情報サービス・出版物

  1. トップページ
  2. 情報サービス・出版物
  3. 増田信夫の油外放浪記一覧
  4. 油外放浪記記事

増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第87回 2015年下半期に見つかった「収益大改善の兆し」

明けましておめでとうございます。
今年は本連載を始めてから8年目を迎えます。振り返れば、連載タイトルどおり「放浪」の日々でした。今年も懲りずに「放浪」を続けると思いますが、よろしくお願いいたします。

営業利益が5SSで1000万円以上改善

〈表1〉は当社SSの「11月の実績」です。
毎年11月はガソリン販売が落ち込む時期ですが、油外もこれといって「売り物」がなく、例年苦労するものです。前年は5店で700万円の赤字でした。

ところが今期は一転、経費が前年比200万円減少し、油外粗利が1400万円増加したではありませんか。燃料油口銭が落ち込んだために燃料油収益は350万円も下がってしまいましたが、440万円の黒字となり、燃料指数もマイナスになりました。その要因はSS各店それぞれ異なります。

平塚SSは、中古軽自動車ショップをつくりましたので経費が増加しましたが、セルフ化した仲町台SSと中古車買取スタッフを切り離した茅ヶ崎SSが経費削減に大きく貢献しました。

油外では、仲町台SSはタイヤ販売に本格的に取り組みました。

茅ヶ崎SSは車検が絶好調。販売スタッフ(車検名人)を2名増強したため、特に店頭販売台数が伸びました。

平塚SSは、例の中古軽自動車ショップが軌道に乗ったことが大きいでしょう。

所沢SSは人手が足りず、縮小均衡気味でやや苦戦しています。

寒川SSは自動車販売の勢いが止まりません。2015年12月号で経緯を述べましたが、昨年11月は新車・中古車を含めて26台を販売し、実に600万円の収益を稼ぎました。11月にマイナス10円の燃料指数を叩き出したのは驚きです。

寒川SSの車販が大ブレイク!

私が尊敬するプロスキーヤーの三浦雄一郎さんは、「アンチエイジングにとって大事なことは、夢を見る、夢に挑戦する、成し遂げようとする姿勢だ」とおっしゃいます。

社内で「誇大妄想オヤジ」と言われたり、何度もくじけそうになりながらも、私はこれを励みにあきらめず「放浪」しているわけです。
考え方は一貫しています。
SSの油外販売は「闇夜で鉄砲を撃つ」ような行き当たりばったりの「声かけ」はさせたくない。あらかじめ必要性が分かっているお客様を見極め、ピンポイントでお勧めしたい。そう考え、販売手順の構築を心がけてきました。

最も手順を構築しやすく収益性も高いのが車検です。そこで3年前、「車検を倍増し年間8000台を獲ろう」とぶち上げました。本社もSSも知恵を絞り一丸となって実行した結果、その「夢」は何とか実現できるようになりました。

ただ、車検は通信販売のように全国・全世界で販売できるものではありません。どうしても店を中心とした商圏エリアに限られます。したがって、車検の獲得台数がある時点を超え始めると、マーケットを深堀りするしかなくなり、広告宣伝費を投入しても効果が比例しなくなるのです。

そこでもう一つ「油外の柱」を作りたくなりました。それが車販です。
能力のあるスタッフや在庫設備を持たないSSでも、毎月20台の車を売れるようにしたい。そうすれば、安定的に年間3000万円の営業利益が得られるSSが出来上がる。

そんな「夢」がふつふつと起こり、いろいろ試してみては嘲われてきました。
まあ3年くらい四苦八苦すれば、「何か見えてくるかもしれない」と鷹揚に構えていましたが俄然、現実味を帯びてきました。

〈グラフ1〉は2015年の寒川SSの車販台数の推移です。

この寒川SSは、3年前に運営継承してから、以来、何をやっても赤字を脱却できなかった店です。しかし、新開発してみた商品を昨年6月に投入してみたところ、あっという間にドル箱SSに大変身しました。ここ3カ月間の営業利益の合計は800万円を超えたので、年間3000万円は手を伸ばせば届く距離です。

80歳でエベレスト登頂を果たした三浦雄一郎さんの偉業には遠く及びませんが、周りの自動車販売業界の人たちには、少なからずインパクトを与えているようです。

今さら知った、タイヤ販売の威力

さて、もう一度〈表1〉を見てください。
仲町台SSのオイルTBAの収益は3倍に増え、200万円改善しました。初めて公開するのですが、夏頃から本気でタイヤの販売に取り組んでいます。

月に400本売れるようになってきました〈グラフ2〉。燃料油の月平均販売量は約350klですので、kl当たり1本以上売れています。

チラシを撒いたり安売りや外販しているわけではありません。ただひたすらSS店頭で、タイヤに不具合のあるお客様を見つけてはお勧めする、という地道な活動の結果です。

実はこの結果に、私自身が驚いています。

これまで私は、タイヤ販売に消極的でした。儲からないし、市場規模も小さいと思っていたのです。

つまり、工賃込みで1本当たり2000円くらいしか粗利を稼げない。例えSS利用客の需要を100%獲得したとしてもL当たり3円にも満たないじゃないか・・・。そう思って敬遠していました(〈表2〉のケース1)。

ところが世の中にはタイヤ販売に熱心なSSが実に多い。
恥ずかしながら20年間SS経営をやっていて、これが不思議でなりませんでした。「知らない」ことは恐ろしいことですね。今般、私の常識が世間の非常識だったと思い知らされました。
読者の皆さんはとっくの昔にご存知のことかもしれませんが、私が初めて知ったことを以下に整理します。

➊タイヤは儲かる
今までSS任せで、各メーカーから都度仕入れていたため、ほとんどマージンがなかっただけなのです。メーカーを絞り仕入れを一本化して条件交渉をすれば、タイヤ1本当たりマージン5000円くらいの条件で仕入れられるのです。たったこれだけで、2.5倍儲かります。

➋タイヤのレバーレートは車検の3倍
マージンが5000円獲れるとなると、車1台2万円の粗利です。作業時間が1時間として、何とレバーレート(時間工賃) は2万円。車検のレバーレートが7千円くらいですから、3倍もの生産性です。

➌タイヤは誰でも売れる
お客様はタイヤに対し潜在的に不安を抱えています。ですから不具合を指摘してお勧めすれば、
誰でも一定割合で受注できます。SSスタッフには事前にメーカー研修を受けさせるだけです。

➍タイヤの交換サイクルは3年
当地横浜は、あまり雪が積もることがないのでスタッドレスタイヤの需要は無視していました。しかし、横浜でも冬はスタッドレスへ履き替えるお客様が確実にいるのですね。かく言う私も、
1月は毎年冬用タイヤにしています。そう考えるとタイヤ交換サイクルは平均3年と見るのが妥当です。

➎タイヤを売れば、それ以外も売れる
タイヤもオイルと同様、交換作業時にリフトアップします。すると、いろいろ不具合が発見できます。これをお客様に提案すれば、客単価(粗利)はさらに3000円ほど上がります。---ということを知った私は、タイヤのポテンシャルを試算しました(〈表2〉のケース2)。もう黙っていられません。まずはセルフ化ほやほやの仲町台SSでやってみよう。さっそくメーカーを1社に絞り、販売目標を提示し、好条件を引き出しました。次に、インストラクターを派遣してもらい、スタッフに研修してもらいました。また常時200本のタイヤ在庫を店頭にストックできるようにし、タイヤ交換機器も一新しました。

タイヤ販売の条件づくりが終われば、今度は店頭オペレーションの改善です。
SSに来店するお客様を、車番認識システムが次の3種に分けてくれます。
 ①新規フリー客
 ②車検見込み客
 ③それ以外

店頭スタッフにとって、①と②の対応に要する時間は投入時間全体の5%ほどです。給油作業がなくなった今、それ以外の95%の時間は店頭待機させるしかありませんでした。この人件費のロスを、タイヤ販売によって生かすことができます。

③のお客様にはタイヤ空気圧チェックのサービスをします。すると、タイヤの不具合が見つかります。これをお客様に指摘して説明します。こうして上記の結果となりました。人件費も販促費も増やさず、月250万円以上の収益改善が促されています。


油外放浪記一覧へ戻る