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2023.09.06

代表コラム

油外放浪記 第179回「経費増に苦しんだが、お膳立ては整った」

MIC直営SSの第37期を総括

ビッグモーターの事件で世の中は大騒ぎです。
かねてより中古車販売店の経験者には、お客様の無知につけ込むような営業体質を持つ者が少なからず見受けられると感じていました。その考えが行き過ぎて、違法な領域にまで足を踏み入れてしまったということでしょう。

地域との信頼関係を第一とし、正直に商売してきた私達SS業とは、相容れないと感じます。当社の車販担当者はできるだけ未経験者を採用し、適性を見ながら育成してきました。
いずれにせよ、ビッグモーターに対する消費者の信頼は地に落ちてしまいました。これが、自動車関連サービス全般に飛び火しないことを祈ります。

さて、当社の事業年度である第37期が終了しました。今回はまず、この6月までの年間実績を振り返ります(表1)。

営業利益は2億4,000万円(8店合計)。計画はおろか前期実績にも達しませんでした。目標達成率は67%と、情けない結果です。
かつて当社のSSは、いずれも年間5,000万円以上の営業利益が出る仕組みづくりを目指しており、半数のSSがこれを実現するに至りました。さらには、このビジネスモデルを実現する店舗数の拡大を目指しました。

ところがその矢先です。2020年、政府がカーボンニュートラルを宣言しました。これを受け、当社も従来路線を延長拡大することをやめ、方針転換しました。

特に中古車販売や保険販売に対して、積極的に開発投資、設備投資を実施しました。しかしとうとう、経費の増加スピードに販売力の強化が追いつけなくなってしまった、というのが実情です(グラフ1)。

とは言え、年間経費が3年間で9.6億円増加したにもかかわらず、いまだ2.4億円の利益を出すことができているのは、ひとえにSSの スタッフ諸君の尽力、そして、バックアップ部門の献身的な働きに他なりません。

特に車検は入庫台数が前期比2,600台増加し、収益を1.1億円増やしました。ただ車検の設備キャパが、ほぼ限界に達しています。これ以上の拡大は、大きくは望めないでしょう。
一方、車販に対する先行投資や枠組みづくりがほぼ完了しました。当社のSSは今後、自動車販売を大きく拡大するステージに突入すると期待しています。

新事業年度の初月は、ますますのスタート

当社は7月7日、本社と各拠点に在籍する全社員200余名に一堂に集まってもらい、「第38期キックオフミーティング」を行いました。4年ぶりの開催です。
SSも休業して臨みました。今期の計画は、車検とレンタカーはほぼ現状維持としましたが、車販は1,000台以上増やし、年間8.6億円以上の収益(前期比2億円増)を獲得しようという意欲的なものです。

ミーティングで店長が決意表明してくれましたが、ベテランも新人も刺激を受け、気合いが入ったでしょうか。7月は1日休業したにもかかわらず、幸先良い新事業年度のスタートとなりました(表2)。

前年同月に対し、経費が1,800万円増え、燃料油粗利が500万円減少したにもかかわらず、営業利益が拡大したのは油外粗利が2,000万円増えたからです(8店合計)。
経費の伸びは計画範囲内に収まりました。

車検は100台近く増えました。2月、3月に比べると、7月はキャパオーバーでお断りする件数が少なくてすみます。
車販も50台増え、260台となりました。毎月コンスタントに500台売れる状態を目指していますが、今期はまず、月間平均285台が目標です。あと一息です。

車販担当者の量と質の改善、さらにSSスタッフの目標達成気運を高めることによって、このギャップを埋めていきます。

レンタカーは需要増×客単価増

レンタカーも7月は4,700万円を稼ぎ、前年実績を超えました。
当社のSSは7月時点で540台のレンタカーを運用しています。各店の商圏内需要に対する供給量はほぽ満たしており、そろそろ頭打ちかもしれません。
しかし全国的に見ると、SSレンタカービジネスは伸び盛りです。当社が主宰するニコニコレンタカーのデータを見てみましょう。

利用客数に関しては、季節変動はあるものの、順調に伸び続けています(グラフ2) 。

一方、ニコニコレンタカーは6月中旬に値上げをしました。顧客離れを懸念しましたが、今のところ問題ないようです。そして客単価が1,000円程度上がりました(グラフ3) 。
このダブル効果により、ニコニコレンタカーは、かつてない業績の伸びが見込まれます。

EVレンタカー実験中

さて、SSレンタカーもそろそろEV(電気自動車)を視野に入れる段階に来ています。
そこでニコニコレンタカーでは、2月から当社直営の仲町台店でEV実験を始めています。消費者の反応を見たり、新しい試みに対する懸念事項を洗い出しています。
想定されるトラブルの検証項目は以下です。

➊EV特有の挙動や操作に不慣れなため、事故が起きやすいのではないか。
➋充電不足によるバッテリー切れが発生し、ロードサービスの出動が増えるのではないか。
➌その他どのような事案が発生するのか。

「日産サクラ」を導入し、レンタル料金は他のレンタカー並み(大手レンタカーの約半額)として、半年間運用してきました。月平均9回貸し出し、1回当たり利用時間は平均24.8時間、走行距離は105kmです。

今のところ事故、バッテリー切れ、故障その他のトラブルは一切発生していません。お客様の利用目的は、「EVを体験したかった」「EV購入前に試乗したい」というのが多いようです。
収支結果を見てみましょう(表3) 。

月間平均売上は76千円。車両原価が46千円、経費が11千円かかり、月間18千円ほどの利益です(SSとの兼業ですので店舗費や人件費は含めていません)。

仲町台店が保有する98台のレンタカーの平均売上は月間105千円ですから、実用用途としては、まだまだガソリン車やハイブリッド車に分があります。
この6月、ようやく2台目のEV「日産リーフ」が納車されました。これで検証数は2倍に増えます。

今後時間の経過とともに、車両の劣化や損傷によるトラブルが発生する可能性が出てきます。検証作業にはまだしばらく時間がかかるでしょう。

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