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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第78回 車検実施客に次回の車検予約を獲ってみた

ガソリンが収益を阻むも今年も車検に邁進

ガソリンマージンが大幅に圧縮しています。
5カ所の直営SSで、2月は約1100klを販売しましたが、 平均口銭はマイナス5円の逆ザヤ。ガソリンだけで500万円以上を失いました。

前年同月より車検を150台増やしたにもかかわらず、1000万円の赤字を計上してしまいました(表1)

SSと本社が一丸となって取り組んできた努力が報われないことに苛立ちを感じます。
この異常な市況はいつまで続くのでしょう。なおも1000万円の改善が求められる現実に気が遠くなります。果たして、油外商品の販売努力で改善できるものでしょうか。それまで会社を維持できるのでしょうか。

気をとり直していきます。今回の話題は車検です。
車検獲得台数を年間8000台にしようと、2年前から取り組んでいます。

かつて巷で「車検の2014年問題」が騒がれましたが、当社SSの車番認識システムに登録されている顧客データの分析からも、2014年の車検需要の落ち込みは明らかでした。
その反動で、今年2015年は、車検需要は増加します(グラフ1)
その恩恵をSS業界が得ることができるかどうかは、私たちの行動にかかっていると思います。

当社は今年に入ってから、車検獲得手法をさらにリファイン(洗練)しました。その成果が現れ始めています。1~3月実績を見ると、昨年は1866台でしたが、今年は2000台を超えます。ようやく今年こそ8000台を越えられるのではないかと期待しています(グラフ2)

ガソリンを武器に「車検予約を早める」

車検獲得手法をリファインしたひとつ目は、店頭活動です。
CPO(入庫1台当たりの販促費)が2000円以下という、最も安上がりで確実な車検獲得手法ですが、来店客に対するアプローチのタイミングを改めました。

今までは、車検満了2カ月前にアプローチすることを基本としていました。3カ月以上前にアプローチしても、ほとんどの顧客は「車検」を他人事としか考えてくれません。ですから、お勧めしても「検討します」と言われ、成約しません。即決してもらうには、やはり2カ月前が最適なタイミングなのです。

これに加えて、2年前からは事前に来店客すべてに対して、「次回の車検をエントリーしておいてください」と仮予約をとり、DM(ダイレクトメール)や電話などでフォローを続けました。
このため、車検満了2カ月前になるとスタッフがアプローチしやすくなり、成約率も向上し、一定の成果を収めたことは、本連載でも以前に述べたとおりです。

しかし今年は、車検満了4カ月前からアプローチするようにしました。早期予約によるガソリン割引メリットの大きさを伝えることで、上記の問題を解消しようと試みています。

ガソリンを武器に「車検客の固定化を図る」

車検の新規客は、努力の甲斐あって競合の車検専門店をはるかに勝る件数が獲得できるようになりました。
ちなみに、車検専門店の新規獲得手法は折り込み広告が主体ですから、CPOは1万2000円くらいです。

ところが、当社SSのリピーターの獲得率はいまだ40%前後です。専門店の半分です。車番認識システムを活用してリピータ-に対する店頭フォローを徹底しているのですが、一向に上がりません。

調べてみると、車検実施客の半分以上が、その後、SSに来店していないことが分かりました。インターネット、折り込み広告、ミラーリングなどで商圏から車検客を獲得しても、再び元のSSで給油しているのです。
彼らにDMを発信し電話を入れていますが、反応したのは1割以下でした。商圏から車検を獲得するのは簡単ですが、これを固定客にするのは甚だ困難だということを思い知りました。

そこで昨年夏より当社の平塚SSが試みていた方法をブラッシュアップ(磨きをかける)し、 直営全店で展開し始めたのが、次の方法です。

車検が完了し報告・精算が終わると「ニコニコ車検クラブ」という、ガソリンやメンテナンスがお得になる会員制度を案内します。入会は無料ですが、次回の車検を予約していただくことが前提になります(画像1)。 やってみると、9割以上が入会(すなわち車検予約)してくれました。

果たして、このうちどれくらいが実際に入庫するかは、2年後のお楽しみです。しかし、2年間有効のクーポン冊子を差し上げ、会員サービスを提供し続けますので、リピート率は向上するのではないかと期待しています。

もしも新規獲得数が現状維持のままリピート率が向上すれば、2年後の車検入庫台数は、年間1万台を超えるに違いありません(表2)


リピーターが車検の収益性を押し上げる

リピート率向上のメリットは、獲得台数の拡大だけではありません。
インターネットによる車検獲得台数が増加するにしたがい、「ネット客は整備を買わない」というSSスタッフの声が挙がるようになりました。

調べてみると、確かにネットで車検を購入してくれた顧客は、客単価(粗利)が5000円くらい低くなっています(表3)

たくさんの車検をネット上で比較した結果、当店を選んでいただいたわけですから、財布の紐の固い顧客が多いのでしょう。
しかし、それより新規客とリピーターの客単価(粗利)の差が8000円もあることに驚きます。リピーター確保の重要性をつくづく感じます。

現在の当社SSは新規獲得偏重ですから、より多くの販促費がかかる割りに得られる収益が低いわけです。この状況は打開しなければなりません。

ネット販売もミラーリングも好調

店頭活動以外の車検獲得手法も洗練されてきました(グラフ3)
インターネットによる車検販売は、昨年の試行錯誤を経て、かなり強化されました。
ホームページでの見積もり依頼件数は、昨年は250件、今年は450件とほぼ倍増しました(1月実績)。

このうち約4割が入庫します。
ホームページからの入庫台数が増加したため、CPOは昨年8000円、今年は3700円と大きく改善しました。

ミラーリングによる車検台数も増えました。「継続は力なり」です。委託スタッフが商圏内の配布活動に慣れ、商圏にも認知されてきました。配布件数、ヒット率ともに向上しています。 ミラーリングのCPOは約4000円。すぐに始められ、SSスタッフに負荷がかからず、ローコストであるのが特徴です。
商圏内に世帯の密集地があるエリアなら、試してみる価値はあります。

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