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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第80回 メカニックの車検キャパシティは1人当り月間200万円

3年がかりで車検倍増!

前回述べたとおり、当社が運営する5箇所のSSで、この3月は合計997台の車検を実施し、過去最高を記録しました。

4月の実績も前年比213台増の616台でした。きわめて順調です。
このまま推移すれば、今年は年間8000台を超えるのは間違いありません(グラフ1)

この趨勢をもとに、車検販売改善活動を始める前の2012年から今年までの車検実績の推移をまとめたのが〈表1〉です。

全店年間合計値と1SS当たり月間平均値を併記しました。
現状は、車検粗利にして年間3億円の事業規模へ到達したことが分かりますが、身近な数字としてとらえるために「1SS当たり月間平均値」を見てみます。

車検台数は、2012年には月平均78台だったのが、3年かかって同144台へ倍増しました。
車検粗利も月平均300万円から同520万円へ200万円以上増加しました。

販売方法の中心は、SS店頭での販売活動と、ミラーリングやインターネットによる商圏告知です。
気になるのは、台当たり粗利が「39千円」から「36千円」へ3千円ほど減少していることです。ネット販売を強化した副作用でしょう。、ネットで車検を購入した顧客は、あまり整備を買ってくれない傾向にあるようです。

そして、販促費が月平均75万円から同102万円へ約30万円増加しました。しかし、CPO(台当たり販促費)が3千円減少したというのは、販促効率(費用対効果)が随分改善したことを意味します。

念願の年間8000台にようやく手が届くようになりましたが、このレベルに到達してもなお、新たな改善点が見えてきます。そして次のような欲も出てきます。

 ①車検台数はまだ増やせそうです。新規獲得数を増加させることはもちろんですが、
  リピーター率の向上も大きな課題です。
 ②台当たり粗利は、手順を磨き上げ、スタッフ訓練を強化すれば、
  さらに向上させられる余地があります。
 ③販促費もさらに効率化を追求できるでしょう。CPOを5千円以下にしたいと考えています。

今後の目標を〈表1〉に付記します。これらの課題を解決すれば、年間1万2000台の車検獲得も夢ではありません。さらに台当たり「42千円」が確保できれば、年間5億円の車検粗利が見込めます。

販売と作業は表裏一体

ーーーなどと、皮算用してニヤけている場合ではありません。
車検の販売面ばかりを述べてきましたが、車検を売れば、必ず「作業」が伴います。3月に1000台近くの車検を実施してみて、作業キャパシティはほぼ限界値だと感じました。

車検業務の順序は次の通りです。
 ①まず車検を販売する。
 ②その後事前点検を実施し、整備を販売する。
 ③車両を預かり、法定2年点検を実施する。
 ④受注した整備作業を実施する。
 ⑤継続検査を実施し、車両を引き渡す。

このうち、①②は販売業務、③④⑤は売れた業務を処理するための作業です。

「販売」と「作業」は両輪ですから、販売力だけを高めても、作業キャパシティが追いつかなければ、品質は悪化しクレームは多発しお客様は離れ、その結果、販売活動にもブレーキがかかってしまうでしょう。

当社の各SSがこの「販売」と「作業」を、どのように実施しているかを〈表2〉にまとめました。

仲町台SSの至近に、指定整備工場の「整備センター」を運営しています。茅ヶ崎SSも同じエリアにあります。したがって、仲町台SSと茅ケ崎SSに関しては、「販売はSS、作業は工場」という分業でやっています。
他の3SSは、販売から作業までを一貫して実施します。検査だけは陸運局に車を持ち込みます。

臨時シフトで臨み「車検作業キャパ」を倍増

作業キャパシティは、「設備」(リフト)と「人」(整備士)の両面でとらえなければなりませんが、3月の車検に対して、作業効率を分析したのが〈表3〉です。

特に熾烈をきわめたのが、「整備センター」です。リフト3基で計600台の車検作業を実施しました。リフト1基に付き200台・700万円以上の作業を処理したことになります。

当然ながら、通常のシフトでは回りません。そこで「整備センター」の所長は1日2交代制の臨時シフトで臨みました。これにより、早朝から深夜までリフトをフル稼働させ、普段の2倍、6基分のキャパシティを確保したわけです。

整備士はSSに配属する予定だった新人2人を「整備センター」に配備し、9名体制で臨みました。1人当たり67台・240万円の作業を実施したことになります。
2人の新人は、これまでの経験をはるかに凌ぐ作業量をいきなり任され、面食らったことでしょう。

いずれにせよ、3月のピークを何とか乗り切りました。おそらくこれが、今の当社の車検作業キャパシティの限界なのでしょう。人も設備も増強しなければ、これ以上、車検台数を増やすことはできないと痛感した次第です。


車検客単価の向上が課題

<表3>を見ると、整備士1人当たりの付加価値収益は概ね200万円くらいです。
3月の整備士の平均労働時間は200時間くらいでしたから、レバーレート(時間当たりの工賃)は1万円。やはり、もう少し客単価を上げ、作業環境を改善する必要がありそうです。

いかに車検の客単価を上げるかですが、車検料金を値上げするのは、車検販売台数の減少を招くのでいけません。車検の客単価を上げるというのは、車検の受注後、いかにたくさんの整備を販売するかにかかっています。

そのためには、どのSSも次の工程を実施しています。
 ①車検実施の1週間ほど前に車を点検する(事前点検)
 ②点検結果を報告する。
 ③整備の必要性を説明し提案する。
 ④整備を受注する。
この①~④を実施するには、平均1時間かかります。
お客様に20品目ほどの整備商品を提案し、3~5割を販売しているのが現状です。
しかし、3月の車検ピーク時は時間的余裕がなくなり、お客様の納得を得るのに十分な商品説明もままならないようです。

そこで、事前にダイレクトメールやホームページで「提案したい商品情報」を発信してみようかと考えています。人間ドックに入る時は、事前に注意事項や用意すべきものが細かく通知されますね。これと同じように、車検に関しても事前の案内が有効なのではないかと考えました。

整備商品だけではありません。
多くのお客様に提案できる商品として、例えばドライブレコーダーやパックモニターがあります。

いかに便利で安全で事故を軽減できるかをきちんとお知らせしておけば、事前点検当日にことさら説明しなくても、お客様の方から関心を持ってお越しいただき、提案するだけで購入してくださる人も出るかもしれません。

もう一つの方法として、分割払いを積極的に提案してみようかと考えています。
支払い方法を多様化すれば、利便性が向上するという位置付けで、従来から分割払いを取り扱ってきましたが、やはり、分割払いを希望するお客様は整備商品の購入額も大きくなる傾向にあります。

さらに、ローン会社からのバックマージンも意外にバカにできません。現金やカード払いに比べるとやや手続きは面倒ですが、試してみる価値はありそうです。

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