情報サービス・出版物

  1. トップページ
  2. 情報サービス・出版物
  3. 増田信夫の油外放浪記一覧
  4. 油外放浪記記事

増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第99回 SS特性を生かした車販スタイルを確立したい

個人向けオートリースがSSの経営体質を変えた

新年あけましておめでとうございます。
本年も拙稿にお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

表1は、昨年の1SSあたり平均実績の推移です。夏以降、燃料指数が安定的にマイナスを計上するようになりました。しかし、営業利益は月間126万円(年間1500万円)にとどまりました。目標は年間5000万円ですから、あと3500万円足りません。

というわけで、今年も立ち止まるわけにはいきません。当社SS体質の変革を牽引してくれた「個人向けオートリース」に対し、今年も真正面から取り組みたいと考えています。

表2は、当社が個人向けオートリースに取り組む前と現在との比較です。
何と言っても車販が200万円以上伸びたのが際立ちます。油外収益で総経費をカバーできるようになり、燃料指数もマイナスにしてくれた立役者ですが、まだまだ伸びシロがあると手応えを感じています。

     

誤解を恐れずに言います。
「車販」こそがSS勝ち残りの生命線ではないかと思います。生産性が高く設備投資も資格も不要、しかも、他の油外販売に相乗効果をもたらします。そして「車販」の起爆剤こそが「個人向けオートリース」です。
なぜならこれは、まだ競合がほとんど存在しない「ブルーオーシャン市場」だからです。

ブルーオーシャンの世界はお客様にも伝えにくい

アメリカではすでにマイカーの30%以上がオートリース契約になっているそうですが、日本では3%以下にとどまっています。

しかし以前にも述べましたが、全国調査によると、日本のマイカーユーザーの25%が個人向けオートリースに興味を示します。これだけの潜在ニーズが存在するにもかかわらず、普及が阻まれているのは、これまでカーディーラーなどが提案してこなかったことが最大の要因だとされています。

慣れ親しんだローン販売に比べると、ひと手間かかる面倒なサービスだからでしょう。既存チャネルが取り扱わないので、興味を持ったお客様は、私どもの店に来てくれます。そしてほとんど価格交渉や過重なサービスをせずとも契約に至ります。これが「ブルーオーシャン」たるゆえんです。

とは言え、左ウチワでお客様がどんどん来てくれるわけではありません。多くのお客様は「個人向けオートリース」の存在さえ知らないのです。
ですから、広告宣伝が必要です。厄介なのはPOPを掲げれば集客できるような商品ではないことです。ラーメン店は、「冷やし中華始めました」で集客できます。冷やし中華がどんなものか、みんな知っているからです。

SSだってガソリンを始め、多くの商品は、看板がそれなりに集客効果を発揮します。しかし「個人オートリース始めました」では誰も反応してくれません。
興味を持っていただくためには、少なくともその意味や特徴を伝えなければなりません。最低限でもチラシ媒体程度の情報量を伝える必要があると思って新聞折り込みを継続し、さらに詳細情報を掲載したホームページへ誘導しているところです。

SSには顧客接点があるじゃないか

ところが、頭の痛い問題が「費用対効果」です。
30万円かけ5万枚のチラシを撒いても即効性はありません。チラシを丹念に見てくれる人は少ないし、そもそも車の乗り換えサイクルは平均8年です。そのうちターゲットは25%に過ぎません。とは言え、効果が低いからと折り込み広告を止めてしまうと実績がまったく出なくなってしまうのです。

そこで、SSならではの顧客接点の多さを武器にできないかと考えました。チラシはあくまで市場を耕す「こやし」です。SSに来店される一人ひとりに対し、笑顔で挨拶し、「新商品のご案内をさせてください」と「種まき」をします。

早ければ、当日成約(収穫)できますが、その後にダイレクトメール(DM)などによる「水やり」を経ると、遅くとも8年以内に収穫できることになります。
このような考えに切り替えた途端、結果が出るようになりました。

SS店頭で、個人向けオートリースを対面告知する活動を反復していると、何年後かには一定割合で契約客になってくれる。すなわち、もっとも「川上」で車販の見込み客つくりができる、そう考えてこの1年あまりの間、当社5箇所のSSで延べ10回、75日間にわたる「集中告知浸透活動」をやってみました。
回を重ねるに従い、やり方が洗練されてきましたので、そのポイントをお伝えします。

短期集中告知イベントの手順

やり方はこうです。
期間中、以下を繰り返します。

➊給油来店したお客様に抽選券を配布し、店内に来て抽選していただきます。
➋当選した景品を渡しつつ、アンケートをお願いします。
 景品をもらったお客様ですから、多くはお願いを聞いてくれます。
 カウンターに座っていただき、記入していただきます。
➌対面に座り、当店の「定額ニコノリパック」という新商品について
 少し宣伝させてくださいと、さらにお願いします。
➍了解してくれれば、概要を説明し、テストクロージングします。
 興味を持ってくれたら、お客様が利用できるかどうか、まず審査させて
 くださいと申し出ます。
➎審査が通れば、本格的な商談に進みます。審査を断ったお客様には、お礼を述べ、
 DM発信などで引き続きフォローします。

少しは 「事業」っぽくなってきた

これまで10回やった結果を表3にまとめました。

10回やってなお「幼稚園年中組」レベルだと思いますが、それなりにスタッフの練度も上がってきたと思います。

現状の指標は以下のとおり。
①給油来店のお客様が店内に来てくれるのは9割
ただし、商談スタッフのキャパシティを確認しながら誘引調整しないと、ただ景品を進呈するだけになるので注意。

②アンケートに応諾してくれるのは7割
馴染みのお客様と折り込み広告を見て来店してくれたお客様が、応諾してくれる確率が高いようです。

③商談に応諾してくれるのは65%
「ちょっとだけ話を聞いてください」と言って了解をとってから進めるのがポイントです。

④審査応諾率は5%以上可能
商談スタッフの力量に大きく左右されますが、10回目は8.9%にまで高まりました。

⑤審査の承認率は75%
リース会社の審査基準によりますが、累計82回審査して67件が承認されました。

⑥即決率は3%以上
期間中に個人向けオートリースを契約してくれる比率が高まってきました。スタッフの練度が高まったことと、「こやし」(商圏告知)や、「種まき」(対面告知)の反復によってマーケットの顕在化層がやや厚くなってきたためと考えています。

---以上から、当社SSの現状の「個人向けオートリース」 獲得係数は図1に示されます。

1件成約するためには、72人のお客様に店内に座っていただき、33人のお客様と商談すればよい、ということになります。

この方式を、今年は各SSともに年4回継続しようと考えていますが、気になるのはやはり「費用対効果」です。折り込み広告や店頭POP、人件費、景品など費用も随分かかっています。最初は200万円くらいかけても思うほど成約しないので、5回目には思い切って700万円投入してみました。

その結果、費用と効果は必ずしも比例しないことが確認できました。最近では150万円くらいの予算に落ち着いていますが、かかった費用以上に即決効果が現われていることに気づきます(表3の下段)。「継続は力なり」とはよく言ったものです。


油外放浪記一覧へ戻る