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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第74回 車検も車販も新規獲得とリピーター育成が両論

ガソリン車が今の半分に減る!?

「週刊ダイヤモンド」(10/25号)の特集記事~「トヨタを本気にさせた水素革命の真実」を読み、しんとした気持ちになりました。
15年後には、ガソリン車の構成比は半分以下になるそうです〈グラフ1〉

    

ガソリンスタンドは完全に斜陽産業化し、業界内では、血で血を洗う乱戦状態が続くに違いありません。これからの10年は、これまでの10年以上に凄まじいサバイバル戦となるのは必至です。暗澹たる気持ちになりました。

SS顧客像の変化にびっくり

気をとり直して、今月も「油外放浪」をします。

前号の本稿で、当社の運営する平塚SSで軽い気持ちで車検を「仮予約」したお客様のうち、何と7割が入庫している驚くべき真実を紹介しました。
いったいどうやったら7割も入庫するのか。その答えが「ガソリン7円/L引き」だったのです。

ーーーと記したものの、どうも腑に落ちません。
たかが7円程度のガソリン割引サービスに、なぜ、かくもお客様が反応しているかが信じられません。「7円引き」といっても会員は実質「3円引き」です。30L給油したとしても100円に満たない割引額。たったこれだけのメリットで高額な車検を買ってしまうものでしょうか。

気になって、平塚SSのPOS伝票を1枚1枚転記し、集計してみました。するとそこから浮かび上がったのは、SSマーケティング歴40年の私が抱いていた顧客像と全く異なったものでした。

その対比を〈表1〉で示します。
私はかつて、何千カ所のSSを調査し、燃料油販売のロジックを構築し、それは多くの元売会社や特約店のバイブルとされてきました。しかし今、その前提条件が根底から覆っているではありませんか。

天を仰ぎました。
大排気量の車をSSに乗りつけて「ハイオク満タンね」と万札を切ってくれるお客様は、今や数えるほどしかいません。ハイオク比率が10%弱、満タン比率が70%弱というのは、「ハイオク満タン」を求める給油客は7%に満たないことを意味します。
「ハイオク満タン」という言葉は「死語」になりつつあるようです。

ポイントを貯めるなんて女・子供のやることだ、なんていうのも古い考え方。今や2,000円分だけレギュラーガソリンを給油し、ポイントをしっかり貯める、そんな顧客像が一般的なものなのですね。

SS現場の最前線にいらっしゃる方にとっては常識なのでしょうが、私自身、なまじ経験があるばかりに、いかに現実を見誤っていたかを思い知らされました。

なるほど「ガソリン7円引き」がいかにインパクトがあるかは理解しました。ただ、頭の中の自分と現実のギャップがあまりにも大き過ぎて、まだ共感できるまでには至っていませんが・・・。

真逆の車検獲得ベクトルを示す2店舗を比較

この平塚SSとほぼ同じ立地条件をもつ店に寒川SSがあります。

相模川を挟んだ隣町にあり、やはり農家の多い地域です。

この2店舗について、車検販売方法とその成果を比較したのが〈表2〉です。

入庫台数はほぼ同じですが、その内訳は対照的です。
どちらも独立採算ですから、店長は利益確保に必死です。
平塚SSは主に来店客から車検を獲得します。コスト負担のかかる商圏販促活動を忌避する店長です。そんな平塚SSでもインターネット販促は実施しているのですね。調べてみると、インターネット販促は当初、本社の開発部門が主導し全店を包括して行ってきました。

現在は開発段階がほぼ終わり、運用段階に入っていますが、その費用はいまだに本社が負担していました。SSが負担するコストでなければ、何でも喜んで取り入れるのが平塚SSの店長です。
いずれにせよ、平塚SSの車検1台当たりの販促費(CPO)はわずか1,900円。とんでもなく費用対効果が高いのです。

一方で、寒川SSの車検のCPOは6,100円。平塚SSの3倍もの販促費をかけて、商圏からどんどん新規車検を獲得しています。店頭で獲るのは平塚SSの半分です。2年前に運営継承した店舗ですから、まだリピーターが少ないこともその理由のひとつでしょう。

しかし、商圏から車検がそこそこ獲れることに安心してしまい、店頭販売活動がややもするとおろそかになっている感が否めません。SS利用客に対する車検シェアは3割です。

もし仮に、平塚SSと同様、SS利用客の7割のシェアを獲得すれば、寒川SSの車検はたちまち月100台を軽く超え、CPOも改善し、収益性は飛躍的に向上するでしょう。

平塚SSは、小規模で小さなピットが1基しかありません。車検の処理能力はほぼ限界です。これに対して、寒川SSは格段に立派な設備を持ちます。
ただ、そのキャパシティに十分見合うかというと「まだまだ」なのです。

寒川SSは、本来なら当社SSの「旗艦店」となってもおかしくない設備力です。毎月200台の車検を当たり前に獲得するSSになってほしいと強く望み、店長に要求しています。

「SS+中古車買取」が軌道に乗る

10月号の本稿で、当社の茅ケ崎SSと中古車買取専門店を合体させ、店長を代えたことを記しました。

当初はSS運営未経験のド素人店長による、てんやわんやで大赤字を出した顛末を述べましたが、ようやく落ち着いてきました。SSスタッフと買取スタッフの連携が功を奏し、9月は200万円の営業利益を計上しました〈表3〉


車の買取・販売は絶好調です。

車の売買(リース含む)収益は、昨年9月は170万円でしたが、専門スキルを持つスタッフが店長を含めて3人加わったことにより、今年は840万円と5倍に膨らみました〈表4〉

目覚ましい成果です。

車の売買は極めて属人的なビジネスです。相場を熟知しないとできません。9月は、車1台で200万円の売買差益を出す”満塁ホームラン”も飛び出しました。
「廃車」の買取も昨年に比べて著しく伸びました。

これは転売目的ではありません。リサイクル資源ですから車1台当たりの粗利額は少ないです。2008年からインターネットを活用して広範囲から買い集めていますが、その業務部門を当SSに集中させたことによるものです。

「商品車」の買取ビジネスは、店に大きな看板を掲げ、飛び込み客によって成立するものと一般に考えられています。私もそう思っていました。

しかし実は、既存客のリピート・紹介・カーディーラーの営業マンからの紹介などが主流を占める「ストック型」ビジネスの性格も強いのですね。

当社が中古車買取専門店を出店したのが2003年のこと。以来10年が経過しました。その間に累積したお客様たちが、ありがたいことに店舗をSS内へ移転した後も利用してくださり、9月の実績を支えてくれたわけです。

既存客も大事ですが、新規客もどん欲に取り込んでいかねばなりません。
大型LED看板を10月に設置する予定でしたが、諸事情により11月へ先延ばししました。今後これをフル活用し、商品車だけで毎月50台以上の売買実績を挙げることを期待しています。


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