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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第63回 「2013年車検拡販大作戦」の顛末

気がつけば同業者がいなくなった・・・

明けましておめでとうございます。本年も「油外の海」を存分に放浪します。
よろしくお願い致します。

先日、ある会合で昔から懇意にさせていただいているSS経営者にお会いしました。
「毎月『月刊ガソリン・スタンド』誌が届くと、真っ先にあなたの連載に目を通していますよ」とおっしゃってくれました。お世辞半分でもうれしい言葉です。
そしてさらに一言。「元売系列の会合に出席しても、最近は独立経営の一般特約店がほとんどいなくなってしまいましたね。気が付けば、私のSSの周りも元売会社の出資SSばかりになってしまいました」とこぼし、苦笑されていました。

小規模ながらも競合SSと果敢に戦ってこられた方です。しかし、勝ち抜けば勝ち抜くほど、皮肉にも駆逐された競合SSが「強豪SS」(元売出資SSら)に取って代わられてしまうとのこと。まったく同感です。彼の闊達な笑顔が印象的でした。

彼のように愚直にSS経営にこだわり、カーライフサポートへの「いばらの道」を邁進される方は少数派になってきたのかもしれません。しかし、そういう方々の一助になればという思いで、私はこの連載で恥をさらしてきました。「油外独り言」にならぬよう、今年も「油外放浪」ぶりを記していきたいと思います。


順風満帆に見えるも傷だらけ

当社はガソリンマージンがゼロになっても生きていけるSSにしたいと考え、2013年はとりわけ車検の販売拡大に注力しました。
たとえ「大赤字になっても構わない、やれることは何でもやってみよう」と突き進み、多くの失敗と一定の成果が得られた1年でした。

表1は、2013年と2012年11月の当社5カ所のSSの営業実績です。良くも悪くも、これが当社SSの最新の実力値を示していると思います。
車検は5SSで572台実施しました。前年は385台でしたから、約200台プラスです。

1年間の入庫実績は、2012年は4,600台、2013年は6,600台です。所期の目標は年間8,000台でしたから、月間目標は平均670台となります。つまり、今の実力値にあと100台、1SS当たり20台を底上げすれば、年間8,000台の車検販売基盤が完成します。

と述べると、順風満帆に予定航路を進んでいるように見えますが、とんでもありません。
とにかく現場のコントロールに悪戦苦闘しました。彼らは新しいことをやりたがりません。できない理由を見つける名人揃いです。一つ加わると、一つ落とす。言い続けなければ、いつの間にかやらなくなる。

1年間にわたって、社長自らがスーパーバイザーとなり、毎日数字を確認しては指示し、毎週会議を開き、本社スタッフを巻き込んで細部に至るまで問題解決を先導し、叱責と激励に明け暮れました。
なにしろ先例のない活動ですから「やっても効果が出ない活動」なのか「やり方が悪い」のか「やっていない」のか、見極めなければ先に進めません。

失敗して初めて「浅はかだった」「調子に乗りすぎた」と反省することも多々ありました。正直疲れ果てた1年間でしたが、月間粗利は1SS当たり150万円増えました。
2014年を「第2ステージ」と位置づけ、さらなる収益確保に挑戦します。


今年は車販強化にも着手する

第2ステージの計画を表2に示します。
第1ステージでは、どこまでも市況対応しようと意気込んで燃料油口銭はゼロとして計画しましたが、元売出資SSと言えども、そこまでの無理はしないと何となく感じたので、3円/Lとしました。

車検は、何と言っても収益貢献度が最大の商材ですから、引き続き拡販に努めます。
SS店頭での拡販基盤が整いつつあるので、2014年は経営者も少しは楽になるでしょうか。

車検拡販の延長上で自動車販売も強化したいと考えています。車検を節目に、一定の割合で「車の買い替え」需要が発生します。これをとらえて、オークションの落札代行のみならず、レンタカー現車の販売や中古車リースへつなげたいと考えます。

SS業界では、中古車の無在庫販売方式が一般的ですが、やはり相当の情報量と商談スキルと時間を要します。しかし、レンタカーの販売やカーリースは現車に値札をつけられますから、比較的簡単です。
こうしてSS当たり月間粗利をさらに100万円以上増加させる計画です。

ポスティングとホームページが奮わなかった

月間平均350台(1SS当たり70台)だった車検台数を、2013年は試行錯誤を繰り返して喘ぎながら、ようやく600台(同120台)にまで押し上げました。しかし、私の心の声は「1000台(同200台)はできるはず」と、ずーっと叫んでいます。笑われるので今まで声に出しませんでしたが、遂に明かします。

ただ、2013年は「できることは何でもやってみよう」といろいろやり尽くしたわけで、その車検客のリピートは2015年まで待たなければなりません。ですから今年は、正直なところ、手詰まりな感じで悲観的な気分にもなります。

そこで2013年に実施した販促活動と、私の感じた手応えを(表&グラフ1)にまとめてみました。
以前に申し上げたとおり、販促は複合的に効くものなので、一つひとつの販促に対する成果を正確に計測することは困難です。これはあくまでも、車検獲得の大きなきっかけになっただろうという推定値ととらえてください。

2012年と2013年を比べると、それぞれの販促を強化したことにより成果が上がりました。SS店頭では早期予約を強力にお勧めしたので、車検獲得台数が大きく伸びました。新たに始めたDM(ダイレクトメール)発信も、大いに気を吐き、月80台の入庫をもたらしました。

しかし「心の目標」と大きく乖離してしまったのが、ポスティングとホームページ(HP)です。この2つで月500台を目論んでいたのですが、実際は120台止まりでした。
まずポスティングについて。
2012年末に新興の地域広告代理店と有利な契約をしました。毎月40万件(毎週10万件)のポスティングを委託し、1件当たり1.5円という破格の契約です。
新聞の購読率とともに折り込み広告の効果は低下していますが、これを補完できると期待が膨らみました。10万世帯に配布すると、車検対象車両は毎月4,000台近くあります。そこから200件くらいは獲得できるだろうと考えました。

ところが、広告代理店の事業立ち上げが遅れに遅れ、委託したチラシがほとんど配布されず、契約も白紙撤回となりました。
仕方なく従来のポスティング会社を使って5万世帯に配布するに止まり、従来並みの成果です。

ホームページは悪戦苦闘中

さてもう一つ、期待に満たなかったのがホームページです。
以前から車検のホームページは開設しており、たくさんの人に訪問してもらうために毎月30万円くらいのコストをかけていました。訪問してもらうと、何割かは見積もりを依頼してくれます。これをIT業界では、「コンバージョン」と言います。コンバージョンがあると車検事務スタッフが見積書を作成し、Eメールで返信します。すると4割くらいが申し込んでくれました。
2013年はこの流れを強く太くしようと考えました(表3)

訪問者数の目標は1万人、コンバージョン率が10%になれば、毎月1,000件の見積もり依頼が舞い込みます。そのうち65%をクロージングすれば、月650台の車検が獲れるじゃないか、という計算です。

いろいろと手を尽くしました。
まず月1万人をHPに動員するため、HPを全面刷新。そして近隣の駅などに看板を掲出したり、市バス80台の車体にも広告を打ちました。刺激的なキャッチコピーに、HPのURLを明記しました
折り込みチラシやポスティングも含め、毎月100万円の宣伝費を商圏に投入しました。

しかし、結果は月4,500件の訪問に止まっています。もっとも1万人は勢いで唱えた目標です。あまり根拠はありませんが、笛吹けど、なかなかユーザーは踊ってくれません。
次に、訪問した人が見積もり依頼をしたくなるように工夫しました。何度も手を加えて見やすくしたり、プレゼントを提供してみたりしました。コンバージョン率はようやく5%にまで達しましたが、今なお試行錯誤を繰り返しています。SS店頭で対面販売するのと勝手が違い、どういった要因が効果に影響を与えるか見極めきれず、もどかしさを感じています。

ともあれ、HPへの訪問者数は倍増しました。コンバージョン率も倍増してコンバージョン対応も改善したので「HPからの車検予約は6倍になりました」
ーという景気の良い報告を受けて、ひとまずはよし、としていたのですが、思わぬ落とし穴がありました。

予約しても入庫しない人が4割もいたのです。ひと筋縄ではいかないものですね。
というわけで、入庫数を予約数に限りなく近づけるのも、今年のテーマです。果てしのない油外放浪の旅は、まだまだ続きます。

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