日本のガソリン需要は2004年にピークアウトを迎え、今後減少の一途を辿ると予測されています。SS経営の環境悪化
はとどまるところを知らず、先行きは不透明、いや、五里霧中と言っていい状況にあります。
しかし冷静に考えてみれば、私たちSSが失ったものは、L当り5円余りのガソリン口銭と、事後調整に代表される元売会社の過度な庇護だけではないでしょうか。
燃料、カーメンテナンスといった主力商品に対するお客様の需要は依然として堅調です。地域の信頼も確固としています。高額な投資をしてきた石油販売設備も、カーメンテナンス設備も、場数を踏んだ信頼できるスタッフも、事業ネットワークも、すべて健在です。
失ったものをいたずらに嘆くより、今私たちが持っている経営資源を最大限に活用し、明るく元気に前進しようではありませんか。
私たちは会社創立以来一貫して、石油会社とは異なる視点からSSの競争力を強化する方策を検証し開発することに取り組んでまいりました。
近年多くのSSに導入され活躍している車番認識システムによる販売支援デバイス「NXEYES」や、SSレンタカーブームの火付け役となった「ニコニコレンタカー」といった事案も、その流れの中から必然的に開発されたものです。
こうした競争力強化手法の開発プロセスから、SSの勝ち残りに極めて有効な手立てが数多く浮上してきました。そしてそれらの情報をきちんとお伝えするのが、私たちの責務であると考えます。
エネルギーの脱石油化が加速しています。SS業界はいかにして生き残るべきでしょうか?予算がない、人がいない、時間がない……ないないづくしのSSにあって、競争力の原資となるのが油外収益。その油外収益力を大改善するユニークかつ有効な方法を、大量のデータや事例をもとに、3つの切り口から開示いたします。
「ほっとけ油外」
で10円/L稼ぐ
油外商品の販売基盤は、何といっても人間力です。しかし、その人間力が不十分な場合がしばしば見られます。
・スタッフ数が不足している
・店長のリーダーシップが弱い
・売れる人が少ない
・やる気がどうもいまいちだ
このような、人的販売力に問題を抱えるSSが少なくありません。
人員配置を見直したり、評価基準を変更したり、教育研修を徹底するなど、あの手この手を投入しますが、成果が出るには時間がかかります。
そこで人的販売力を強化する一方で、人的販売力に左右されない油外商品のラインナップにも本気で取り組みませんか。
とは言っても、スーパーマーケットやカーショップのような陳列販売は論外です。SSには陳列スペースもなく、在庫負担もできないからです。
人的販売力に左右されずに売れる無在庫商品を、私たちは
「ほっとけ油外」と呼んでいます。
「ほっとけ油外」は「声かけ」も「目標管理」も「販売訓練」も一切不要です。取り扱うだけでお客様から声がかかる「都合のよい商品」です。
従来の常識では
「ほっとけ油外」によって得られる粗利益は、せいぜい5円/Lまでとされていました。しかし時代の変化に伴い、最近では
「ほっとけ油外」だけで10円/Lを超えるケースをしばしば見受けます。
確かに「人」に負わずに10円/Lを超える油外収益が上がるなら、SS運営はとても楽になりますね。その手順と商品構成について報告します。人の問題に苦しむSS経営者必聴の情報です。
買ってくれる人にだけ
おすすめしよう
「ほっとけ油外」で収益ベースを作っても、人的販売が不要になるわけではありません。油外商品の多くは、お客様が気づいていない「潜在 ニーズ商品」だからです。だからと言って闇雲にエンジンルームを点検したり「声かけ」するのは、効率が悪くコストもかかるため、良い方法とは言えません。
SSのお客様は2種類あります。
気持ちよく油外商品をご購入いただけるお 客様と、SSでは一切購入しないお客様です。前者は「お得意様」とか 「ロイヤルカスタマー」と呼ばれます。
昔のSSは社員スタッフが中心で人数も充実していたため、自店のお得意様はよく把握できていました。
今はそうでもありません。販売量が増えたり現金客比率が高まったり、セルフ化したり、アルバイト中心の運営体制になったため、誰がお得意様なのか、判断しにくくなりました。これが油外収益低下の一因です。
誰がお得意様か分かりませんから、声かけしても断られることの方が多くなります。するとスタッフも腰が引けてしまいます。ですから「ヘタな鉄砲数打ちゃ当たる」は、スタッフの心が折れるだけでなく貴重な人件費の浪費でしかありません。
それではどうしたら良いのでしょう。 答えは簡単です。昔のように「お得意様」にだけ、必要な商品を提示すれば良いのです。そうすると極めて効率的に販売成果が上がります。人件費を減らしながら、タイヤもバッテリーもワイパーも洗車も、見違えるほどに売れるようになり、SSは利益も元気もどんどん増えてゆくのです。
国交省の情報開示が、そんな夢の販売活動を容易にしてくれました。
ターゲット顧客を見 定めて直接購買を促すアプローチ方法は
「ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)」と 呼ばれます。
今回、私たちの直営店を中心に、さまざまな商品のDRM実験を実施しました。その結果と方法を開示します。
「Vカー」を
とことん活用する
SSの利用客はすべてクルマのユーザーです。そのクルマの平均使用年数は、国内では10年余りです。すなわち製造されて10年経過したクルマは使用されなくなる(=廃棄される)ことになります。
10年を超えると中古車(Uカー)としての価値もほとんどなくなるため、多くは解体処分されてしまいます。その
車両は鉄スクラップとみなされ、台当たり数万円という「捨て値」で取引されているのが実情です。
ところが今の国産車の品質は、目を見張るものがあります。メンテナンスさえ実施していれば、クルマは10年はおろか15年でも20年でも元気に走ります。
そしてクルマの本来の機能、すなわち「安全快適に走り、曲がり、止まるという機能にまったく支障がないなら、これをリーズナブルな価格で求める市場が近年急速に拡大しています。
格安レンタカー、ワンコインリース、ポッキリカーなどといったビジネスモデルの登場です。
元気に走る低年式車は、こうした新市場で活用され、車両調達コストの5倍も10倍もの収益をもたらしてくれます。
そのような見地から、私たちは初度登録後10年以上を経過しても機能を維持しているクルマに感謝の念を込め
「Vカー」と名づけました。VはValuable(価値のある)、Victory(勝利)のVです。
SSという業態は、この
「Vカー」を入手、活用・収益化するにあたって、実は最も有利な立ち位置にあることが
明白となりました。
自動車業界、買取業界、整備業界いずれのクルマ関連業界にも冷遇されているのが
「Vカー」です。この間隙を衝
くSS販売戦略を「エコループ戦略」といいます。
どんなSSでも取り組むことのできる「エコループ戦略」を、事例をもとに解説します。