の保有契約数は7,512件です。
月間200件の新規契約が獲得できるまでに成長しましたが、年末まで累計した予測は9,000件くらい。1万件に達するのは、1年遅れの2027年となりそうです。当社の保険事業は、SSとは独立した新規事業として運用しています。SSと連携して見込客情報を仕入れ、セールスや更新手続きなどを実施。その収支概要を(表6)に示します。
10年やって、いっぱしの利益を生む事業となりました。

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