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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第84回 SSは新車も中古車も売れる

夢と消えた巨艦カーケアステーション

当社は現在5カ所のSSを運営しています。最初に始めたのが1995年、本社至近の仲町台SSでした。以来、当社のフラッグシップSSとしてたくさんの実験を行い、成果を出してきました。

その仲町台SSが20年経った昨年12月に定期借地権が切れることから、土地を返還する心づもりでいました。
350坪の土地ですが、6人もの地主がいて、しかも契約当時から皆さんご高齢でしたから、相続税対策がらみで契約の更新はないものだと思っていたのです。ところが6人の地主は皆、今もご健在でした。お伺いしてみると快く定借を更新していただく運びとなりました。ありがたいものです。

それならば、ということで、この仲町台SSもセルフ化することにしました。当社の直営SSでは最後のセルフ化案件です。そしてこの機に、店のハード面の課題を解消しようと考えました。もっとも頭を悩ませていたのは駐車場の問題です。

仲町台SSのガソリン販売量は月平均400klほどですが、車検は毎月200台が入庫します。レンタカーも50台を運用しています。他にも車を売ったり下取りしています。
徒歩圏内の3カ所に分散して合計60台分の駐車場を借りていますが、車の出し入れに多大なロスが発生しています。

SSフィールド上もお預かりした車やレンタカーの待機車がいつもひしめいている有り様です。8つの給油レーンがあるにもかかわらず、実質2~4レーンで切り盛りしています。おそらくSSというハードのキャパシティの限界を超えていたと思います。

そういうわけで、4階建ての設備を検討しました。1階は給油や洗車設備、2階は10基のリフトを持つ指定工場、3階は車の展示場、4階は50~60台分の駐車場を確保するというものです。なかなか壮大なスケールのカーケアステーション構想です。

しかしその目論見は、結局あきらめざるを得ませんでした。
まず土地利用の制約から、当エリアではリフトの設置は5基までしか認められないことが判明しました。それから350坪の敷地では、傾斜通路が設置できないと言われました。エレベーターという手もありますが、例えば、レンタカーの出発が集中する時間帯だと、最後に出庫できるのは1時間後となってしまいます。これでは商売になりません。

そして決定的だったのは工期です。まず「高層化」工事のために周辺住民との公聴会や根回しが欠かせません。これに相当の時間がかかるそうです。その後、着工したとして、完成までに最低2~3年かかると言われました。

というわけで、「4階建て巨艦カーケアステーション構想」の夢は潰えることとなり、普通のカーケアステーションに落ち着きました。今年6月に着工し、8月から仮営業中です。9月中旬頃より、いろいろ「ワザ」を繰り出そうと考えていますので、どうぞお楽しみにお待ちください。

車販は経費がかからない

話は変わります。当社は7月から新しい事業年度に入りました。今期は第30期です。
この節目にあたり、3ヵ年目標を作成しました。すべてのSSが、年間営業利益3000万円、燃料指数マイナス10を目指します。この目標達成に向け一斉にスタートしました。

さっそく一歩リードしたSSは、前回も紹介した寒川SSです。
3年前に運営交代してから、以来赤字続きで当社で最も「お荷物」SSでしたが、にわかにトップSSへ躍り出ました。絵にかいたような「V字逆転」です(表1)

経費は増えていないのに、粗利益がほぼ倍増しました。その中心は「車販」です。油外収益全体の3分の1を占めます。
これは嬉しいですね。


ガソリンでも車検でも、販売数量を増やそうと思うと、連動して販促費や人件費がかさむのが通常です。ところが寒川SSの実績を見る限り、販促費を半減しても「車販は増やせる」のかもしれません。

「マイカーリースはダメ」と言われたが・・・

寒川SSで突然、車販がブレイクしたのは、やはり「マイカーリース」を商品化したことが大きいでしょう。新車はメーカーが品質を担保してくれます。
これにSSが提供するガソリンやメンテナンスサービスの「最寄り性」「利便性」を組み合わせると、マーケットの一部は反応してくれるに違いありません。

ただ、ひと筋縄ではいきません。
新車市場はカーディーラーの牙城が難攻不落の感があります。これを切り崩す武器として「マイカーリース」を試してみました。これは決して新しいスキームではありません。様々なリース会社が昔から提供しています。

ただ「車を個人でリースする」という考えは、一般に馴染みが薄く、ほとんど普及していないのが実情です。多くの業界人が口をそろえて「リースはダメ」と忠告してくれたものです。とはいえ、車両価格だけでなくリース期間中の税金、保険、メンテナンスを一括して平準化できるメリットがあり、突然の出費に悩んできた多くのドライバーにとって、「月々の支払い額が一定」というのは魅力的ではないかと考えました。

当社にとっても、在庫を持たずに商売でき、販売後のメンテナンスニーズは独り占めでき、リース満期後の車両をダイレクトに入手できるのは大きなメリットです。

そこでリース会社が提供するサービスをベースに商品を組み立ててみました。
すると、軽自動車であれば月々1万円ポッキリ(車両代、税金、保険、メンテナンスコミコミ)でユーザーに提供できる形ができました。そして、これを折り込み広告や店頭看板で力一杯PRしてみました。すると初月の契約が11台。リース会社からは「関東地区代理店のトップです」と表彰されてしまいました。

先入観を持たず、一所懸命やったことで「ビギナーズラック」をもたらしたのかもしれません。しかし、当社の掲げる目標にはまだ及びません。


SSは車を借りて見せれば売れる

ともあれ、「マイカーリース」の発売を契機に、寒川SSの車販全体が活性化したのは事実です。(表2)

表3は寒川SSの車販態勢の変化をまとめたものです。インフラも人間力も以前とほとんど変わりませんが、「見せ方」が大きく変わりました。
「軽自動車が月々1万円」という訴求力の高い商品がラインナップされ、これが「切り込み隊長」となりマーケットを揺さぶります。

折り込み広告はもとより、店頭看板(LED看板など)で毎日商圏に告知し、その存在感を浸透させています。そして、カーディーラーから「旬」の新車を借りて店頭に展示しています(画像1)

加えて中古車の在庫も数台展示しています。
寒川SSの近くに平塚SSがありますが、そこに併設した中古車展示場から在庫を借りて展示したり、70台の在庫の中から、いつでもお客様に現車を見せられるようになりました。

「現車を見せれば誰でも売れる」のは以前から何度も申し述べています。この現車は「借り物」で構わないのです。

むしろやるべきことは、注目度の高い現車を借り、しっかりディスプレイし、注目させることではないかと思います。ただ陳列しても、SSの敷地内に車があるのは当たり前の光景なので誰も注目してくれません。この辺りは、消防法などの制約もあり試行錯誤している最中ですが、大きな可能性を感じます。

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