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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第55回 車検は会社の総力戦!

年明け後の3カ月間で
5,000件の車検予約が獲れた

「車検」というマーケットでSSが本気を出せば、どれだけ戦えるのか?これを検証しつつ、当社直営5ヵ所のSSで月間700台の車検販売体制を確立したい。そういうわけで今年は1月から車検倍増作戦「GET8000」と銘打ち、「車検」「車検」と精力的に頑張っています。

当面の目標として「3月までに車検予約5,000件獲得」を掲げました。結果は5,507件となり、所期の目標はクリアすることができました。

主に店頭活動で獲得したわけですが、次の狙いがあります。
 ①車検予約を獲得する手順を身につける
 ②予約した顧客を、確実に入庫させる

アメリカ陸軍特殊部隊、通称グリーンベレーは、真っ暗闇の中で小銃の分解・組み立てができると言います。徹底的に繰り返し、作業動作を体で覚えるわけです。
同じように、各SSに配備した新人(アルバイト含む)を、車検の予約を取る行動だけに集中させました。
他の作業は何もさせません。車検販売業務だけを、体に覚え込ませたわけです。その結果、「顧客接点」を利用すれば、6割の予約獲得率が得られるようになったのは、前回述べたとおりです。

この「顧客接点」はSSだけに与えられた特権です。当社SSの利用客は、およそ2万人と推計されます。5,000件の車検予約の獲得は、3ヵ月間でおよそ25%の車検需要を囲い込むことができたという意味です。カーディーラーや整備工場が、どんなに逆立ちしてもできない技です。

とは言え、1~3月に車検を予約してくれたお客様のうち、この3月と4月に車検満了日を迎えた方々は、ほぼ間違いなく入庫しているものの、半年先、1年先、2年先の車検予約に対して、果たしてどれだけ入庫してもらえるかは未知数です。今後の作戦行動にかかっているでしょう。

意外と穴だった「足元商圏」

店頭活動とは別に、全社を挙げて「紹介作戦」を展開しました。その内容は、すべての社員、アルバイト、パートにノルマを課し、その家族、親戚、友人・知人、出入り業者などにお願いして車検の予約を獲ろうというものです。

総勢187人で挑み、作戦期間を2月中旬から3月末までとし、目標(ノルマ合計)は632件に設定しました。
その結果を申し上げます。1,023件の予約が獲れました。162%の達成率です。わずか1ヵ月半で1,000台の予約が獲れたわけですから、「車検は店で売るもの」という勝手な先入観は、改めなければいけませんね。

当然ながら、私にもノルマがありました。しかし、お願いしようと思っていた取引業者は、いち早く当社の社員たちが「ツバをつけた」後でした。
仕方ありません。次に、友人や知人を当たってみたら、意外に同業者やその関係先が多く、なかなかノルマが達成できません。これは焦りました。こうなったら苦肉の策です。

あるとき会社の近くの飲食店でランチのあと、「ダメモト」で店長にお願いをしてみました。すると翌日、予約申込書に記入して手渡してくれたではありませんか。これに味をしめ、それからは夜も昼も、会社周辺を片っ端から外食してはお願いして回りました。車検で得られる収益以上の外食費を投入したと思います。加えて、ダイエットしていた体は見事にリバウンドしてしまいました。でも、おかげで20件の予約をもらい、社長としての面目を保つことができました。

そして新たな発見がありました。
今回お願いした飲食店はすべてSSの半径300m以内です。にもかかわらず「もうお宅のSSで予約したよ」という人は誰一人いませんでした。頼めば快諾してくれる人が少なくないのに、足元商圏がお留守になっているようです。給油に来たお客様から予約を獲ることも大事ですが、足元商圏に対しては直接お願いする「ローラー営業」も必要ではないかと考えた次第です。

思えば昭和50年代、私がSS業界に関わるようになった頃、SSの店長は近隣の企業や住宅を回り、取引契約を取っていました。かつて日本石油は「200作戦」といって、SSの半径200m商圏を徹底的に奪い取ろうと大号令を発していました。 しかし今やSSは現金取引が主流となり、セールス活動はほとんど見られません。
一方で、スーパーやコンビニなどは最近、高齢者のよろず屋としての御用聞き(宅配サービス)に力を入れています。

車検・ガソリン、食料品・・・むろん、業種により取り扱う品目は異なりますが、その販売手法や提供方法も型通りのやり方で はなく、柔軟な発想と行動力を強みとする方向にベクトルが働いています。そのマーケティングのトレンドは変わりつつあるのかもしれません。

燃料は車検を獲るためエサ

当社直営SSの3月実績を見てみましょう(表1)

昨年夏から燃料油価格は市況対応に努め、SS店頭に価格看板を掲示しています。顧客リストの獲得を続けていますが、燃料油販売量が増えたのは、昨年3月にはなかった寒川SSが加わったことが大きな理由です。

改めて驚いたのは、燃料油収益です。当社ごときが市況対応したものですから、燃料油マージンはついに1円を割りました。粗利は5SSでわずか100万円。ガソリンスタンドと名乗るのが憚られる実績です。

車検は大量予約活動の効果が現れ始めており、前年比225台増え600万円改善しました。
車検が燃料油粗利の減少をカバーしてくれたことになります。
力を入れていない洗車が増えたのは、黄砂の影響でしょうか。
レンタカーが減少したのは車両台数の調整によるものです。

SSが増え、経費も増えましたが、何とか1,000万円近い営業利益を計上することができました。燃料指数はマイナス3.7です。
車検は、時間当たりの付加価値が高いので、入庫台数が増えても人件費の増加は抑えることができます。この調子で車検予約を獲り続け、もしこれが高い確率で入庫すれば、たとえ燃料油マージンがマイナスになってもSS営業は成り立ちます。車検の最大の需要期が過ぎた4月以降が正念場です。

お客様が車検を意思決定する構図

今年は、例年以上に車検の商圏告知にも力を入れています。
そこで車検客に対し、こんなアンケートをお願いしました。
「当店の車検について、あなたが見たり聞いたりしたもの、申し込みの決め手になったものすべてに○をつけてください」というものです。その集計結果が(グラフ1)です。

  

やはり「以前に当店で車検をやった」という人がトップですね。
リピーターはありがたいお客様です。車検は「日々の頑張り」が累積して成果に結びつく商品だということがよく分かります。続いて「ダイレクトメール(DM)」「ホームページ」「店頭看板・ポスター」が上位を占めます。

DMとは、車検満了日が近づいたお客様への告知です。過去に効果があった経験があるので、昨年夏から再び店頭で顧客リストを獲り始め、今年から本格的にDMを発信してみました。効果は今も変わらないですね。リスト獲り活動の苦労が報われる結果となりました。

ホームページは、そのURLをチラシや看板などの広告物に掲載しています。気になった人がアクセスし、他の車検と比較したりして、顧客の意思決定を促しているのでしょう。まさに今日的なメディアミックスの成果です。

店頭POPの効果も高いですね。
当店の車検を目一杯アピールして「ここで車検をやらなきゃ損だ」という気持ちにさせます(写真1~3)。来店客に対する最も優秀なセールスマンは店頭POPであることを顧客が証明してくれました。

そしてお客様が車検を決める動機の第5位が「スタッフのおすすめ」です。
意外に思われるかもしれません。店頭スタッフ は皆が頑張り、5,000台以上の予約を獲りました。彼らは鼻高々です。しかし、お客様にしてみれば、もともと「この車検はいいね!」と思っていたところ、SSで意向確認されたのがきっかけで予約した、というところでしょう。

一人のお客様が、日常あちこちで当店の車検を目にします。すると少し気になります。気になったらインターネットで調べたり、折り込みチラシやDMをよく見て確かめます。そして納得できる情報を得ます。
そんなお客様が来店します。すると自分の「いいね!」という気持ちが「やっぱりいいね!」と確心に変わる・・・そんな看板やポスターが目につきます。そのときSSスタッフに声を掛けられ、そっと背中を押されます。すると「いいよ!」と言ってしまいます。そんなストーリーが浮かびます。

つまり、店頭スタッフだけ、POPだけ、あるいはチラシだけで攻めても車検は獲れるものではないことを改めて実感します。
自動車登録台数が減少し、多数の競合相手が入り乱れ、獲るか獲られるかのゼロサムゲームを強いられている車検市場は今や「総力戦」の時代です。
特に当社のSSは今、車検販売の主力を新人や臨時アルバイトが担っています。店頭販売力が弱ければなおさら、会社が全力を挙げて「いいね!」の客づくりを行わなければ勝てません。

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