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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第66回 ホームページは車検獲得の主流になり得るか

今のままでは引退できない

私も年金をもらえる年齢になりました。事業承継も他人事ごとではありません。
近ごろは、虚心坦懐にいろいろな人の言葉に耳を傾けていますが、感銘を受けたものの中に、中小企業を成長・発展させては上場を果たすのを得意とする先生のお話があります。

その先生は株式上場も事業承継の一つの方法だと言います。
これがとても分かりやすくて、説得力がありました。
つまりこういうことです。

 ①3年以内に売り上げを倍増する計画を立てなさい。
  そうすると「やれない理由」が必ず出てきます。これが解決課題です。

 ②優先順位をつけ、課題の解決に取り組みなさい。
  それには一緒に課題を克服するパートナーが必要になります。
  幹部でもいいし外部のコンサルタントでもいい。

 ③業界水準を上回る集客を実践しなさい。
  販促予算を現状の1.5倍にし、効果的なエリアと企画に集中投下する、
  すなわちエリアを絞り込んで回数を増やせばよい。

 ④人を増やし、育てなさい。
  この①~④のサイクルを何回か繰り返せば、企業の規模を5倍、
  さらに10倍にするのはわけがないというのです。

もともと思考回路が単純な私ですから「よし、やってみよう」という気になりました。
当社はSSですから、集客のためにはガソリンマージンをマイナスにすればいいだけです。
お客様がたくさん来てくれれば、油外収益も増えるでしょう。そうすれば、SSのオペレーションもシンプルになります。私が「ああだ」「こうだ」と言わなくても、社員みんなで会社を維持発展させることができるようになります。

「よし、まずは燃料指数がマイナス5のSSづくりを目指そう」ー。その思いを強くして、昨年から車検倍増計画に取り組んでいます。


「車検2014年問題」は実際いかほどの問題か

昨年(2013年)の車検台数は、直営5SSで計8,000台を目論んでいましたが、それが叶わず6,452台でした(表1)

2012年と比較すると、車検粗利は6,000万円増加しました。しかし、販促費が3,000万円増加したので、利益は3,000万円増に止まりました。

今年(2014年)こそ、車検8,000台を達成しようと意気込んでいます。本当にそうなれば、車検粗利は1億5,000万円増加します(2012年対比)。販促費は、昨年いろいろなことを試みたお陰で、無駄なものと集中投入するべきものが少し分かってきました。
トータルして販促費は横ばい、であるとすると、利益は1億2,000万円の増加となります。
これが今の「皮算用」です。

ところで「車検の2014年問題」が騒がれています。当社にはあまり関係ないと思っていましたが、しかし、スクラップインセンティブにより、市場から350万台が消えたとか東北大震災で50万台が廃棄されたとか、やたら悲観論ばかりを耳にします。さすがに不安になったので、事実を調べてみました。

当社の直営SSや、お取り引きいただいている他のSSで、すべての利用客データを車番認識システムが記録しています。
その中から約20万台をランダムに抽出し、車検満了月別に集計したのが「表2」です。

なるほど、昨年に比べて今年の車検需要は、毎月1割くらい少ないようです。

つまり、今までと同じことをしていると車検は1割減ります。昨年より25%アップさせるためには、努力あるいは効率改善を35%アップする必要がある、ということになります。改めて気持ちを引き締めました。


看板はホームページにお客を誘導してくれるか

昨年やってみて手応えを感じ、今年はより強化しようと考えていることの1つが、車検のホー
ムページ(HP)です。
車検HPが効果を発揮するためには、次の3つがテーマとなります。

 ①アクセス数(訪問者数)を増やす。
 ②見る人を魅了し、見積もりが欲しいと思わせる(コンバージョン)。
 ③コンバージョン客を予約につなげる。

現状は、①アクセス数が毎月3000~4000件、②コンバージョン率が2~3%です。③予約率はだいたい5割ですが、最近は7割近くまで改善しました。

今後の目標は、①を1万件/月、②を10%に引き上げたいと考えています。が、それはさておき、今回は、①アクセス数を増やすための試行錯誤の顛末を述べます。

まずは町中に看板を掲出し、そこからHPへ誘導しようと考えました。看板、HP、折り込みチラシ、ポスティング、ミラーリング、さらには店頭POPやダイレクトメール(DM)などの相乗効果の発揮を狙う「メディアミックス戦略」の一環です。
看板ですから、細かい内容までは網羅できません。ひと目見ただけで強烈なインパクトを与え、興味を沸かせ、HPへ誘導するのが看板の役割です。

では、どうするのか。
当社SSの車検は「フレックス車検」という名称で長い間馴染んできました。毎月商圏にチラシを折り込んだり、SS店頭に派手にPOPを掲示してきたので、多少なりとも、地域の皆様に認知していただけたのではないかと思います。しかし、思いきってこの名を捨て、「ニコニコ車検」と覚えやすいネーミングに改めました。

さらに訴求力を高めるため、車検料金を「1万円ぽっきり」としました。付帯整備をしっかり受注するスキルを高め、車検料金を安くしても客単価が下がらないことをSSに期待します。
それから、検査・点検・整備の技術力や品質に優れた車検であることを、一言で「完全車検」と表現します。

看板に表記するのは「ニコニコ車検」「1万円ぽっきり」「完全車検」の文言、そしてホームページへの誘導のみ。インパクトがありますね。これを見れば、どんどんアクセスしてくれるに違いないとワクワクしました。

次に、看板をどこに掲示するかです。駅や交差点などいろいろ考えましたが、主に試したのは市営バスのボディー看板です(写真)

看板自体が町中を四六時中、絶え間なく移動してくれます。

実は5年前にレンタカーを始めた時、当時はSSレンタカーがまだ珍しい時代でしたので、このバス広告が地域の認知向上に一役買ってくれました。

4年間やってみて「レンタカー」の認知率は5割を超えました。ならば、今度はバス広告をすべて「車検」に差し替えよう、いや、どうせやるならバスのボディー全体を広告にしてみたい。これを「パスラッピング広告」と言います。

さっそく横浜市と契約し、何通りものデザインを用意して、先方に提示しました。
ところが、そのデザインが通りません。「1万円ぽっきり」という表現は消費者の誤解を招くのでNG。インパクトのあるカラーリングもNGだというのです。地味でおとなしいキャッチコピーや色彩にするようにと指示されました。しかし、それでは年間に何百万円も広告費を支払う意味がありません。

結局、ラッピング広告は諦めることにして、昨年春から市営バス80台に「写真」の広告を掲示。地域を走る路線バスの約半分が「ニコニコ車検」の看板を背負いました。

さて問題は、これによるHPアクセス数の変化です。
どうしたものか、一向に増えません。「まあ、こういう広告はジワジワ効くものだから」などと言われ、待ってみましたが、1年経っても変化なし。バス広告を見て検索し、HPにアクセスしてくれる件数は月に3~5件止まりです。これには心底がっかりしました。

私は広告主ですから「よく目にするなあ」「目立つなあ」と、いつも思うのですが、一般の方には何の興味も引かない情報なのでしょう。お客様目線に立つというのは、なかなか難しいものです。

横浜市営バスの場合、広告費は80台で月々40万円かかります。
もし毎月5人のお客様がすべて入庫してくれたとしても、受注1件当たりのコスト(CPO)は8万円です。粗利4万円の商品を8万円かけて売っていては「商売」と言えません。
とうとう我慢しきれなくなり、先日解約を申し入れました。

虎穴に入らずんば虎子を得ず

バス広告はまったく効果ありませんでしたが、実は、HPへのアクセス数それ自体は、グンと増えました(表3)

それはインターネット広告によるものです。これは費用をかけただけ効果が現れますし、CPOも申し分ありません。

「リアル広告」より「ネット広告」の方が手っ取り早い印象です。もしも効果の低いリアル広告を増やしていなければ、CPOはさらに改善していただろうと思います。
やはり、ネット(HP)へ誘導できるのは「ネット広告」だけなのでしょうか。「リアル広告」は「ネット」に対して効力がないのでしょうか。

確かに、数字上はそうなのですが、何か割り切れないものを感じるのは私だけなのか。
懲りない私は、今度は電車広告をやってみることにしました。
3月から、横浜市営地下鉄のドア内側に掲出しています。バス広告と異なり、カバーするエリアは広くなりますが、毎日100万人が電車広告を目にする機会を持ちます。通勤途中などでじっくり見てくれるかもしれません。その場でケータイやスマホからアクセスしてくれるかもしれません。

とは言え、2年契約で毎月50万円の負担です。失敗したら自己嫌悪に陥るかもしれませんが、いずれ結果をお知らせしたいと思います。

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