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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第92回 車検も車販も気を休めてはいられない

まだまだ途半ば

勝ち残れるSS作りに向け、当社は「ニコニコステーション」なるビジョンを描いています。それは燃料指数がマイナス10、年間営業利益3,000万円という強力な経営体質を持つSSです。

表1の(A)と(B)は、「ニコニコステーション」の目標値と昨年夏時点の平均実績です(本連載の昨年9月号を再掲)。半年経った今、どのくらい目標値に近づいたでしょうか。

同じく表1の(C)は、今年1~3月の平均実績、(D)は前年同月との比較です。
燃料指数を見ると半年前は5.1でしたが、マイナス5.7まで改善しました。改善幅はなんと10.8です。1~3月は車検需要期ですから、一概に比較できませんが、昨年同月比でも7.5改善したことは喜ばしいことです。

営業利益もSS当たり月間250万円へと改善しました。目標は270万円です。燃料油粗利が昨年並みに獲得できていれば、340万円でクリアできたのにと思うと、ちょっと残念です。
現実は燃料油の減販が止まらず口銭も低迷し、目標には50万円届きません。油外収益は、車検需要期にもかかわらず、まだ250万円もマイナスです。

またしてもモグラ叩きを繰り返す

もうひとつ頭が痛いのは、車検台数の減少です。
前年同月を20台も下回りました。ということは、5カ所のSSで月間100台、年間1200台もの減少傾向と言えます。

2013年から車検の拡販を集中展開した甲斐あって、年間4500台だった車検は、2015年には8000台へと飛躍的に伸びました。
「よしッ、もう車検は安定的に獲得できるようになった。次は車販だ!」と舵を切ったのが昨年夏。途端に車検台数が落ち始めました。
「人の一生は重き荷を負うて遠き道を行くがごとし」という徳川家康の人生訓を思い出します。

どこまでも続く緩やかな上り坂を、荷押し車を押して登り続けるようなもの。ちょっと手を緩めると、たちまち押し戻されてしまいます。

グラフ1は告知媒体別の車検獲得台数の変化です。

車検に投入してきた広告宣伝費を、車販(個人向けオートリース)に転換したのです。

つまり月間30万円/SSの出費をケチったがために70万円/SSの車検収益を失ったことになります。5SS合計で月間350万円、年間4200万円の収益をみすみす逃してしまいました。

個人向けオートリースが立役者

さて、車販が順調です。
着手してから半年間で100万円改善し、現在の月間平均粗利はSS当たり287万円です。
これは「個人向けオートリース」を取り扱ったことによる相乗効果です。目標は355万円ですが、直営5カ所のSSのうち、まだ3カ所でしか「個人向けオートリース」は取り扱っていません。夏までに全店での取り扱いが完了する予定です。

その「個人向けオートリース」も、昨年6月から今年3月までの10カ月間で契約数は100件を超えました。おかげでリース会社から「全国第5位」の表彰をいただきました。
今まで当社は、車検でもレンタカーでもこのような表彰を受けたことはありませんから、何だか面映く感じます。

ブルーオーシャンが早くも赤みがかってきた

―と喜んでばかりもいられません。
以前「個人向けオートリース市場はブルーオーシャンだ」と記しました。が、その楽園も永くは続かないようです。

大手コンサルティング会社が事業パッケージを開発し発売しました。そのクライアントである整備事業者や中古車販売店が相次いで参入しており、すでに100社以上が同一ブランドの「個人向けオートリース」を取り扱い始めています。

設備投資も商品在庫も必要としない「ノーリスク・ハイリターンビジネス」ですから、成功店があると聞くや、二つ返事で参入しているのでしょう。

SS業界でも某元売会社が系列店を通して「個人向けオートリース」ビジネスを先行展開しています。ただ、1店舗当たりの平均収益は、そのSSの経営体質を抜本的に改善するまでには及ばないのが実情だと聞きます。

ところが、当のコンサルティング会社は「商圏告知のための宣伝費を惜しむな」という指導方針で有名です。
前回述べましたが「個人向けオートリース」はエリアマーケティングが極めて重要だと私も考えています。ですから、非常に脅威を感じます。
結局、ブルーオーシャンは1年と持ちませんでした。ほどなく血に染まったレッドオーシャンとなるでしょう。細やかな差別化が一層重要となります。

キャパシティの限界を超えているMIC平塚SS

ところで当社の平塚SSを、このほど拡充しました。

田舎にある340坪の小さなSSですが、車検は毎月100台を獲得し黒字を出し続けている優秀なSSです。

昨年2月には隣の農地を借り受け中古車展示場を作りました。今では、月25台を販売する「中古車屋さん」の顔も持ちます。

店全体で月間900万円の油外収益を稼ぎます(表2)

ところがこのSS、小さなリフトが1基しかありません。車検は点検する時と検査場に持ち込む前に整備する時、合計2回リフトアップします。つまり、車検だけで月200回リフトアップしています。加えて、一般整備も受注します。リフトが全然足りません。
ドライブウェイでジャッキアップし、這いつくばったり仰向けに寝て整備しているのが日常茶飯です。雨の日は合羽を着用し、ずぶ濡れで作業しています。

ずっと「何とかしなきゃ」と思い続けてきた問題です。設備キャパが車検や整備の販売数を制限していることもさることながら、整備士たちの涙ぐましい努力に応えたい、作業環境を良くしてあげたいと切に願ってきました。

さらに恐ろしいことに気づきました。
昨年中古車が250台売れました。今後毎年300台ずつ売れるとすると、5年後の累計販売台数は1800台になります。

車を売ったすべてのお客様には「メンテナンスパック」を同時販売しています。つまり、1800台のお客様が6カ月ごとに定期点検・オイル交換で入庫することになります。月間平均入庫台数は300台。車検の200台を合わせると、月間500台が入庫します。

中古車販売を順調に拡大させたいのはヤマヤマですが、累積的に増える続ける入庫台数をどうするか? 思わぬところから朗報が飛び込んできました。

新生平塚SSとその目論見

平塚SSを運営継承したのは2004年末です。その頃、前面道路の真向かいに200坪ほどのエネオス(旧日本石油)のSSがありました。
昔は三菱石油と日本石油が睨み合っていたわけで、元売会社が合併して同じブランドになったわけです。

そのSSが数年前に閉鎖し、機械部品問屋に店を貸していました。
ところが今年、機械部品問屋が転居することになったというではありませんか。この僥倖を逃す手はありません。さっそく借り受けました。

取り急ぎ2基のリフトを設置しました(画像1)

これで処理能力は3倍に増えました。認証工場資格も申請する予定です。

さらに嬉しいことに、SSの建屋がほぼそのまま残っています。バブル期に造られたSSで、田舎には珍しいオシャレな造り(画像2)、車の商談に「もってこい」です。

これまでトレーラーハウスを改造した仮設店舗でちまちまと商談していました。粗末で狭くて暗い部屋で、よくぞ250台も販売したものだと、今さらながら褒めてやりたい気持ちです。

さて、ツギハギ店舗にせよ、平塚SSは遜色のない設備を有する「カーケアステーション」となりました。

「個人向けオートリース」の取り扱いも始めます。前述のコンサルティング会社によると、月間50台のオートリース契約を獲得している中古車店の事例があると聞きます。意外にSSより中古車店の方が相性がいいかもしれません。

まずは検証してみます。
うまくいけば、表2の(B)が実現するかもしれないと、またしても「皮算用」しています。


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