インフォメーション

INFORMATION

  1. INFORMATION
  2. 油外放浪記 第207回「車検の販売促進策をCPOで評価する」

2026.01.10

代表コラム

油外放浪記 第207回「車検の販売促進策をCPOで評価する」

1店当たり年間営業利益7,500万円が見えてきた

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年の業界トピックスは、何といっても暫定税率の廃止でしょう。市場動向を注視しつつも、あまり振り回されず、今年も「油外放浪」に勤しむ所存です。

原稿執筆時点で、昨年11月の、当社のSS実績がまとまりました(表1)。

営業利益は3,580万円(8店合計)でした。前年より330万円増加し、月次記録の連続更新は伸び続けています。
燃料油粗利が500万円減少し、経費が1000万円増えましたが、油外は1,800万円増加しました。

当社の会計年度は7月からですが、11月までの累計利益は2.3億円となります。このペースだと、今期の利益は6億円を超えるかもしれません。1店当たり7,500万円、伸び率125%、期待膨らむ新年となりました。

レンタカーが絶好調車販にも貢献

油外に目を向けてみましょう。
安定的に2億円を超え続けています。車検粗利が300万円減少しましたが、車販とレンタカーが頑張りました。

特にレンタカーは、11月にもかかわらず、637台で6,580万円を売り上げました。前年から81台増やし、車両原価は570万円増となりましたが、売り上げは980万円増えました。

季節による需要変動に左右されなくなってきたのは、旅行や観光客をターゲットとせず、地元のユーザーに支えられているからです。半径5km圏くらいから、コンスタントに新規客を集客し、リピート客が蓄積しています。
レンタカーをネット上に陳列しておけば予約が入ります。店がマネジメントするのは、車の整備と清掃だけ。本当にラクです。

次に車販です。少し持ち直してきたでしょうか。
中古車市場が高騰しており、計画どおりにAA(中古車オークション)から仕入れることができていません。・・・にもかかわらず、車販担当者はよく頑張りました。車販はセールススキルが肝なので、育成に時間がかかります。

仕入れ不足は業販にも影響しました。しかし当社には、レンタカーとして1年間ほど運用した、高年式の良質な中古車在庫があります。11月はレンタカー32台をAAに出品し、1,079万円の売却益を生みました。
先に、レンタカーを年間81台増車したと述べましたが、実際には1年間で300~400台を売却しますので、この減車分「プラス81台」の新車を仕入れた勘定です。

レッカー事業が採算に乗ってきた

以前、本稿で仲町台SSの全面道路を挟んだ向かいに開設した中古車買取店の、紆余曲折をご紹介しました。
「商品車」となる中古車を買取る事業です。たちまち当社のドル箱事業となりました。
ところが環境が変わり、ジリジリと「お荷物」事業に転落します。ついに将来の見通しが立たず、組織は解体。店は仲町台SSに吸収しました。

さて、ここからの主役は、買取店から仲町台店に異動させられたH君です。
SS業務に携わりつつも、買取案件があれば、いの一番に駆けつけ、商談します。するとそのおかげで、仲町台店は年間数千万円の利益が上乗せされたのです。

いったいどういうことでしょう。彼の提言はこうです。
「『廃車』需要は、まだまだ眠っています。『商品車』にこだわるのをやめ、『廃車買取』専門店にすれば、独立採算でやっていけます」ー。
ピンときませんでしたが、彼が挙げた実績は確かです。そこで再び店を分離独立し、彼を新店長に据えたところ、年間5,000万円を超える利益を生み出すまでに成長しました。

次に、H店長は「レッカーサービス」事業の立ち上げを会社に提言します。私は了承しました。
レッカー車を手配し、ドライバーを確保し、緑ナンバーを取得するのに2年かかりました。損保会社営業やWEB告知を始めたところ、今期に入り、レッカー出動が著しく伸びています(グラフ1)。

平均単価も上がってきました。出動1回当たり、前期は1万3,000円、今期は1万6,000円。「まもなく2万円になります」と新店長のH君は自信たっぷり。
今期、新生買取店の営業利益は6,000万円を超える見通しです。
もっとも、レッカー車のドライバー不足から、まだ依頼案件の半分くらいしか受注できていません。もしもドライバーが確保でき、平均単価が2万円となれば、レッカーサービスだけで年間5,000万円の利益を見込めます。

H店長が今、目論んでいるのは、5年以内に廃車で5,000万円、レッカーで5,000万円、合計1億円の営業利益に到達させようという計画です。
当社の事業の中でも、決して本流ではない中古車買取店のスタッフとして採用され、赤字店にあって、目立たず燻っていたH君でしたが、ここまで行動力を発揮し有言実行するとは驚きです。
彼の場合は、元上司(旧店長)の管理下から外れたことが、トリガーとなりました。本当に勉強させられます。

人的販売の限界を販売促進で突破

さて今回は、車検の販売促進について考えます。
当社のSSの車検入庫台数が、25年9月から3カ月連続して、前年を下回っています(グラフ2)。

国内の車検需要は、過去の新車販売台数に負います。ですから、今年は前年より減少するかもしれないと分かってはいました。しかし上半期は伸びていたのに、下半期はどんどんマイナスが広がっています。さすがに心配です。

7~9月の販売チャネル別の獲得数がまとまりましたので、見てみましょう(グラフ3)。

販売チャネルを4分類しました。
①リピーターとは、前回(2年前)に当店で車検を実施し、今回もほぼ自発的に注文していただいた件数です。
それ以外はすべて新規受注をカウントしています。

②店頭獲得とは、給油客にスタッフが声をかけ、商談して成約した件数。

③商圏活動とは、ミラーリングやポスティングで商圏内にチラシを配布した結果、コールセンターが受注した件数。

④WEBは、ホームページで受注した件数です。

グラフ3を見ると、①が増加、④は大きく増加、逆に②と③が減少したのが分かります。

読者の多くの方が気にされるのは、やはり②店頭獲得でしょう。給油客に「声掛け」するという、最も原初的な油外販売方法です。コストもかかりません。
当社もSSを設立した当初から、店頭獲得には力を注いできました。給油方式がセルフ化してからは、スタッフがステッカー(車検標章)を見なくなりましたので、「車番認識システム」という機械に見つけさせています。
そして、ついに当社は商談したうちの5割から受注する手順を標準化することに成功しました。これをもって、車検販売担当の育成に尽力してきたわけです。

しかし、限界があります。
一番の理由は、スタッフの入れ替わりが激しいことです。そして販売スキルが高いスタッフほど、客単価の高い車販を志向します。やがて、車検の店頭販売は「未熟な新人やアルバイトの仕事」に成り下がってしまいました。

やむを得ず当社は、人間力とは無関係な販売促進、すなわち③と④に多大なコストをかけています。
これが成功し、店頭獲得件数の割合は1割ほどに縮小してしまいました。SSスタッフは車検を、天から降って来る賜物と感じているかもしれません。

CPOマジックに騙されるな

「稼ぐに追いつく貧乏なし」ということわざがあります。大好きな考え方です。
収益を上げるため、人もコストもどんどん使おう、というのが当社の流儀。しかし、これが行き過ぎると「使うに追いつく稼ぎなし」となってしまいます。

当社は2年前から、行き過ぎたコストの見直しを行っています。車検の販促費も、その例外ではありません。
販促施策ごとに、CPO(成約1件当たりの販促費)を割り出し、CPOの高い施策から縮小または中止しました。コスト全体で3%ほど削減し、比重をややWEBに移しました(グラフ4)。

その結果が(グラフ3) に現れたわけです。CPOの悪い商圏活動からの獲得は182台減りましたが、CPOの良いWEBからの獲得が308台と大きく増えました(3カ月合計)。

さて、これでいいのでしょうか。騙されてはいけません。商圏活動の費用対効果をよく見てください。
費用を2,475千円削った結果、182台減少しました。1台当たり車検粗利は45千円ですので、8,190千円の収益を失いました。差し引き、570万円の損失です(3カ月合計)。
つまり、年間2,000万円以上の損失を招いたかもしれないのです。

「プロモーションミックス」の視点を持とう

「CPO」などというもっともらしいデータを費目ごとに見せられると、「ははっー、恐れ入りました」とひれ伏してしまいそうになります。
しかし、金科玉条のようにCPOを振りかざすのもまた、危険です。

実はお客様は、何かを購入するとき、複数の販促物に接して意思決定することがよくあります。
たとえば、車検満了日が迫ったお客様がWEB検索した時に、そういえば、この車検はよくポストにチラシが入っているな、などと思い出し、全然知らない車検よりいいかと意思決定します。

あるいは、店頭でアルバイトのぎこちないセールスに接し、チラシを渡され、気になってホームページを見てみると、案外まともでリーズナブルな車検だと知って、申し込まれるケースもあるでしょう。

このあたりの相関関係は良く分かりませんが、このようなお客様は、ユーザーアンケートに「WEBサイトで決めた」と回答するでしょう。だからWEBのCPOは、良くなりがちです。
コストの削減以上に収益の低下を招いているなら、本末転倒です。紙媒体の隠れた影響力を、再度見直すべきでしょう。

MENU