情報サービス・出版物

  1. トップページ
  2. 情報サービス・出版物
  3. 増田信夫の油外放浪記一覧
  4. 油外放浪記記事

増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第51回 格安レンタカーにもCSの時代が到来

消費者行動が変わった!?

平成25年が明けました。
新年のお慶びを申し上げるとともに、この拙文のご愛読を感謝いたします。

昨年の話になりますが、11月実績を前年同月比したものが、 「表1」です(前年実績のない寒川SSは除く)。

客数を確保するため、昨年から燃料油価格は市況対応とし、SS店頭に価格看板を掲げてきました。おかげで燃料油販売量は4SS合計で2kl増、燃料粗利は89,000円減少しました。横ばいですね。世の中、減販組と増販組に極端に二分されているようですから、良しとすべきなのでしょうか。油外粗利も20万円減少しました。経費もやや減少しましたが、昨年より赤字幅は増えてしまいました。

増客のために新規客のリストを獲りDM(ダイレクトメール)を発信していますが、なかなか、増販効果が現れません。昔はDMを出せば20%は再来店してくれたものですが、今は7%です。
どうやら顧客の消費行動が変わってきたのかもしれません。顧客の流動性が下がり、固定化が強まっているのでしょうか。

ある大手ディーラーに聞いたところ、ポイント倍増キャンペーンを試みたら、一定の増販効果があったそうです。またTSUTAYAの関係者に聞いてみると、20歳代の8割が「Tポイントカード」を持っているそうです。少し前までは小売店ごとに独自のポイントを発行し、財布の中は様々なポイントカードでパンパンでした。
それがだんだん集約されたりデジタル化され、貯めるポイントと捨てられるポイントに二極分化しているのかもしれません。
今年は過去のマーケティングにとらわれず、社会構造や消費者像をよく観察し、新たな集客手法を模索したいと思います。

当社セルフSSは3店とも燃料油、油外ともに一進一退ながら概ね改善しました。問題はフルサービスの仲町台SSです。
燃料指数が1.0ポイント悪化しました。油外粗利が前年比150万円減少、このうちレンタカーはマイナス100万円です。
これは人手不足が原因です。募集しても人が集まりません。「フルサービスは嫌」なのだそうです。セルフ給油が解禁されてから15年、今の若い人にとって「SS」とはセルフサービスが当たり前なんですね。派遣会社に頼んでも給油サービスができる人材が見つかりません。

結局、油外販売スタッフが給油作業に手を取られ、油外収益が下がったということでしょう。
レンタカーさえもハンドリングできなくなり、夏に60台近く配備したレンタカーですが、30台に削減しました。

昨年6月から引き継いだ寒川SSも、リスト獲りに励んでいます。半年間で7,000件の顧客リストを獲得しました。
一昔前なら燃料油販売量がとっくに月販300klを軽く超えてもおかしくないリスト獲得数ですが、実態は一進一退。歯がゆいかぎりです(グラフ1)


本命の「車検」には、リスト取りの効果が少し現れ始めました。
やっと月間50台に手が届きそうです。今年は大いに期待しています(グラフ2)


ただ、車検の客単価がまだ低いですね。車1台当たりの粗利が3万円前後と低迷しているので、スタッフを再教育し標準手順の徹底を図っています。
この寒川SSは、メカニックだった人間をいきなり店長に据え、異業種から採用した新人を配備した付け焼き刃の素人集団の店です。マネジメントのレベルは決して高くありません。そんなSSですが、早く黒字化したいと四苦八苦しています。

リピーターが増えなければ
レンタカー稼働率は上がらない

さて前回、レンタカー専業店のハチャメチャぶりを恥ずかしげもなく露呈しました。
オープンしたばかりの鹿児島空港店にどんどん車両を注ぎ込み、夏までに200台を配備して「これでどうだ」とばかりに殴り込みをかけたわけです。しかし、稼働率は50%と惨憺たる結果となりました。

大量の車両を調達し、さらに不眠不休で加修して、高い船賃をかけて輸送したにもかかわらず、なんと半数が「余剰在庫」となったのです。
これはあまりに無謀でした。何で車200台を配備しようと思ってしまったのか。かいつまんで言うと、こういうことです。

ー中古車レンタカーの需要は爆発的に増えており、全国どの店も需要過多状態にある。だから、車両を増やせば増やしただけ売り上げが増える。売り込まなくてもお客様の方から求めてくれる「ほっとけ油外」の最たるもの、それがレンタカー。
つまり、この成長マーケットに対して最も大事なのは車両の供給量であり、QSC(品質、サービス、クレンリネス)は二の次でいい、なんて単純に考えていました。
すごく楽なビジネスモデルのはずでした。しかし、根本的な過ちを犯していました。

レンタカービジネスを支えてくれるのは、やはりリピーターの存在です。リピーターが積み上がるから車両を増やしても稼働するのです。それを、リピーターがまだ少ない店でいきなり適正台数の2倍もの車両を配備したものだから、たちまち供給過剰に陥ったわけです。
考えてみれば、当社はSS兼業店、専業店含め9店でレンタカーを展関していますが、車1台当たりの月間売り上げが10万円を超えることは、過去にほとんどありませんでした。これはどんどん増車しているためでもありますが、QSCをおろそかにしたため、リピーターの積み上げが少なかったのだろうなあと思います。

同じような商圏環境にある同じ「ニコニコレンタカー」ブランドの店で、毎月10万円以上を稼いでいる店が全国にたくさんあるのに、当社のレンタカーはなぜ10万円を超えないのか、これまで不思議で仕方ありませんでした。原因はリピーターの蓄積にあったのです。

ニコニコレンタカーでは、利用客に対して自動的にアンケートメールが送信されます。
「グラフ3」は昨年10月に回答いただいた全国約8,000人の集計結果の一部です。

これを見て落ち込みました。何と、5人に1人が整備不良を訴えています。もちろん不満を抱えるユーザーの回答率が高くなる傾向はありますが、それにしてもエンジン周りやブレーキの不具合は、安全走行上、重大な問題です。ガラスの油膜や異臭は快適さを大きく損ないます。
「まっすぐ進まない」なんて言語道断。すべて日常の点検や清掃でクリアできるものばかりです。

私たちSSは普段、「安全走行のために」「快適なドライブのために」と言いながらヽ顧客に整備や洗車を勧めています。でも自社のレンタカーがこんな実態では恥ずかしい限りです。
当社も含め大いに反省すべきでしょう。私が「ほっとけ油外」を宣伝しすぎたからでしょうか、レンタカーの点検整備や接客さえも「ほっとけ」になってしまっていないかと危惧しています。

実際のところ、アンケート結果の良い店と悪い店に分け、両者のレンタカー稼働率を比較してみると、その差は顕著です(グラフ4)

CS(顧客満足)の高い店はリピーターがどんどん積み上がり、車両を増やしてもしっかり稼働します。

対してCSの低い店はリピーターが積み上がりません。新規客ばかりで稼働率は一向に上がりません。こんな構図が鮮明に浮かび上がりました。

SSレンタカーは次のステップへ

SSによる低価格レンタカービジネスが本格化してから、今年で5年目を迎えます。ユーザーの裾野はどんどん広がっています。広がるにつれ、QSCを厳しく比較しチェックする顧客層が増えたのだと思います。
「安くて走ればいい」とそれだけを評価してくれるおめでたいお客様は少数派となりました。
世の中を見渡しても、最初はシンプルなビジネスモデルでも、市場拡大とともに複雑化しています。SSレンタカーも認知されるとともに、次の過渡期を迎えているのかもしれません。

当社では昨年秋より、ボロい車両、修理に費用のかかる車両をどんどん処分しています。全店で150台ほど減車しました。スタッフの評価基準も、リピーター比率やアンケート結果を加味した制度に見直しました。

接客面も改善しています。
例えば、他店で満タン給油して戻って来たお客様に対しては、どうしてもスタッフの笑顔が引きつってしまいます。いや、笑えない話ですが、お客様が「満タンにして来た」というのも聞かず、なおも自店で給油して「2リッター入りました」なんてバカな接客の例もあると聞きます。「こんな店、二度と来るもんか」とお客様が思うのも無理ありません。

出発時に一言、「ご利用後は当店で給油をお願いします。レンタカーのお客様には特価でサービスしています」と言っておけば、お客様もスタッフも幸せな関係になれますよね。
良質な車に入れ替える、心も入れ替える、「顧客満足」を得るために今年は邁進したいと思います。

油外放浪記一覧へ戻る