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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第77回 自動車売買ビジネスに本気で取り組む~<その2>

オークションダイレクト方式の限界

当社は今年を「自動車売買ビジネス元年」と位置づけ、既成概念を打ち破るべく取り組んでいます。
前号では、当社の運営する茅ヶ崎SSに中古車買取機能を付加したいきさつを述べました。
今号はその続きです。自動車販売についても新たな取り組みを始めますので、以下に紹介します。

SS業界における「車販」は、いわゆる無在庫販売が一般的です。
無在庫販売とは、オートオークション(AA)に出品される中古車の中から、お客様の希望条件に合う車両を探し、その落札を代行するもの。「オークションダイレクト」方式とも呼ばれます。現在おそらく数千カ所のSSが取り組んでいると思います。

この方式の最大の利点は、在庫リスクがないことです。
ですから、極めて容易に参入できます。もっと言うと、車検の販売活動やレンタカービジネスとの相性のよさは見逃せません。

当社も「オークションダイレクト」を導入してから以来10年あまりが経過、この間、試行錯誤を重ねてきました。しかし、どのSSも月間100~150万円の収益で頭打ち状態に陥っています。

車検は1SS当たり毎月300~500万円の収益を安定的に稼ぐ商材になりました。
車販についても毎月コンスタントに300万円超の粗利を稼ぎ出すビジネスにしたいと模索するのですが、どうも「オークションダイレクト」では限界があるようです。

SSに「車販」スタッフが育たないワケ

いかにして車を買い替える見込み客を集客するか。これも重要な課題ですが、それ以前の問題として、SSでは「車販」スタッフが育たない。最大の理由は、車販スタッフの育成が困難だからです。

車検販売のプロは、平均的なSSで2~5人を育成し配備することができます。でも車販のプロになり得る人材は経験上、20人に1人くらいしかいません。10年以上車販に取り組んできた当社においても車販のプロは3~4人です。
新車であればカタログ販売もできますが、中古車で現物(実車)を見せずに売るのは、やはり難しいのだと思います。

まず最初に、中古車に対し何ら興味を示さないお客様の中から見込み客を探し出すのにひと苦労します。そして瞬時にお客様と信頼関係を築き、車のデータだけでありありと現物をイメージさせ、購入後の素晴らしいカーライフを想像させ、お客様の迷いを払拭し問題点を解消してあげなければなりません。
これらを「話術」だけで実現するのですから、スタッフには高いスキルや経験が求められます。

ところがこの資質を持った人が、なかなかSSに居着きません。次々と独立してしまうのです。車のブローカーとして十分に食べていけるからです。
ーーということに,最近気づきました。

そういうわけで「オークションダイレクト」の人材を十分に確保するのは困難なのです。
各SSに車販担当者を3~4人も配備できれば、毎月300万円以上の車販収益が獲得できるのに・・・と思いながら実現できないのはこういう理由でした。

車販は「生涯顧客の囲い込み」の決め手

SSにおける車販の困難さをよく認識しながら、けれども、私は、それでもなお車販にこだわりたい。 今後、燃料油需要がますます減少することは目に見えています。しかし、車の保有台数はそう減りません。ですから、「燃料油を接着剤として油外商品を提供する」ビジネスモデルは、普遍的なものだと確信しています。

油外商品はいろいろありますが、小さな商品でも大きな商品でも、販売の手間はあまり変わりません。ならば、大きくて売りやすく、売れば連鎖的にいろいろなものが売れていくー。そんな商品の販売にこそエネルギーを注ぐべきだと思います。

そういうわけで、まずは車検に注力してきました。そしてようやく、競合専門店に負けないレベルに到達できそうです。しかし、現状の燃料油のマイナスマージンを改善するには、車検だけでは不足なのです。

よって、もう一つの収益の柱として「車販をモノにしたい」。車販は、生涯顧客の囲い込みを図り得る魅力的な商品でもあります。

新車販売は意外に簡単?

〈表1〉は、これまでの経験から、およそ車の売買ビジネスに必要な要件を整理したものです。
クルマ売買の業態を、①~⑥の6つに分類し、それぞれに必要な要件を、◎○△で示しました。◎は必須要件です。

(a)対象客の集客力、(b)車両調達力、(c)商品化力は、実は比較的簡単にSSが獲得できる能力です。自動車販売業界には多数のノウハウが存在します。コンサルタントもいます。知っている人から教えてもらえば問題ないでしょう。

(d)展示車両数は「展示場」という物理的なスペースを要します。まともに50台以上の中古車を展示しようとすると、SSの敷地だけでは足りません。
これをクリアできるSSは少ないと思います。仮に、200坪くらいのスペースをSS隣地に確保できれば、「④現車展示販売」が望めます。

(e)査定スキル、(f)相場観は、スタッフが場数を踏まないと備わりません。しかるに、この「場数」を十分に確保してあげられないのが、SSの現実です。

(g)人的販売力は、スタッフの資質にもよりますが、まじめでモチベーションの高い人であれば、研修や評価で強化することは可能だと思います。

こう考えると、「③オークションダイレクト」は、参入しやすいけれども本格的に展開するには意外にハードルが高いことが分かります。むしろ、「⑤新車販売」の方が取り組みゃすいのではないかという結論に至ります。
とは言え、これは机上の理屈に過ぎません。

当社のSSで新車販売の実証実験を行うことを考えており、 只今準備中です。

中古軽自動車専門店に挑戦!

当社のSSがどの業態に向いているかも考えてみました(表2)
前回述べたとおり、査定や相場の「場数」を踏んだ買取専門スタッフを配備した茅ヶ崎SSは、「④現車販売」以外はどれも手掛けることができます。

平塚SSはこのほど、隣の農地200坪を借り受ける運びとなりました(写真1)

当SSは市街地から外れた郊外農業地域にあり、商圏需要も乏しく当社の中では立地条件が最悪のSSですが、今回は逆に、これが幸いしました。

実車を展示して値札を付ければ、興味を持ったお客様は、これを「買う」か「買わない」か判断するだけです。お客様との高度な交渉や駆け引きをする必要はありませんから、ブローカー的資質のないスタッフでも売れます。在庫リスクは伴いますが、SSの基幹事業としては、「③ オークションダイレクト」より適しているのではないかと考えます。

実際、SSに待機中のレンタカーへ値札を付けておくと、興味を持ったお客様が覗き込んだり、レンタカー客自身が売って欲しいと申し出ることがしばしばあり、「現車販売」は非常に取り組みやすいことを経験的に知っています。

「農地転換」に6カ月かかりました。これを整地してアスファルトを敷き、照明、看板などの設置に約1000万円。加えて車両の仕入れに3500万円。「失敗したらどうしよう」ー。なかなか緊張します。
2月にオープンします。果たして、本誌3月号が発売される頃にはある程度の手応えをつかめているでしょうか。

勝算があるとすれば、商圏内ナンバーワンの品ぞろえです。200坪の土地と別途用意した駐車場を合わせ、中古車70台を展示販売できます。
展示する車種も絞ります。軽自動車の保有比率が非常に高い地域ですから「中古軽自動車専門店」とし、だいたい乗り出し価格50万円くらいの価格帯の車をずらりとラインナップしようと考えています。

商品カテゴリーを絞り込むので、素人のSSスタッフも早期にプロの販売員に育つでしょう。
中古の軽自動」車は、冷蔵庫やテレビと同様、「実用品」ですから商圏内で買う人が多いと聞きます。集客方法は店頭看板、折り込みチラシ、さらには車検のミラーリング告知にも同封します。CPO(成約1台当たりの販促費)は3万5000円以下に抑え、年間400台を売りたいと目論んでいます。

車両の仕入れ・陳列・商談環境の整備・広告宣伝などを先達から学びつつ、オープンに向けた準備も万端整えて、本格スタートします。

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