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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第85回 車検獲得効率の高い販促方法と車検客単価向上

今期は好調にスタート

当社は7月から新事業年度が始まりました。今期は創業30周年という節目の年になります。
第1四半期(7~9月)の当社SSの平均実績を「表1」に示します。

前年実績と比較すると、燃料油販売量は減少しましたが、油外収益は1SS当たり160万円も増加しました。そのうえ、経費が少し減少しました。その結果、燃料指数は8.7から1.9へ大幅に改善しました。

好調の要因は車検と車販です。
経費増加を伴わずに販売実績が大きく上向きました。ここ数カ月は車販の話題が続きましたので、今回は車検をテーマにします。

「販促強化するも車検増えず」その原因は?

車検台数は今年に入ってからも快調に推移していましたが、仲町台SSが、5月、6月と連続して前年実績を割りました(表2)
店長に聞いてみると「速太郎の影響ではないか?」と他人事みたいな返答です。

確かに、地元の中古車販売の有力店がこの春、近隣に「未使用車専門店」を出店し、同時に「車検の速太郎」の看板を掲げ、ほどなくして指定工場の認可を得ました。
勢いのある車検チェーンですから、当社としても「真っ向勝負」の迎撃態勢を整えました。

仲町台SSはちょうどその時期、セルフ化工事に着手していたのですが、工事中も営業を続け、店頭販売も一生懸命に行い、ミラーリングやネット販売も全開で実施しました(表3)
ところが、先方はなかなか車検攻勢を仕掛けてきません。

未使用車の折り込みチラシの片隅に車検を告知する程度で、なんだか肩透かしを食らった感じです。現に、同じ商圏にある茅ヶ崎SSは順調に伸びています。ではなぜ、仲町台SSは車検獲得台数を減らしたのでしょう?

電話やインターネットによる車検の問い合わせを申し受ける女性担当者がいます。
ある日、彼女がこうこぼしました。「車検の日程を決めようとしてもお客さまの希望する日はすでに一杯で、決まらない」のだと。
つまり、せっかくお問い合せくださったお客様がいても車検の日程を組めないから、逃してしまっていると言うのです。

原因が判明しました。
仲町台SSは車検の受付枠を半分にしていたのです。
当社の車検は「立ち会い車検」ではありません。「前日に車を持ち込んでいただき、整備した後、翌日検査して返却する」という「預かり車検」の方法をとっています。これは主に、指定工場の都合に合わせて作業するためで、結果として処理能力は増えます。

車検が入庫する1週間くらい前に、お客様に一度ご来店いただきます。「車両点検をして報告し、整備を受注する」-すなわち「事前点検」です。これは指定工場ではなくてSSで実施します。
点検・結果報告・見積もり提示・整備受注という事前点検の一通りの工程にかかる時間について、昔は90分としていましたが、メカニックが手慣れ、車検台数が増えるにつれ、60分に短縮しました。

つまり、60分の枠を1日10枠設け、1カ月300枠を確保したのです。この枠に、前出の受付担当者がどんどん予約を入れるわけです。300枠あれば、月間200台以上の事前点検を処理できます。

ところが今年3月、入庫台数が300台を超える見通しとなりました。そこで事前点検枠を30分単位に短縮しました。設備と人員はそのままの状態で、キャパシティを2倍にしたのです。
現場は相当大変だったと思いますが、何とか3月は342台の車検を実施し乗り切りました。

そして嵐が過ぎ去った後、仲町台SSは再び60分単位に戻していたのです。それを知らない私だけが「打倒!速太郎」と声高に叫び、告知し、たくさんの注文を発生させながら、受付担当者が「もう一杯です」とお断りしていたのです。
まるでアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものです。ブレーキをやや強めに踏み込み過ぎたため、前年割れを起こしたのでしょう。

原因が分かったため、7月以降の車検台数は回復したのですが、ただこうした事態を店長や担当者の責任問題にするのは酷です。油外収益の増大を図るほどに、店長の責任範囲は広がります。

ごく普通に、燃料、洗車、オイル、タイヤなどの販売を取り回すだけでも、店長がカバーする範囲は広い。そうであるにもかかわらず、これらに加えて、「毎月200台の車検、50台のレンタカーを取り回しなさい」、さらに「車販で毎月400万円を稼ごう」「タイヤを年間「5000本売ろう」「新しいコーティングをマスターしなさい」などと期待しても、おそらく人間の能力の限界を超えてしまい、すべてが通り一遍になってしまうのは無理もありません。

とは言え、車検整備はお客様の命に直結するサービスですから、妥協するわけにはいきません。
というわけで、この「事件」を契機に、「車検委員会」なるものを設置しました。各SSに車検委員を1名ずつ任命し、車検に関する通達や改善は店長ではなく、彼らを通じてSSへ落とし込むことにしました。なお同様の理由から「レンタカー委員会」も同時に立ち上げています。

CPOの高い販促活動にシフトする

さて、車検台数が好調な要因のひとつに販売促進費の使い方の変化が挙げられます。車検1台を獲得するために要した販促費をCPOと言いますが、昨年のCPOは10千円だったのが、今年は6千円にまで改善しました(表4)

販促効果を測定しながら、効率の悪い販促活動をやめ、効率の良い販促活動にシフトし続けてきた結果、コスト総額を変えることなく入庫台数が増加しました。

では、効率の良い販促活動は何かというと、ミラーリングと店頭販売活動です(表5)

ミラーリングは極めてダイレクトなエリアマーケティング活動で、CPOは4千円。車検との相性は抜群です。告知エリアの範囲を広げ、活動量を2倍にしてもCPOはほとんど変わりません。

そして、店頭での販売活動です。
CPOは実に1400円。給油目的で来店しているお客様の中から車番認識システムが車検対象客を捕らえたら、これに対して、SSスタッフが「お勧めする」という至極単純な活動です。しかし、この活動を継続するためには教育管理などのマネジメントが欠かせず、その負担が大きいのが玉に瑕です。少しでも手を緩めると、あっという間に瓦解します。

先の車検委員会でも、この店頭販売活動の維持向上に腐心しているところです。


次は、車検の客単価向上が課題

当社は直近3年をかけて、車検台数を倍増させました。今年は年間8500台となる見通しです。このまま改善強化を推し進めれば、年間1万台の車検獲得も実現性の高いものになってきました。

次の課題は客単価です。
最近、ある大手車検会社の評価基準を目にしました。車1台当たりの車検粗利により5段階の評価をしています(表6)

これでいくと、当社は約3万5千円ですから評価は3点、「並」レベルです。最高評価は4万円ですから、やはりこの会社も4万円が目標なのでしょう。

当社の現状の年間車検収益は「8500台×3万5千円=約3億円」です。なおも3年間くらいかけて、客単価を4万円にすることが次の課題です。そうすれば、年間車検収益は「1万台×4万円=4億円」となります。

前述のように、当社は事前点検を行っており、この時にいかに整備を提案し受注するかで客単価が決まります。ブレーキなどの「重要保安部品」を重点的に点検し、見積もり書を提示するのが一般的ですが、それだけでは台当たりの車検粗利は2万円程度にしかなりません。
かといって、整備の必要のない箇所を偽って整備・交換してしまえば、お客様の信頼を損ない、スタッフのモラルも保てません。

一方で、ドライバーの意識調査では、「小まめに適時メンテナンスをするより、車検時にまとめてメンテナンスしたい」という傾向が強いと聞きます。確かに、メンテナンスは「楽しい買い物」ではありませんから、車検時に「面倒なことはこの際、全部やってしまおう」と予算化しているお客様がほとんどです。

つまり、「車検を通す」ための整備だけでなくて、店側から提案されたメンテナンスが自分の愛車にとって有用ならば、一括して注文してくれる傾向が強いのです。「車検時にまとめて販売するより、次の車検までの聞に何回にも分けて販売する方が、お客様の負担も少ないし親切な売り方だ」と、よく主張する人がいます。しかし、経験則から言うと車検時一括販売の方がお客様は楽なのです。SSにとっても受注金額の総額はふくらみます。

車検は一種のアニバーサリー(記念日)です。
この記念日には、普段と違う出費をしてもらえるのです。

メンテナンス商品だけではありません。カーライフを快適にする商品なども、普段より車検時の方がお客様は良い反応を示します。ですから、店側が積極的に提案するべきなのです。こういった観点から、車検時に提案できる商品ラインナップの充実や、提案方法の標準化をしていきたいと考えています。

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