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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第52回 今年は全店で車検倍増!?

寒川SSが黒字になった

当社が運営する寒川SSは昨年12月、ついに黒字となりました(表1)。昨年6月に運営を継承して以来、毎月赤字が累積する「お荷物案件」でしたが、 ようやく一人前の顔ができるようになりました。

半年間で2,000万円もの赤字を累積しましたが、考えてみれば無理もありません。
新しいSSを運営するにあたり、誰を管理者にするかという問題が浮上します。しかし、適任が見当たりません。隣町にある平塚SSの店長に兼任させればいいか、くらいに考えていました。

そして開店準備もままならない中で昨年6月にオープン。イベントなどに販促費をかけ、大赤字の船出となりました。まあこれはいいでしょう。誤算だったのは、平塚SSまでもが赤字を計上したことです。
「二兎を追うものは一兎をも得ず」ですね。店長のマネジメントパワーが分散したということでしょう。すぐに兼任を解き、平塚SSに専任させました。
まったく、足固めもしないまま経営者の「思い」だけでSS運営を継承してしまい、凝りもせず「放浪」ぶりを露呈してしまいました。

素人集団で始まった

代わって寒川SSの店長に任命したのが、当社の整備担当者です。メカニックとしては腕も実績もあり優秀な人間です。ガッツもあります。しかし、店長としては付け焼き刃です。販売管理も労務管理も一切の知識も経験もありません。数字を見ても、これがいいのか悪いのか、判断すらできません。

ですから、何をすべきか、どこから手をつけるか見当もつかない、そんな状態でいきなり修羅場に放りこまれたわけです。
加えて、SSに配備した3人の新人スタッフも、他業界から集めたSS未経験者ばかりです。店長が的確に指示しなければ誰も動けません。

「ヨーシ、ジョートーじゃないか。こんな素人集団SSでも、早期に黒字化する道筋を付けてみようじゃないか」というわけで、ここから経営者の無謀な挑戦が始まったわけです。
まず最初に、何を売るかです。オイル、タイヤ、バッテリー、あるいはコーティングといった油外商品は「ラインナップだけしておこう」と考えました。
商品知識をいちから学習し、顧客にアプローチしては必要性を発見して提案・販売するという、複雑で難しい手順を一つひとつの商材ごとに身に付けるには、いくら時間があっても足りません。

顧客もこの不景気の中、店側の提案に対して「はいそうですか」と購入してくれるものでもありません。たとえ販売に結びついたとしても、得られる収益は数千円。SSが必要とする収益に届くためには、どれだけの手数と苦労をスタッフに強いるか、どれだけのきめ細かいマネジメントを店長に要求しなければならないか、物理的に不可能と言わざるを得ません。

車検に一点集中

そこで「車検以外の油外は捨てろ」と指示しました。
車検は「売りやすく、儲けが大きい」からです。アルバイトでも売れます。提案すれば、そのうち3~5割を受注できます。なぜなら、すべてのお客様は満了日までに必ずどこかで車検を購入しないといけないからです。そして車1台を受注すれば一桁多い収益、3~4万円が得られます。

もし車検を毎月100台売れば、それだけで油外収益は350万円となります。加えて、セルフ洗車やレンタカーなど、ほっといても売れる商品(ほっとけ油外)を上乗せすれば、毎月500万円の油外が確保できます。さらにガソリン口銭が2円/Lもあれば、店の赤字は解消します。

---という皮算用のもと、1年以内に車検販売台数を平均100台にしてやるぞ!と目論んだわけですが、半年後の昨年12月は約70台となりました。
「12月の車検需要」は多くもなく少なくもない「並」の月ですから、このペースで進めば、今年3月には150台の大台乗せが見えてきます。
そうすれば、アベレージ100台はもう手中に収めたも同然。素人SSが車検100台を前に黒字に転じたことで、この正月は非常に喜ばしい転機となりました。

寒川SSの車検獲得方法は、本連載でも再三再四述べてきましたが、店頭商談、商圏告知、ダイレクトメールの3つの方向からアプローチしています。
①店頭商談
車検が近い人を店内に誘引してセールする方法です。顧客との接点が多いSSならではのワザです。教育研修、目標管理、評価制度といったマネジメントカを要しますが、今のところ店頭商談で月20~30台が入庫しています。そのほとんどは、女性アルバイトスタッフが獲得しています。
②商圏告知
新聞折り込み、ミラーリング、そしてインターネットで告知しています。毎月50万円くらいの広告費を投入していますが、15台以上の車検台数を獲得すればペイします。3ヵ月目(昨年8月)頃から効果が現れてきました。商圏告知の目的は、SSを利用しない人から車検を獲得するため、そして、SSを利用する人には店頭商談やダイレクトメールをミックスして相乗効果を狙います。
③ダイレクトメール(DM)
SSスタッフに徹底させたのはSS利用客のリスト取りです。車検時期が到来した人にDMを発信するためです。寒川SSは半年間に7500件のリストが貯まりました。今年からDM作戦がいよいよ始まります。

車検で起死回生を図る

寒川SSの車検獲得に手応えを感じたので、これをさらに深化させ、全店に展開しようとしています。
と言うのも、昨年下半期(2012年7月~12月)の当社直営全店の営業利益は1800万円の赤字を計上してしまったからです。寒川SSが足を引っ張ったことに加え、燃料収益の悪化が全店ともに大きく響きました。
昨年下半期から燃料油の販売価格を市況に追従させ、これを看板掲示するようにしました。

油外収益を確保するためには、もうこれ以上客数を減らすわけにはいかないとの判断からですが、やはり当社のような一般特約店が元売直営SSや広域大手の量販SSに対抗すれば、燃料油口銭はほとんど残りません。覚悟はしていましたが、やはり赤字は手痛いです。

グラフ1は、昨年1年間の燃料油粗利と営業利益の推移です。当社SSは燃料油に対する依存度が低くなっているとは言え、やはり燃料粗利か低い月は赤字に陥ります。


グラフ2は、昨年下半期の燃料油販売量と油外収益の推移です。やはり客数が多いと油外も伸びることが分かります。

そういうわけで今年も市況対応は継続し、客数確保に努めます。当然、燃料油収益の悪化は避けられませんが、これを車検の増販でカバーしようというわけです。いや、カバーするだけでは物足りません。SSにおける車検販売の限界に挑戦しようとしています。

「車検倍増計画」が発進!

当社の直営SSは、これまで計4店で年間約4,000台の車検を実施してきました。
今年は寒川SSを加え、全5店で8,000台にしようと考えています。1SS当たり年間1,600台、月間平均130台という計画です。

この車検倍増計画を達成するためには、マネジメントを強化し販売行動を徹底するという、これまでの延長線上の努力を継続するだけでは到底無理です。抜本的に方法論を見直さなければなりません。

本掲載で、その顛末をこれから述べていこうと思いますが、今回はその「さわり」をご紹介します。
まず車検の商品力を全面的にリニューアルしました。商品名はレンタカーブランドにちなんで「ニコニコ車検」と印象に残りやすい名称に変えました。車検料金も25,250円(ニコニコ)とし、外車も高級車も全車種統一料金としました。各種割引を適用すると1万円となるよう設定しました。

価格競争力の訴求だけではありません。
最高品質の技術イメージ、そしてSSならではの利便性を車検商品に力一杯盛り込みました。画像1は、これをB2版特大チラシで表現したものです。これを1月から各SSの商圏に配布しています。最近は新聞の購読率が下がっているので、ポスティングやミラーリングを強化します。

「特大宣伝チラシ」としてホームページを活用

セールスポイントはてんこ盛りですが、実はその魅力を伝えきるためにはB2版特大チラシの両面を使っても足りません。
そこでホームページを活用します。まだ作成途上で満足できるレベルではありませんが、頻繁に改訂し、魅力的なホームページに仕立て上げたいと考えています。強力なホームページがあると、SS商圏内にどんどんPRできます。「ニコニコ車検」をあちこちで連呼し、地域の皆さんに覚えてもらう。何だか小選挙区制の選挙運動に似ていますね。

そして、気になったらすぐにホームページにアクセスしていただく。アクセスした人は「これでもか」という商品力にどんどん魅かれ、「どうせ車検をやるなら、ここでやらなきや損だ」と申し込んでくれる、そんなよい流れを夢想しています。

いずれにせよ、SSという業態の持つ優位性を遺憾なく発揮して地域の車検需要を強力に吸引し、SSとして勝ち残り得る方法を見い出したい考えています。またぞろ、おっちょこちょいが一点集中攻撃を始めたなと嗤う人も多いのですが、「成功者とは成功するまで失敗し続けたひとのことである」を座右の銘として、失敗の連続の様子を本稿を通じて報告していきます。

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