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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第67回 ボヤボヤしてたら車検もレンタカーもやられる

レンタカーにも侮りがたい競合が出現!

3月のSS実績がまとまりました。
表1」は直営5カ所のSSの合計値です。油外粗利は5,400万円、経費は5,000万円でしたから、油外で経費をまかなえました。

さすがは車検の需要期です。
車検は800台を実施し、3,100万円の収益を得、油外全体の約6割を占めます。燃料指数はマイナス3でしたが、5円/L弱の燃料油マージンを確保できたので、営業利益は1,000万円を超えました。

しかし、計画対比では、なお600万円以上の営業利益が足りません。車検獲得台数の目標が900台でしたから、100台足りなかったことが主な原因です。レンタカー実績も前年並みで、計画より130万円足りません。

3月は、車検だけでなくレンタカーも需要が高まる時期です。引っ越しや新生活などで、何かとレンタカーが重宝されます。

表2」は各店のレンタカー実績です。何と、仲町台SSと茅ヶ崎SSが前年よりダウンしているではありませんか。思い当たる節はひとつしか考えられません。

この直営2カ所のSSと同じ商圏に3月1日、突如として競合店が出現しました。近隣世帯にポスティングされたチラシを見ると、「エコカーのレンタカー専門店がオープン!プリウスが3,150円! しかもガソリン代はタダ」と謳っています。
これは魅力的ですね。

実はこの会社、業界では有名な中古車屋さんです。ホームページを駆使したり有名タレントを起用するなど、特異なプロモーションを展開しており、当社も注目している会社のひとつです。向こうも当社を意識しているのでしょう。遡ること2008年、当社がレンタカーを実験的に始めたとき、いち早くこの会社もレンタカー事業に進出しました。まだニコニコレンタカーがフランチャイズ・チェーン(FC)展開する前の話です。

ただ、当社SSの方が地の利に恵まれているので、集客力は当社が勝っていたと思います。
しかし、彼らもレンタカー事業が自動車販売と相性がいいことを身をもって知ったのでしょう。
駅前に突然、「エコレンタカー専門店」なるものを出店しました。
目立つサインポールを建造し、店舗壁面でも全面看板で強く訴えます。とても良い店構えです。
看板の露出度がレンタカーの業績に比例することをよくご存知なのだと思います。

この競合店に3月のレンタカー需要を奪われたのはすなわち、その後のリピート需要も奪われたことを意味します。かなり手痛いです。夏の最需要期までには巻き返さなければなりません。


SS店内では「お山の大将」

さて、目下の課題は車検です。
車検台数を増やすため、ホームページや商圏広告を強化していることを前回述べました。しかし、商圏内は競合との顧客争奪戦で血しぶきが飛んでいます。我が商圏にも強力な車検専門店が相次いで進出しており、一人の見込み客に対して、あちこちからダイレクトメール(DM)電話、折り込みチラシ、時にはセールスマンがやって来ます。看板やインターネットが、それこそ「クモの巣」のように顧客を捕らえようと張り巡らされています。

そんな環境下、笛吹けど「顧客が思うようには踊らない」もどかしきを記しました。
翻って、SSは平和ですね。
少なくとも顧客がSSに来店している聞は、どこからも銃撃やミサイルは飛んできません。完全に1対1の世界が出来上がっており、当店の車検のよさを知っていただくことができます。

「お山の大将」よろしく、お客様を店内に連れていき、座ってもらい、誰にも邪魔されずじっくり話を聞いてもらえます。そんな手順や仕組みが確立しています。
この独壇場を生かさない手はないわけで、当社は今年も恒例の車検キャンペーンを実施しました。


いきなり頓挫した「車検キャンペーン」

例年、車検キャンペーンを1~3月に実施してきましたが、今年は終了期間を延長し、4月としました。
キャンペーン目標を達成するため、毎年3月は4月分も含めて駆け込み需要(受注)をどん欲に取り込んでいます。すると、そのシワ寄せがメカニックに及びます。メカニックは不眠不休となり、倒れてしまいかねません。そういうわけで、キャンペーン終了期限を4月に変更しました。

目標台数は4カ月間で計2,700台、昨年比22%アップとしました(表3)。
ところが実績を見ると、少しずつ目標を下回っています。いや、ホームページなどによる商圏からの車検獲得台数は順調に伸びています。早期予約客やリピーターに対しては、DMや専任者が電話でフォローしていますが、その入庫率も好調です。しかし、肝心のSS来店客に対する販売活動が、ほとんど停滞しているのです。

ということは、SSスタッフにとって、車検は自分たちが頑張らなくてもお客様の方から勝手に申し込んでくれる「ほっとけ油外」であると認識しているのかもしれません。それでは困るのです。急遽、全店をチェックしました。

表4」は当社のキャンペーンの実行手順ですが、明らかに何もやっていません。多くのスタッフが、車検キャンペーンを展開していることすら知りませんでした。もちろん、目標管理を誰もしていないし誰一人として自分の目標を知りません。笛吹けど踊らず。「踊っていたのは社長(私自身)だけ」だったのです。

社長が手抜きをすれば現場も手抜きをする

すぐに店長たちを呼び付けました。「キャンペーンの趣旨は理解している、店の目標値も分かっている、実行手順も知っている、なのになぜやらないのか」と。
しかし、彼らは「忙しい」「人がいない」と言い訳するばかりです。

確かに人が足りないのは事実です。でも、それを納得してしまえば社長失格です。心を鬼にして「今さら何を言っている、何としてもやれ!」と叱責しなければ、会社は維持できなくなります。皆が職場を失うことになるのです。

と言いながらも、私にも反省があります。実は今年はキャンペーンの「キックオフ・ミーティング」を実施しませんでした。
過去に幾度も繰り返しやってきたことなので、やり方は分かるだろう、だから、各店でやりなさいと申し渡すだけに止めました。
つまりは、社長が手抜きをしたのだから現場も手抜きをする。因果応報が巡り巡ったというわけです。

いくら手慣れたこととは言え、人間のやることです。きちんと意識付けをしなければキャンペーンは動きません。すぐさまキックオフ・ミーティングを招集し、仕切り直しをしました。
キックオフ・ミーティングは2月の中旬に、都合3回に分けて夜20時から実施しました。目標を全社員に落とし込むため、「目標管理グラフ作成」の授業を行いました。その後も毎週進行状況について臨店チェックした結果、キャンペーン期間半ばにして、やっとのこと、その実行手順にほぼ「○印」が付くようになりました。
現場を動かし続けるには、ほとほとパワーを必要とするものです。

「人日照り」状態のSS

かように意識付けは大事です。
それにしても「人手不足」の問題は深刻です。「キャンペーンどころではない」と言うのもうなずけます。

人手はただでさえ足りないにもかかわらず、需要期の3月は通常の1.5倍の車検業務に追われ、スタッフたちは残業や休日返上でしのいでくれました。
「人日照り」という言葉がピッタリくるくらい、特に整備士の不足は目に付きます。

以前にも述べましたが、SSの現場では、50歳代でも第一線の戦力です。
ですから、募集条件から年齢制限などは外し、ハローワーク、人材派遣、フリーペーパー、インターネット、チラシなどあらゆる手段を講じて、かつ、かなりのコスト負担を承知の上で人を募集しています。
しかし、昨年末あたりからまったく応募がありません。
本当にどうしたらよいか分からない状態です。何かよい方法があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。
いったい、日本の働き手はどこへ消えてしまったのでしょうか。若者の非正規雇用が増えているとか、失業率が上昇しているとか見聞きしますが、どこの世界の話でしょう。

その一方では、少子高齢化の進展に加え、震災復興需要の高まり、アベノミクス(景気浮揚策)による建設ラッシュなどが重なり、「ガテン系人材」は引く手あまた、急激にひっ迫していると喧伝されます。
今や建設業界は3万5,000円の日当でも、思うように人が集まらないそうです。
その波がSSにも波及している感じがします。その「人日照り」をどのように解消していくかが、今後の大きな課題となりそうです。

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