情報サービス・出版物

  1. トップページ
  2. 情報サービス・出版物
  3. 増田信夫の油外放浪記一覧
  4. 油外放浪記記事

増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第72回 「SS×中古車買取」の複合ショップにチャレンジ!

今年の夏も暑かった8月実績を振り返る

集中豪雨で多大な被害を被った西日本の皆様に対し、誌面を借りてお見舞い申し上げます。
一方、関東は今年も暑い夏でした。当社SSでは、熱中症や体調不良などで倒れるスタッフが出ることもなくホッとしています。
8月の実績を〈表1〉に示しました。

油外は前年比約300万円改善しましたが、燃料収益が300万円悪化したため、総粗利は横ばい。経費も増えたので赤字になってしまいました。
暑さとガソリン使用量は相関するものですが、当社は燃料の減販が止まりません。燃料油口銭も半減です。総粗利に占める燃料収益の構成比はわずか6.5%です。

それにもかかわらず、店の敷地の過半数を占めるのが燃料販売設備ですから、見た目はそのまんまSS。何ともアンバランスな業態ですね。
1SS当たり1,000万円の油外収益を稼ぎながら利益を出せないのは、やはり異常なことだと思います。
猛暑の中、販売活動や作業に明け暮れたスタッフたちに、われわれ経営者はどう説明すればいいのでしょうか。

車検・レンタカーに加え、車販がドル箱になってきた

気を取り直して油外実績を見てみましょう。
車検は昨年から販売強化を図っていますが、順調に伸びています(グラフ1)

そして、車販買取実績が大きく伸びました。
このポイントは次の3つです。

①車販担当者の育成・配備
SS店頭で車検の販売活動をしっかり行えば、「車の買い替え」を考えている見込み客が必ず見つかります。その時に、車販に長けた人がSSにいれば、商談が始まるわけですが、ようやくその育成・配備ができるようになりました。この人材不足の折、ここに至るまでの間、1年を要しました。

②格安リース事業が全店に拡大
レンタカー事業から派生する中古車のリースを、本店である仲町台SSで試していましたが、その取り扱いが全店に広がりました。車のレンタル・リース・販売・買取は相性がいいですね。

③茅ヶ崎SSを「車買取ステーション」に業態転換
当社2号店である茅ヶ崎SSに、中古車買取機能を付加しました。これについては後述します。

さて、次にレンタカー実績です。8月はレンタカーの稼ぎ時で、収益は1,000万円を超えました。しかし、前年比400万円のマイナスです。特に仲町台SSと茅ヶ崎SSが落ち込んだのが理由です。

以前にも触れましたが、仲町台SSは、今年5月、直近に競合店が出現したのが響いています。彼らはハイブリッドカーのレンタルを主力に「ガソリン代無料」と銘打ち、近隣にチラシを撒いています。本業は中古車屋さんです。

仲町台SSの方が立地はよく「ニコニコレンタカー」のブランド力も高いのでおそらく負けてはいないと思いますが、それでも8月の需要期は150万円の顧客が奪われました(グラフ2)
シェア奪還の決め手はまだ見つかりません。

茅ヶ崎SSはレンタカーを大幅に縮小しました。200坪の小規模な店舗で月平均140台の車検、同40台のレンタカーを取り回していましたが、後述するように止むを得ず、レンタカー台数を半減しました。

茅ヶ崎SSの栄枯盛衰

ーーーというわけで、茅ヶ崎SSの業態転換について述べます。

この店は1999年に運営継承し、同時給油4台の小規模フルサービスSSとしてオープンしました。当社では、仲町台SSに続く2号店です。
敷地面積200坪の冴えないSSでしたが、毎月1,000万円以上の油外粗利を稼ぐ本格的な「カーケアステーション」を作ってみよう、そうすれば、SS業界の活路も拓けるだろうとチャレンジしました。

当時は中古車販売もレンタカーもありません。洗車、オイル、車検が油外の中心でした。最も注力したのは「ロイヤルカスタマー」の囲い込みです。
油外商品を買ってくれるお客様(VIP)とそうでないお客様を仕分けして、VIPには手厚いフォローを行き届かせ、さらにコミュニケーションを密にしました。

有能なスタッフにも恵まれたおかげで、オープン半年後には油外収益1,000万円に到達。

コンスタントにL当たり35円を稼ぐ「ドル箱SS」となりました。
今にして思えば、燃料油口銭もそこそこありましたから、かなりの人件費や販促費を投入したにもかかわらず、年間3,000~5,000万円の営業利益を計上してくれました(表2)

それが今や見る影もありません。最初の「つまずき」は2005年です。
消防検査により「土壌汚染が見つかった」とのこと。地下タンクからガソリンが漏えいしていると指摘され、営業停止命令を下されたのです。

地下タンクが掘り起こされ、綿密な検査が行われましたが、しかし問題は見つかりません。結局のところ、原因不明のまま、勝手な憶測が流れるだけ。そこで、これを契機にSSをセルフ化しました。

洗車は拭き上げスペースを確保できないため、アテンド式にしましたが、しばらくしてから洗車機も撤去しました。洗車販売は天候に左右されやすく、売り上げに比べ人件費負担が多い。何より人員確保が困難であり、なけなしのスペースをより生産性の高い分野へ振り向けて、有効利用したいのがその理由です。

洗車を捨て、代わって車販やレンタカーに取り組みます。
すると狭い敷地はいつの間にか、レンタカー、車検整備の車、販売車両で埋めつくされ、給油動線の確保さえままならなくなりました。
そんなSSには、お客様が来るはずもありません。

油外の販売方式もかつての優秀なスタッフによる全方位アナログ販売から、促成栽培のスタッフによる一点突破型デジタル販売へ代わりました。このため、VIP客もどんどん去っていきました。

その結果、油外の販売構成比は変わったものの収益額はかろうじて維持。しかし、燃料販売は客数もマージンも減少したため、営業利益が落ち込んでしまいました。

そこでまず最初に、SS内を埋め尽くしている車を取り払うことから始めました。今年4月からレンタカー台数を減らし始め、7月までに半減させました。
当然ながら収益は下がります。
これをどう穴埋めするか悩んだ末、SSを「中古車買取ショップ」にしようと決断しました。

「車買取館」は苦汁をなめてきた優等生

当社1号店である仲町台SSの道路を挟んだ向かい側で、指定整備工場を運営しています。
150坪の敷地にリフト3基と完成検査場、そして事務所を構えました。仲町台SSと茅ヶ崎SSに入庫する車検車両は毎月300~400台あり、その検査および整備を一手に引き受けています。

そして、その事務所2階を間借りする形で、2003年に「車買取館」なるものをオープンしました。この部門は、社員5人とパート3人の小所帯ながら、オープン以来、1度も赤字を出したことがない超優良部門です。

整備工場の仕事はSSからの送客に特化していますから、対外的なアピールは必要ありません。ですから、この建物の外観は「中古車買取ショップ」となっています。
とは言え「車買取館」は居候の立場ですから、苦汁をなめてきました。

看板、ホームページ、広告などを見たお客様が、毎月50~100人来店します。しかし、車を査定するにも、整備工場の車検車両が所狭しと置かれているので、ゆっくりできません。
加修・整備するにもアフターサービスするにも、リフトや設備をなかなか空けてもらえません。

「車買取館」の店長いわく、「自由に使える敷地と設備さえあれば、今の2倍も3倍も利益を出せます」と自信をのぞかせます。何年も前から繰り返し、要請は受けていました。これをふと思い出したのです。

茅ヶ崎SSの機能をそのまま「車買取館」に使わせれば、「車買取館の夢も叶う」だろうし、「茅ヶ崎SSもきっと復活するぞ」と思いを巡らせました。
そしてこの7月、茅ヶ崎SSの店長を他に配置転換し、ここには代わって「車買取館」の店長を就任させました。「車買取館」のスタッフ全員も茅ヶ崎SSに
転属させました。

あとはSSの前面に特大看板を設置すれば、給油もレンタカーも車検もできる「買取ショップ」の誕生です。
当面の目標は、燃料油販売量を月250klに回復させ、油外粗利2,000万円を稼ぎ出すことです。うち1,000万円を車の販売・買取が担います。

SS初体験で混乱し大赤字のスタート

初月、見事にずっこけました(表3)
何しろSS運営どころか、勤務経験さえないド素人集団が、いきなりSSの店長を任されたり、スタッフとして働いたのです。

「POSの操作方法が分からない」「釣り銭機の故障に対処できない」「カードの更新はどうしたらいいのか」などと、すべてが初めての体験ばかり。他のSSや本社から応援部隊が駆けつけ、大混乱の日々でした。

肝心の買取業務は「開店休業」状態にならざるを得ません。赤字は覚悟していたものの、いざ数字を見て青くなりました。
翌8月はやや赤字幅が減少したので、正直ホッとしています。
10月には大型LED看板が設置されます。

SS運営についても付け焼き刃ながら、スタッフは皆、ひと通り経験することができるはず。10月からは車販・買取業務にも拍車がかかるでしょう。
早晩かつての「ドル箱」SSとなり復活することを期待しています。

油外放浪記一覧へ戻る