インフォメーション

INFORMATION

  1. INFORMATION
  2. 油外放浪記 第181回「燃料も油外も絶好調。だが道半ば」

2023.12.11

代表コラム

油外放浪記 第181回「燃料も油外も絶好調。だが道半ば」

9月は1,500万円増益

当社のSSの9月の営業利益は3,100万円でした(8店合計・表1)。前年の2倍近くを稼ぎ、絶好調です。
当社の事業年度である第38期が7月からスタートしましたが、第1四半期は連続して営業利益の月間ギネスを塗り替えています。一体どうしたことかと訝しむほどです。

燃料油の販売量が前年並みに戻ったばかりか、口銭が12.1円/Lと高騰しました。おかげで燃料油粗利が1,000万円増益。
油外は重点商品である車検、車販、レンタカーが3品ともに伸ばし、2,000万円増益。
経費は1,500万円増えましたが、これは計画範囲内。したがって営業利益が1,500万円増えました。

燃料油の減販が止まった

7月まで減販していた燃料油販売量が、8月、9月と増販に転じています。コロナ規制が緩和されたことや、猛暑が長引いた影響かもしれません。しかし私たちとしても、やるべきことを改めて徹底しました。その努力が報われたなら、喜ばしいことです。

具体的には以下のことを実施しました。
(1)市況対応を徹底
競合店の価格を毎日調査し、価格の変動には即時対応します。
(2)新規客の会員化を徹底
車番認識システムが新規客を判別しますので、店頭でリストを取得して会員カードを発行。またLINEに登録していただき、割引クーポンやお知らせメッセージを発行(表2)。

車販が伸びれば保険も伸びる

今年に入ってから、油外販売が怖いほどに活性化しています。
表3は車検、車販、レンタカー、自動車保険の1月から9月までの実績です。
どの商品も前年を下回った月がありません。月間ギネスを毎月更新中です。さらに、車販は過去最高記録を4回更新、自動車保険は5回更新しています。

車販が伸びたのは、5月から車販担当者向けに販売インセンティブを実施したのが、少なからず効いているでしょう。車販台数が伸びると、自動車保険も伸びます。ただし、保険の販売業務を車販担当者から切り離したことによって、伸びるようになりました。

保険の獲得は収益貢献度が低いので、現場向きの商品ではないと感じます。しかし、毎月累積していく商品ですから、地道な販売活動は重要です。そこでSSの収益目標を担わない人、つまり本社の専任部門が、SSで車販契約した顧客に、淡々と電話アプローチしています。半数以上が契約してくれます。

昨年3月、初めて月間契約数が100件に達しました。体制を強化した今年は、当たり前のように100件以上を獲得するようになりました。
目標は累計契約1万件、そうなれば毎月1千万円以上のストック収益を得られます。月間契約数が100件なら8年、150件なら6年、200件なら 4年かかる計算です。

車検もレンタカーも計画を上回る

整備リフトの増設が限界に達し、キャパシティー不足(ご注文お断り)が目立ち始めた車検ですが、まだ伸ばせる余地は残っています 。

昨期はこれでもかと販促費を投入しましたが、今期は販促費を抑えつつ、入庫台数を12,000台(月間100台)増やす計画です。
今のところ3カ月経過して前年比465台増加しており、販売数は計画ライン上にあります。あとは1台当たり販促費(CPO)をどこまで低減できるかが課題です。

レンタカーは544台で5,200万円を売り上げました。前年より台数を106%増やし、売り上げは113%伸びました。利用料金が「値上げ」したにもかかわらず、客数は維持できていると思います。

新車の二毛作が軌道に乗った

車販事業を展開するにあたり、玉不足は大きな課題です。当社はAA(中古車オークション)から仕入れることが多いのですが、コロナが中古車流通台数の不足と価格の高騰を招きました。ひと頃に比べると、かなり落ち着いてきましたが、好条件な中古車を安定的に調達するには、AAだけに頼るのはリスクが大きいと感じます。

そこで思いついたのは、新車を購入し、レンタカーで1年間運用すること。つまり中古車を自前で生産してはどうか、という発想です。たとえば200万円の新車を170万円で仕入れて販売すれば、30万円の粗利となります。ところが170万円で仕入れた新車を1年間レンタカーとして運用すれば、およそ100万円を売り上げます。

そして、1年落ちの中古車が自動的に手に入ります。これを130万円で販売したとして、合計売り上げは230万円。粗利は60万円。単純に仕入れて売った場合と比べ、倍増します。果たして、こんなにうまくいくものだろうか?分からないことはやってみよう、というわけで、この発想を「レンタル&セールス(R&S)方式」と名づけ、2021年6月から試しています。
その結果を(表4)に示します。

今年9月までに、新車を232台仕入れ、平均11カ月間レンタカーとして運用し、平均88万円を売り上げました。償却費や保険料を差し引くと、49万円の粗利が出ました。次に、この中古車が平均156万円で売れました。原価が136万円でしたので、販売粗利は20万円。レンタカー運用益を含めると、1台当たり69万円の粗利益を稼ぎました。このポイントは、レンタカーの運用益と中古車の売却益の合計が最大化する タイミングを逃さないこと、そして売却することを見込んで、その1年以上前に新車を発注しておくことです。

これも月々の収益目標しか眼中にないSSには不向きなので、本社の専任部門がコントロールしています。2年間をかけ、200台以上やってきて、この流れが確立されてきたと感じます。

社員の給与の源は付加価値

喜んでばかりもいられません。私たちの目線はさらに上にあります。

当社は2021年7月に「第二次五か年計画」を立案し、3年目に突入しました。その目標の一つに「社員の平均年収を700万円にする」というものがあります。全国の平均年収が449万円、上場企業が650万円という状況に鑑み、ならば当社は700万円を目指そう、と本気で考え、全社員に公言しました。

2年経過して現状は530万円です(表5)。私もSSスタッフの諸君たちも、まだまだ奮起が必要だ、といったところです。ある時、社員の1人から質問を受けました。「アップル社の平均年俸は3,000万円と聞きました。ウチはなぜこんなに低いのか、どうすればアップル並みの年収になるのか」と。

なかなか野心的で良い質問です。私はこう回答しました。
「理由は簡単。生産性が大きく異なるからだ。社員一人当たりの年間粗利で見ると、アップル社は150万ドル(2億2千万円)、対して、わがSSは2千万円。その差は10倍以上ある。君たちがアップル社並みの生産性を実現してくれたら、わが社は喜んで3,000万円を支給する」と。

残念ながらSSは、アップル社のような高付加価値商品を開発するグローバル・メーカーではありません。地域に密着し、どこにでもある商品を販売する小売店です。ですから、いかに生産性の高い商品を、効率よく、大量に(かつ正直に)販売するかが勝負です。時価総額世界一の企業と比較する前に、まずは国内上場企業の平均水準を上回ることを目指したいと考えます。隣の青い芝生を、我々も手に入れたいと目指し、一歩一歩進めば、必ず到達できると信じます。

MENU