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2025.01.31

代表コラム

油外放浪記 第196回「SSの主力商品から洗車を外すと何に投資すべきかが見えてきた」

歳末商戦、全店黒字

当社のSSの、2024年12月実績がまとまりました。いつものように(表1) を見てください。

8店合計で、営業利益は4,000万円を計上しました。前年比約2,400万円増えました。燃料油が800万円増加したのも良いですが、油外がよく売れました。前年比3,000万円増の、2億900万円です。
油外粗利益が初めて2億円を超えたのは2020年です。
2023年は2回超えました。
そして2024年は8回です。やはり車検、車販、レンタカーの3本に絞ったのが奏功しています。販売戦術の練度や生産性が、年々増加しています。スタッフの健闘にも感謝します。

過去を振り返ると、当社もご多分に漏れず、収益の足を引っ張る赤字店の存在がありました。
特に2018年から2021年までの4年間は、新規出店が相次ぎました。
これが独り立ちするまでの期間、先行店が稼いで穴埋めをしてあげる必要があります。2023年12月は8店中3店が赤字でしたが、2024年12月は全店黒字となりました。
SS別に見てみましょう(表2) 。

当社の旗艦店として、長らくトップの座に君臨し、他店の模範となってきたのが仲町台店です。しかし先月号では、11月に新百合ヶ丘店が仲町台店をかわし、トップに躍り出たと述べました。
そして12月。何と伏兵、寒川店がトップです。仲町台店は所沢店にも抜かれて第4位。
毎月のように順位が入れ替わるのは、SS同士の関係性が活性化し、相互の競争意識が高まっていると、前向きに考えています。12月は8店中4店が、過去最高営業利益を塗り替えてくれました。

それはそうと、堀之内店がこの競争から脱落しそうなのが気になります。自己投資で、カーケア特化型SSとしてイチから設計し店舗開発した初めての店です。単月の油外粗利が1,000万円に到達したのがオープン4カ月目、黒字化したのが5カ月目。最速で実現した店ですが、ここ数年は奮いません。
小田原東IC店は、立地と設備に大きなハンデのあるSSです。奮闘していると思います。

洗車頼みの油外からの脱却

ところで(表2) を見ると、仲町台店とセンター南店の過去最高営業利益が、桁違いに大きいことに気づきます。もう20年以上前に起こした快 挙(異常値)です。何を売ったでしょうか?
そう、当時は多くのSSでやっていましたね、「洗車前売り券」の特売です。
当時はフルサービスSSでした。12月に入ると、すべてのお客様に店頭で声掛けし、翌年分の洗車を叩き売りしました。鐘太鼓を鳴らし事務員も総出で全集中したものです。
ところが、その反動が凄まじい。

1月から洗車収益が激減します。一生懸命洗車をすすめ、作業しても、前売り券を差し出され、粗利ゼロ。スタッフのモチベーションは、ただただ下がります。
・・・というわけで、2007年から、当社はこの「バブル商品」の販売をやめました。
(グラフ1)(表3) を見てください。仲町台店の5年ごとの12月の油外実績です。

2002年は、12月に洗車券で1,500万円を稼ぎ、気を吐いたにもかかわらず、年間収支は赤字。そもそも「洗車」は、普通に売っても生産性があまり高くない商品です。限られた敷地面積にあって、相応の設備、作業、動線などのスペースを要しますので、敷地効率もあまりよくありません。
そこでSSの主力商品から洗車を下げ、車検、車販、レンタカーを育成しました。

以来、約20年。セルフ給油になって声掛けもしなくなり、洗車は往時の見る影もなくなってしまいました。しかし、実労働を伴う油外販売のみで、2002年当時の油外収益を凌駕。営業利益は年間7,500万円を生み出す大黒字店に大変身しました

半年間を総括

さて、当社の会計年度は7月~翌6月なので、12月は半期折り返し点です。この半期実績を振り返ります(表4)。

➊営業利益
半年で2.47億円。このまま推移すれば年間5億円となるでしょう。過去最高益となる見通しです。何ら資産を持たない地場の中小企業が、ごく普通のSSを使って、1店当たり年間6,000万円超の営業利益を生み出すに至っていることに、もしも何らかの行動が触発されるSS運営者様が1人でもいらっしゃるならば、私も本稿でSS実績などを赤裸々にしたためてきた甲斐がございます。

➋燃料油
販売数量は前年より約300kl 落ち込みました。ただし口銭が計画より多かったので、粗利は計画を上回りました。

➌油外粗利
半年間で12.8億円。前年より1,600万円上回っていますが、計画に対して3,000万円足りません。
商材別に見ると、車検はほぼ計画どおり。レンタカーと車の業販は、計画を大きく上回りました。これらは、ほぼ仕組みで売れます。
大きく外したのが車の小売り。車販担当者の育成を急ぎすぎ、無理をさせ、有能な人材の退職を招いてしまいました。

➍経費
経費が計画内に収まっているのは良しとしますが、ともすれば、当社の店長は、人件費と販促費を圧縮しようと考える傾向があります。
人を増やさず、安っぽい販促で、現有人員に負荷をかけて販売目標をクリアしようというのは、やはり限界があります。スタッフにストレスが溜まり、結局、販売実績も下がる。
このバランスが難しいですが、会社から明快な指針を打ち出す必要がありそうです。

➎平均単価
車検、車販、レンタカーともに向上しました。まだ底上げの余地があると考えています。

➏生産性
人時生産性が前年比500円アップし、7,300円となりました。生産性こそが、スタッフ自身の昇給の源です。その意識が全店に浸透しつつあると思います。

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