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2024.03.05

代表コラム

油外放浪記 第185回「向こう5年間で、車販を伸ばせるだけ伸ばす」

経費の増加以上に油外販売が増加すればいい

元日にまたしても、未曾有の大地震が能登を襲いました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
当社のSSの1月の実績を(表1) に示します。

8店合計の営業利益は1,500万円。前年同月と比べ270万円増収しました。
燃料油は販売量、口銭ともに減少。車検とレンタカーは横ばい。車販が1300万円増えました。
経費が600万円増加したのは計画どおり。経費の増加に対し、油外粗利は1,380万円増加です。

当社は、このバランスを重要視しています。経費の増加以上に油外が増加する限り、店舗運営は最低限維持できます。

目的はコストカットでなく営業利益の増加

油外粗利の伸びが鈍化していることは否めません。
グラフ1は、過去3年間の油外粗利の同月比較です。2年前と比べ、前期は大きく伸びました。毎月ほぼ2,500万円の増収が続いていました。

ところが今期は伸びが小さくなっています。特に11月、12月は、ほとんど前期並みでした。
これは昨年の7月から経費のコントロールに注力しているからです(グラフ2) 。

それまでは「イケイケどんどん」で、特に車販に関する設備と人を強化してきました。車検も縮小均衡の反動から、これでもかと販促費を注ぎ込みました。

グラフ1とグラフ2を見比べると、油外の伸び縮みは、コストの伸び縮みにほぼ同調しているようですが、目的はコストカットではなく、営業利益を伸ばすことにあります。

グラフ3は、営業利益の比較です。今期は、概ね前期以上の営業利益が出ています。ホッとしています。
新しい活動をするときは、経費が先行します。その覚悟と我慢を要します。その先に、ようやく暁光(ぎょうこう)が差してきた思いです。

もう一度言いますが、徒(いたずら)にコストカットすれば縮小均衡に陥ります。大事なのは経費の伸び(Cost)よりも油外が伸びることです(Income)。

そうすれば、営業利益は伸びます。当社ではこれを「ICバランス」と呼んでいます。前期は油外が大きく伸びたのですが、それ以上に経費が伸びてしまいました。今期は、油外がさほど伸びていませんが、経費の伸びは、それ以下に抑えられています(グラフ4) 。

車検はいまだ適正販促費が定まらない

今期は車検の販促費も削減すると計画しました。あわよくば、販促費を圧縮しても入庫台数は前年並みを維持することを期待したのですが、そうは問屋が卸しません。
以下のようなダッチロールを繰り返しています(グラフ5) 。

[7月] 販促費を前年比300万円カット。しかし台数は伸びた。
[8月] 販促費を前年比150万円カット。しかし台数はよく伸びた。これはイケるかも・・・。
[9月] 調子に乗って、販促費を前年比760万円カット。あれれ? 思ったほど台数が伸びない。
[10月] 慌てて販促費を前年並みに戻した。しかし台数は伸び悩む。
[11月] ついに台数の伸びがストップ。あ、そうか! 車検は販促の効果が出るのに3カ月かかるのだった。
[12月] それならばと前期以上に販促増量。・・・にもかかわらず台数は、とうとう前年割れ。
[1月] 10月の販促がやっと効き始め、前年比プラスに戻った。3月需要での挽回を狙い、販促増量中。

車検を伸ばすも縮ますも、3カ月のタイムラグを計算に入れなければいけないことを、改めて思い知りました。そして当社の車検販売は、かくも販促頼みであることを、再認識しました。

これからは車販を伸ばしたい

当社では「SSの社員一人当たり平均年俸を700万円以上にする」という目標を内外に明示しています。これを実現するには、まだまだ収益が足りません。
車検の販促費の「最適解」を見い出すのに苦労しているわけですが、それより何より、前回も述べたとおり、当社はすでに、車検の設備キャパシティという物理的限界を抱えてしまっている現実があります。

というわけで、車検はほどほどにして、これからは車販に注力することが、第一命題となっています。
車販のいいところは、商圏や設備にあまり制限されないことです。
とは言え、一抹の不安がないわけではありません。主力商品であるガソリン車の市場が、そう遠くない将来、急速に縮小するかもしれません。

この不透明な状況にあって、経営者として私はこう考えました。

●少なくとも向こう5年間は、ガソリン車の市場は維持されるだろう。
●そこで向こう5年間は、車販に全力を尽くす。
●車販で得た5年分の収益を、新たなビジネスチャンスに投入し、SS社員がみな笑顔で活躍できる場を構築しよう。

この考えのもと、向こう5年間の車販目標を打ち出しました(グラフ6) 。

5年後に年間15億を超える収益を出すことができれば、車販ビジネスの生産性からして、SSスタッフたちの年収目標に到達できると考えます。

3月は車販400台に挑戦

まずは5カ年目標の第一歩、2024年の車販台数目標は3,350台、月間平均280台です。
昨年の平均実績が235台でしたので、毎月45台多く売ればいい、ということになります。
ちなみに1月実績は249台。前年同月より71台多く売りました。幸先良いスタートです。

なお最近、車の小売りとは別に「業販」も増えてきました。業販に関しては、(株)BUDDICAさんがトップ企業です。

その経営者で、元ビッグモーターの役員でもあった中野優作氏の著書「クラクションを嗚らせ!」(幻冬舎/写真1) は、自動車販売における極めて実践的な教本です。業販に関しても刺激になりました。

価値ある中古車を、オークションから組織的に仕入れ、手間を掛ければかけるほど、その手間賃を惜しむ中古車業者が買ってくれます。
当社のSSの昨年3月の車販実績は232台でしたが、今年の3月は、小売りで300台、業販で100台、合計400台が目標です。

自動車販売は経験不要 ただし下取りは別

数字の組み立てはこのくらいにして、実際に売るのは車販担当スタッフです。
8店で30名近くが車販担当に 任命されていますが、最近の車販実績ベストテンを(表2) にまとめました。

トップのA君は入社1年余り。この半年間で139台を売りました。12月に記録した30台は、当社のギネスです。車販に経験年数は関係ないことを実証してくれています。

ただ残念なのは、中古車相場がまだ分からない。
商品の仕入れや値づけは本社の専任組織が行いますが、下取り価格は、担当者が車を見て、判断することになります。
これができません。できないので、意向確認もあまりやっていないと思われます。

当社が目標としている基準は、下取り率40%、1台当たり車販粗利18万円です。しかしA君の場合は同22%、15万円と、期待水準に達していません。

こればかりは場数を踏み経験を積まなければならないようで、やきもきします。

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