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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第86回 車販ビジネスが突然化けたわけ

車検の客単価アップに貢献する商品を探索中

早いもので、今年もあっという間に12月。
読者の皆様にとりましても、無事に新年を迎えますようお祈り申し上げます。

先月号でも述べましたが、9月から車検の客単価向上に取り組んでいます。
現状の実力は、車検台数が年間8500台、台当たり粗利が35千円ですから、車検収益は年間3億円です。順調に推移すれば、車検台数は年間1万台に到達するでしょう。
台当たり40千円稼げば、年間4億円となります。

これまで客単価向上策として商品の「提案数」を重視してきました。事前点検の結果をお客様に報告したあと、整備や快適商品を提案し意向確認します。すると、誰でもほぼ一定割合が受注できます。そういうわけで「20品目以上を提案しなさい」と言い続け、提案数を管理してきました。
今回はこれに加え、提案すべき「重点商品」を指定してみました。

SS現場担当者で構成した「車検委員会」によってノミネートされた重点商品を、全店の車検担当者がお勧めしています。どんな商品がお客様に受け入れられるか、市場調査を兼ねてやってみたわけです。

〈表1〉はこの2カ月間の結果です。総勢21名の整備スタッフによる販売実績です。提案する必要のない車には提案しませんし、SSによって専用の機器や施工技術を持ったスタッフが揃わず、取り扱えなかった商品もあります。

売り方は各自バラバラです。標準トークやツールもなく、まずはやってみました。

期待外れだったのがコーティングです。
今年春ごろから、たくさんのスタッフを研修に送り込み、晴れて「プロショップ」の認定を受けました。彼らも自信を持ってお勧めしたと思います。ところが、400人以上に提案したのに8件しか受注できませんでした。受注率はたった2%。以前、北海道のSSで「事前点検の時に2万円のコーティングをお勧めすると3割が買う」とおっしゃる所長さんがいました。

むろん当時と今では、環境が変わっているのかもしれません。地域性が関係しているかもしれません。でも、販売手順やノウハウを標準化せず勝手に売らせると、惨憺たる結果になるということです。これは仕切り直す必要があるでしょう。

エアコンフィルターは20%近い受注率を示しました。当初、懐疑的だった店長も他の店がこぞって実績を挙げていることを知るや、積極的に勧めるようになりました。

機器導入などのコスト負担はありませんし、特別な技術も必要としないので、店長たちが「これ提案しないと損だよね」と評価しています。

「ロービーム検査」が客単価を向上させた

今回やってみて浮上した商品が2つあります。
ひとつはヘッドライトクリーニングです。お勧めすると、何と6割以上が買ってくれました。9割以上の受注率を示した担当者も4人います。

ご承知のように今年9月からヘッドライトの検査基準が変わり、ハイビームではなくロービームで測定することになりました。その結果、噂では半数以上が光量不足などで落検していると聞きます。

車検に通るためには、明るいバルブに交換するか、ヘッドライトカバーの黄ばみや汚れを除去するしかありません。点検結果を示して提案すると、ほとんどのお客様が「ヘッドライトクリーニング」を選びました。

当社では車1台約4,000円の粗利がありますので、仮に5割のお客様が光量不足だとして、受注率が7割とすると、台当たり1400円アップする計算です。

もうひとつが「カーボンクリーニング」です。これも高い受注率を示しました。専用の機械を導入する必要があるので、全店が取り組んでいるわけではありませんが、整備士自身が「加速が良くなった」「燃費が良くなった」と体感したことにより、説得力が増したのだと思います。

このように、まだ2カ月間しか試していませんが、客単価がじわじわと上がってきました<グラフ1>

10月は台当たり41千円の粗利です。全店で月間600台くらい車検を実施しているので、客単価を上げるだけで月360万円以上の収益改善を実現しています。

寒川SSの車販が大ブレイク

変わって「車販」の話です。当社の寒川SSが10月に21台の車を販売し、その収益が450万円を超えました〈表2〉。11月は500万円を超える見通しです。

当社が車販ビジネスを手掛けるようになってから、かれこれ10年以上経ちますが、1SSで300万円を超えたのは初めてです。

<表3>を見ると、赤字のSSが「車販」のおかげでたちまち黒字化したことが分かります。油外収益が倍増し、経費はほとんど増加していないので、そのまま利益増に直結しました。

読者の皆さんの中にも「どうすれば車販がこんなに大化けするのか」とご興味を持たれる方がいらっしゃると思います。 まだ方法論がしっかり確立しているわけではありませんが、当社の採った手順をご紹介します。

①意表をつく商品を開発
車の買い替えを考えている人は、SS来店客の中にも、前面道路を通行する車の中にも、商圏内にも必ず存在します。まずはその人たちの関心を惹かないとなりません。そこで当社は、マイカーリースの枠組みを活用した「定額ニコノリパック」を開発し、6月に寒川SSで発売しました。謳い文句は「新車が月々1万円、車検も税金もメンテナンスも0円」というものです。

②商品を強くアピール
センセーショナルなキャッチコピーで、店頭看板、のぼり、折り込みチラシ、ポスティング、 ミラーリング、タウン誌、インターネットなど、様々な媒体で告知してみました。他にもいろいろ計画中です。まだ何が「効く」のかよく分かりませんが、最低でも月間30万円の販促費を予算化しています。車が1台売れると、だいたい20~30万円の粗利がありますので、月に2台も契約すれば損はしません。現在のところ車販のCPO(車販売1台当たりにかかった販促費)は12万円ですが、まだまだ改善できるはずです。

③車両の展示
SSが車を販売することに違和感や不信感を覚えるお客様が多いのは事実です。そこでディーラーから新車を借りて展示したり、後述するように中古車も展示しています。

展示スペースの問題や消防法の制約もありますので数台しか展示していませんが、「安心して車を買える店」であることを可能な限り訴えます。
ただ並べるだけでは意味がありません。SSには車があることが「ごく当たり前」の光景ですから、「商品」であることを明確に示す必要があります。また車両に動きや変化を与えることが重要だと考えています。

つまり、大きな値札をつけたり、状況に合わせて「商談中」「成約済」「納車準備中」「本日限り特価」といった札をつけたり、車両を毎日入れ替えたりして、展示車の鮮度を保っています。<写真1&2>

④商談
チラシや展示車に反応してお客様がやって来ます。お客様の方から「これはどういう仕組み?」「詳しく教えて」とやって来るものですから、担当者もノリノリで商談できます。その結果、2人のうち1人くらいが契約の意向を示してくれます。

初めは慣れないので、手順が前後したり手間取ったり、お客様の意向を絞れなかったりして、商談に3時間も4時間もかかっていました。でもこのごろは、ほぼ1時間くらいで契約の前段階にまで至っているようです。

⑤与信
お客様の個人情報を記入していただき、リース会社に審査をお願いします。30分ほどで結果が出ますが、担当者は待ち遠しいったらありゃしません。2~3割のお客様は審査が通りません。販売担当者もがっかりです。そもそも、あちこちでローンや借入れを断られた人が、「月々1万円なら大丈夫かも・・・」と一縷の望みを託して当店にいらっしゃるケースが多いようです。

⑥乗り方提案
マイカーリースだけで車販ビジネスが成り立っているわけではありません。これは万人向けの商品ではないからです。走行距離が長い人、現金一括で支払いたい人、短期でいろんな車種を楽しみたい人、自分仕様にいろいろ改造したい人、車の名義が自分のものにならないと気が済まない人などには、リースは向きません。

こうしたお客様の抱えるさまざまな事情の受け皿として、商品のバリエーションが必要です。寒川SSでは、次のような商品をラインナップしています。

 ➊新車
 ➋下取り中古車
 ➌近隣の平塚SSで展開している軽自動車専門ショップの中古車在庫
 ➍現役で使っているレンタカー
 ➎退役したレンタカー〈低年式激安中古車)
 ➏オークション場からの落札代行
 ➐全国中古車店ネットワークからの業販

支払い方法は現金またはローンを用意し、➊のみリースも取り扱うというわけです。これらは数多の車屋さんが普通に取り扱っている商品ですから、誰も好んでSSで買おうとは思いませんね。大々的に告知しても反応してくれません。

だから、どこにもないインパクトを与える商品が必要なのです。
つまり、当社の「定額ニコノリパック」の真の目的は「呼び水」です。

車の買い替えニーズを持ったお客様が興味を持ち「話を開きたい」と言って来てくれるから、上記メニューが俄然として生きてくるのだと思います。

ちなみに、➋➌➍➎は現車をお客様に見せることができるため非常に売りやすいことは以前に述べました。特によく売れているのが➋の下取り車です。

〈表3〉を見ると、「マイカーリースが車販を触発し、車販が下取り車を生み、下取り車がさらに車販を押し上げる」という構図が浮かび上がります。


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