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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第94回 何事も最初が肝心と言いますが・・・

この1年間の当社SS実績を総括

まずお詫びがあります。
本稿6月号の記述に誤りがありました。車検需要が2016年下半期に激減するというデータを紹介しましたが、当社の計算に手違いがありました。

正しくは、グラフ1に見る通り、2016年下半期の車検需要は増加します。謹んでお詫びし訂正いたします。



さて、当社SSの車検台数が、昨年末以来減少傾向にあり、早急に立て直していることを本稿で述べてきました。

応急処置が徐々に効いてきました。5月は前年比93%に改善し、6月は106%へと復旧しました(グラフ2)。



  

やはり車検の復調は収益全体に大きな意味を持ちます。車検が下支えしてくれるから、戦略商品(車販)の伸びがそのまま”上乗せ”されます(グラフ3、表1)。

当社の決算は6月です。第30期の事業年度が終了しましたので、この1年間の実績を表2に示します。

●営業利益が増加
営業利益は8900万円でした。前年比5000万円の増加です。黒字が増えたのは嬉しいことですが、3年後には2.5億円を計画していますので、まだ半分にも届きません。

●車検は減量増益
車検台数が260台も減少したのは残念ですが、客単価でカバーしたため、収益は1000万円改善しました。当社の基幹商品ですので、今期は台数も客単価も増加することを期待しています。

●買取が減少
日本初の「中古車買取とSSの複合店」を目指して2年前に茅ヶ崎SSに中古車買取部隊を配備しましたが、見事に失敗しました。昨年、彼らを元の店(車買取館)に戻したため、彼らが稼いでいた買取粗利も今期はSS収益に計上していません。これだけで3000万円以上の収益ダウンです。

●油外粗利が増加
買取の減少分以上を、車販とタイヤ販売がカバーしてくれました。このため油外収益は4000万円改善しました。

●競争力が3.2ポイントアップ
中古車買取部隊の経費もなくなったため、経費は608万円削減しました。この結果、燃料指数はマイナス1.4となりました。

始めよければ、すべてよし

車販実績の伸長に火をつけたのが、「個人向けオートリース」です。
昨年6月に当社の寒川SSで実験的にスタートし、続けて仲町台SS、茅ヶ崎SSでも取り扱いを始めました。これが車販収益全体の底上げに大きく貢献したわけです。残る所沢SSは今年6月から、平塚SSでは7月から組み始めています。

新しい取り組みは何でもそうですが、最初が肝心です。最初に失敗してしまうと「負け犬」経験がトラウマとなり、その後の展開に大きなブレーキをかけてしまうことを、これまでもよく経験したものです。
その意味で、当社は寒川店が予想以上にうまくいったのはラッキーでした。とは言え、失敗しそうな要因をあらかじめ除去しておいたのも事実です。

最初「個人向けオートリース」について調べていたとき、自動車販売の業界関係者たちはこぞって反対しました。
「うまくいった試しがない」「日本の風土に合っていない」「月20台なんて絶対ムリムリ…」といった具合です。

社内からも反対の声が起こりました。「車売ったこともないクセに、社長がまたバカ言ってるよ」なんて陰口を叩いているスタッフのことを耳にしたのです。それが結構影響力のあるスタッフでしたからたまりません。私は即刻呼びつけ、彼を排除しました。

そういった経緯から、寒川SSでの立ち上げキャンペーンは、SS抜きで進めました。商品開発だけでなく、キャンペーン企画、準備から当日の運営まで、すべて本社開発部のスタッフにやらせたのです。車を売ったことはおろか、接客さえまともにやっていない、つまりデスクワークが本職の50歳前後のオヤジ達です。

思えば車検もレンタカーも、素人集団が見よう見真似で立ち上げてきました。なまじ過去の経験にとらわれ、初めから「負けるつもり」のスタッフにやらせても、失敗が約束されているようなものです。 「負けよう、負けよう」と行動し、言い訳ばかりするからです。
ところが寒川SSでは、ド素人の本社スタッフが結果を出したものですから、当のSSスタッフが黙って見ていられなくなりました。他SSのスタッフ達も「早くウチでもやらせてくれ」とせかす有り様です。

「売り方」は誰も教えてくれない

未知の領域に踏み込む時、真っ先に考えることは必要な知識や技能をどこから調達するかです。チェーン店などに加入するのが手っ取り早いのですが、当社は断られてしまいました。そこで仕方なくリース会社、カーディーラー、自動車販売コンサルタントなどに教えを請いました。

リース会社は丁寧にリースの手順を教えてくれました。カーディーラーは主要車両の商品知識や車の展示方法を教えてくれ、カタログや展示車両などを提供してくれました。コンサルタントは売れてる店をたくさん知っていて、紹介してくれます。チラシのデザインなど参考例も提供してくれました。

ところが、ハタと困りました。
どうやってお客様にアプローチし、説明し、クロージングすればいいのか、その手順を誰も教えてくれません。どうやって販売員を育成すればいいのかも分かりません。かろうじて、車屋さんが管理客に販売することを前提としたノウハウめいたものがあるだけです。
普通のSSのスタッフがSSでできるオペレーションとはかなり違っています。

SSならではの「売り方」教育

そこで思いついたのが、車検販売員を育成してきた方法です。
「実戦ロープレ」と称していますが、SS来店客が説明を聞いてくれる環境を整え、スタッフに何十回と商談する機会を与える方法です。これがうまくいきました。

具体的な手順はこうです。
SS店内のPOPなどをガラリと変え、抽選会イベントを実施し、お客様をどんどんセールスルームに引き込みます。そこでクジを引いてもらって景品を渡しながら「新製品のご案内を聞いてください」とお願いすると、半数以上は承諾して席に座っていただけます。こうしてお客様と対面し説明を始めるわけです。

すると最初はしどろもどろだったスタッフが、50回も繰り返すと手慣れてきます。説明が分かりやすくなり、どんな質問にも的確に回答するようになります。
普通にセールスセンスのあるスタッフだと、車検の場合は4~5割を成約するようになります。

個人向けオートリースの場合はもっと少ないです。「ちょうど、車を乗り換えようと考えてた」という人に当たるのは10人に1人くらいで、さらに「なるほどオートリースこそ自分にぴったりだ」と評価してくれる人はその2~3割です。

確率論ですが、2~3日も商談を繰り返していると「与信の審査をやってみようか」というお客様が数人現れます。その延長線上で即日契約に至るケースも珍しくはありません。

こうしてスタッフは自信をつけ、どんなお客様に対しても臆することなく堂々と商談できるようになりました。
お気づきだと思いますが、この技ができるのは、SS以外にありません。車屋さんなら数カ月間かかるところ、SSなら数日で集中的に育成できるのです。

当社のSSではいずれも立ち上げ時に「実戦ロープレ」イベントを実施し、各1~2名ずつの車販担当者を輩出してきました。この6月に始めた所沢SSも、3日間だけですが、スタッフ2人で56回商談し大いに自信をつけました(表3)。

「実戦ロープレ」をやってさらに嬉しいのは、多くのお客様に情報を認知してもらえることです。イベント終了後もしばらくは「あの話、もう一度聞かせてよ」とか「そろそろ乗り換えようと思ってるんだよね」と言ってくれるお客様が後を絶ちません。
所沢SSもこれを機に、月150万円の車販収益が上乗せされると期待しています。


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