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2025.11.10

代表コラム

油外放浪記 第205回「車を買って、貸して、売る。そのコントロールが収益を生む」

9月も営業利益の記録更新

今年は9月に入っても連日酷暑が続きました。しかしお彼岸を過ぎると、本当に秋の気配になるから不思議です。
当社のSSの9月の実績を(表1) に示します。

営業利益は、月次実績の最高値を更新する4,600万円(8店合計)です。前年より600万円増加しました。

これだけ猛暑日が続いても油外需要は堅調で、SSのスタッフたちはしつかり応えてくれました。燃料油が700万円減少し、経費が1,700万円上がったにもかかわらず、油外は3,000万円改善の2.4億円となり、しつかりカバーしてくれました。
油外粗利を燃料油販売量で割ると、L当たり113円となります。隔世の感があります。

かつて、ガソリン販売が自由化された時代、SSでは燃料油口銭が日に日に減少しました。失われた口銭を何とか補おうと、給油の「ついで」に油外商品を買ってもらおう、声かけしよう、というのが業界全体のトレンドでした。
洗車で3円、オイルやタイヤで2円と積み上げて、それでも足りず、水抜き剤やケミカル剤を押し売りしたSSもありました。30年前の話です。
あれから時代は変わり、油外の主力商品も、販売方法も様変わりしました。

高年式レンタカーこそ利益率が高い

8月に売上1億円を超えたレンタカーですが、9月も好調、7,200万円を獲得しました。直営SS8店で598台を運用していますので、1台当たり121千円を稼いだわけです。前年と比較すると、台数は44台増え、台当たり売上は12千円改善しました。

なお、当社が主宰するニコニコレンタカーも、全体的に好調です。1500店近いFC(フランチャイズ・チェーン)店がありますが、8月の1店当たり 平均実績を(表2) に示します。

平均保有台数15.7台で、190万円を売り上げました。1台当たり128千円です。
17年前に立ち上げたときは、せめて洗車収益並みの50万円になればと願っていたのですが、今は平均売上200万円が視野に入ってきました。

平均車齢も、かつては12年以上でしたが、今や7年に若返りました。さらに4年以内の車両の構成比は36%にまで上昇しました。お客様の評判はすこぶる良く、これが1台当たり売上を押し上げ、多くの店の利益率を改善したと思います。

レンタカーは台数と経費をコントロール

レンタカーは需要に合わせて台数をコントロールするだけです。
需要はコントロールできません。ガソリンと同様、お店の立地条件や商圏次第です。また季節によって変動します。
そこで利益を出すためには、経費のコントロールが重要となります。経費の多くは、人件費と車両費です。人件費については、レンタカーはアルバイトで運用できますが、その調整が重要です。朝昼夜、平日と土・日曜、そして、季節によって配備数をコントロールします。台数の多い店では、「タイミー」などのスキマバイトが大活躍しています。

次に、車両費のコントロールです。低年式車両を仕入れれば償却費は下がりますが、整備費がかさみ、運用やクレーム対応の手間が増え、1台当たり売上は増えません。高年式車両の方がフル稼働し、利益は出しやすく、従業員のストレスもなくなります。
さらに、高年式車両は売却益も期待できます。原則として夏に向けて増車し、秋冬に売却します。

600台近くも運用するには、熟練したスキルが必要です。保有車両のリセールバリューを読み、売却すべき車両を選定し、適切なタイミングで売却する。何年か注力するうち、要領が分かってきました。

当社のSSのレンタカーは、平均車齢が1.5年です。新車を調達して1年程度で売却します。売却予定に合わせて次の新車を早くに発注しておくことも重要です。レンタカー収益と売却益の合計が最大化する車種やタイミングを測っています。

MIC「カービジネスセンター」の役割

レンタカーの仕入れや売却を一手に引き受ける専任部門が、当社にはあります。「カービジネスセンター」と言います。
直営8店のSSと、8店の空港前専業店が保有する、合計1,800台のレンタカーの仕入れと売却だけでなく、SSが販売する年間4,000台の中古車の 仕入れや架装も担当しています。なかなか忙しい部門です。

レンタカーを小売用の商品車に充てることはあまりなく、AA(オート・オークション)で売却するケースがほとんどですが、一昨年から、オートサーバー社の「ASネット」を活用し、全国の車屋さんに中古車を卸す業務(いわゆる業販)にも取り組んでいます。ASネットの会員は全国に8万店あり、このうち安心して取引できる優良店として「五つ星」に認定されるのは40店ほど。何と、当社はこれに選ばれました。

部門長は鼻高々です。それが先ごろ、全国3位「ブロンズ賞」を受賞したとの報告を受けました。社内はお祭り騒ぎ。
大量の車両販売を誠実に遂行し、信頼された証です。本当によくやりました。
ちなみに全国1位は、かの中野勇作氏が率いるバディカ社です。いつかは追いつくぞと当社の担当者は息巻いています。

車検は入庫率にばらつき

9月の車検入庫台数は1,392台。前年実績割れしてしまいました。
公開データによれば、2025年度の国内車検台数は2,086万台。前年は2,145万台でしたので、全国的に需要が3%ほど下がったのが影響したかもしれません。

さて、車検の販売方法はチラシ、ネット、ミラーリングなど多様化しましたが、やはりSSでの販売方法の王道は、「店頭声かけ」でしょう。
当社は伝統的に「人間力」によるセールスが苦手ですが、それでもこれをカバーしようと、車番認識システムを開発したり、マニュアルを制作しては毎年のように販売スキルの磨き直し研修を実施してはいます。しかし最後は、販売担当者が正しい手順で行動しなければ、結果は出ません。

(表3) は、当社のSS別の店頭販売の実績で、その実態が分かります(店名は匿名とさせていただきました)。

➊予約をとっても、7割しか入庫しません。3割は「空約束」。
➋新規客の入庫率は、店により大きくばらつきがあります。高い店は76%、低い店は何と28%。
➌リピーターの入庫率は、どの店も80%前後と比較的安定しています。

リピーターは声かけしやすく、説明しなくても申し込んでくれますので、セールスに自信のないスタッフでも行動します。
これに対して新規客は、店内セールスルームに誘導し、座っていただいて、「当店の車検の特徴」について順を追って説明し、熱意を持ってクロージングします。

この一連のプロセスを、リーダーが愚直に行動させる店ほど、入庫率が高くなります。
毎日の予約件数だけを追っている店は、キャンセル前提の申込書が多くなってしまいます。

整備は車検の時にこそ売る

車検の入庫台数は減少しましたが、粗利は伸びました。客単価が上がったからです(グラフ1) 。

今年2月に基本料金を値上げしました。昨年は1万円でしたが、現在は1万3千円です。
それ以上に伸びているのは、整備の受注が増えたからです。整備の販売スキルが上がったのでしょう。

当社では、入庫する約1週間前に1時間ほど、ご来店していただくことにしています。そこで車をしっかり点検し、点検結果と整備の必要性を、時間をかけて説明しています。
これを担当するのは車検の販売担当ではありません。整備士やフロントです。こうしてご注文いただいた整備は、事後のキャンセルはほとんどありません。

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