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2024.06.28

代表コラム

油外放浪記 第187回「高成長の陰に、高投資あり」

3月油外商戦を振り返る

3月はSSにとって、車検、車販、レンタカーの三大需要が重なる、書き入れ時です。当社のSSは好調に推移しました(表1)。

営業利益は5,590万円(8店合計)。前年3月より1,250万円伸びました。これまで3月の最高利益は2021年の4,780万円でしたから、ギネスを800万円更新しました。
油外粗利は約2.4億円。これは当社の過去最高額です。前年より2,000万円以上改善しました。

8店中7店が前年実績をクリアしました。郊外かつ小規模の小田原東IC店は、3月においても油外粗利が1,000万円に満たず、喘いでいます(表2)。

燃料油販売量は90kl増加しました。昨年、各店の営業時間を短縮したのですが、また元に戻したのが効いたと思います。
一方、経費は、前年比106.6%に抑えることができました。昨年3月は同117.2%でしたから、今期の重点課題の一つである経費管理が、大きく機能しています。

経費が1,200万円増加しましたが、その半分をアルバイトの人件費増が占めます(グラフ1)。

アルバイトの不足により、正社員が本来、期待される業務に就く時間が削がれていました。これを是正するため、アルバイトの採用を強化しようというわけで、全店とも時給を改定しました(表3)。
そうすると、あら不思議、既存アルバイトがすすんで早朝出勤や土・日出勤してくれるようになりました。

投入経費が1.5倍になって油外増収

当社のSSが重点的に取り扱う油外商品は、車検、車販、レンタカーです。いずれも高い生産性が期待できる商材ですが、ここ5年間の伸びを見ると、大きく差がつきました(グラフ2)

伸び率ナンバーワンは車販です。5年で3倍。油外トップの座に躍り出ました。
きっかけはコロナ禍です。主に空港前に出店したレンタカー専業店が事実上、休業状態となり、大量の余剰レンタカーと仕事のないスタッフが発生しました。

そこで、約500台のレンタカーをSSで緊急販売するためのお膳立て、すなわち商品化、ネット掲載、車両配送などを実行する専任部隊を編成しました。この部隊が、余剰レンタカー完売後もアップグレードを続け、今に至っています。

まさに「瓢箪から駒」「怪我の功名」と言っていいですが、車販の伸びは、時代が後押したというよりも、SSが本来持っていた潜在力が開花したこと、これに加え、SSの販売力を下支えするインフラ(人、設備)を本気で作ったことによります。

次に伸びたのがレンタカーです。SS商圏内のレンタカー需要に関しては、コロナの影響はほぽありませんでした。5年間で1.6倍。当社のSS商圏においては、そろそろ天井に達した感があります。

そして車検です。5年前は油外の王者でした。法定需要ですのでコロナの影響はありません。しかし、 当社のSSに関しては、設備キャパの限界に達しました。5年間で1.2倍弱。この伸び率では、そろそろレンタカーにも追い抜かれそうです。

ところで、これら油外が伸びたのは、経費の増加に負うところが大きいでしょう。つまり、油外販売のインフラを構築強化するための「投資」です。

特に2019年度から2022年度までの経費の増加は著しく、ざっと年間5.7億円の経費が増加し、年間8.6億円の粗利増に跳ね返っています。その内訳を(表4) に示します。

2023年度までに、人、システム、設備といった主な投資は一段落しました。したがって今後は、投資効率はもっと良くなるだろうと期待しています。

車検不調に追い討ち

さて当社のSSの車検収益は、年間6.5億円にまで成長しました。しかし上記理由から、このところ伸び悩んでいます。そして、これに追い討ちをかけるような、みっともない事案が発生しました。恥を忍んで打ち明けます。

当社の寒川店は、指定整備工場を併設するSSですが、先ごろ陸運局による監査が行われ、違反行為が指摘されました。これにより、130日間の「保安基準適合証の交付停止命令」を受け、2人の検査員が解任されました。
指摘された事項はいくつかありますが、最も多いのが「故意以外により検査の一部を実施せず適合証を交付した」というものです。
つまり、検査基準が変わったことを知らず、のんきに検査し、72台の車両に対して、不正に適合証を発行しました。

当社は、他にも3箇所の指定整備工場を運営しています。他は問題ありませんので、寒川店の検査員だけが勉強不足。馴れと甘えが生じたと言わざるを得ません。
真面目に正直にやってきて、築いてきた信頼が、一瞬にして失墜しかねない事態です。

当人と店長を激しく叱責し、コンプライアンス研修を課しました。同時に、同店の検査員と検査機器を一新しました。一から出直す覚悟で、指定工場の再開に備えます。
その影響もあり、今年の1~3月に実施した車検キャンペーンは、かろうじて昨年実績をクリアしたものの、目標未達に終わりました(表5) 。

3月の追い上げに期待したのですが、やはり3月は、すでにリフトが予約でぎっしり。今さら受注しても、予約が入れられません。1月、2月に前倒しで実績を積み上げておくべきでした。

車検ローンは狙い目かも

ところで車検は、整備を受注することで、客単価が増えます。このためには、車を入念に点検し、車の状態をお客様と共有しつつ、安全性、快適性、経済性の観点から整備の要・不要を伝え、お客様に理解していただくことになります。
その結果、整備箇所が多くなり、お客様の負担額は増えます。そこで支払い方法の選択肢として「ローン」があります。クレジットカードと違い、法定費用もローンに組み込むことができます。
当社のSSは、30年前から取り扱ってはいましたが、近年は形骸化していました。そこで改めて見直したところ、ローン会社によって、金利や仕切りなどの条件が、大きく異なることが分かりました。
さらに周辺の競合店を調べたところ、車検料金の支払い方法としてローンを取り扱っている業者が、ほとんどないではないですか(表6)。

・・・ということは、ローンの取り扱いは、一部のお客様にとって、差別化要因の一つとなるに違いありません。もちろん客単価アップに寄与する可能性は高いと思います。リフト数や整備士数の限界に悩むSSは、客単価アップに活路を求めてはいかがでしょうか。

車販キャンペーンは大成功

さて3月は、車販においても400台を目指した月でした。
当社のSSの実力は、現状、月間平均250台。これを早く500台レベルに引き上げたい。その起爆剤としてキャンペーンを実施しました。

表1に示す数字は納車(入金) 台数ですが、キャンペーン目標は「成約台数」としました。成約400台です。

お客様へのインセンティブは、次の「3大特典」としました。
➊8万円分のオプションサービス(ドラレコなど)。
➋下取り保証(登録車8万円以上、軽自動車5万円以上)。
➌優遇金利2.9%。

キャンペーンの結果は、小売り350台、業販61台、合計411台。見事達成しました。当社にとって快挙です。車販担当者はもちろん、仕入れ・商品化の担当者も、企画担当者も頑張りました。拍手!
インセンティブの費用がかかったため、1台当たり粗利は22千円下がりました。しかしこれを機に、車販台数が一段高まることを期待しています。

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