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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第49回 ガソリン、車検、レンタカー・・・
悩みの種は尽きない

リスト獲りで客数減少に歯止め

当社は8月から一斉にガソリンの増販活動を開始しました。
かつては直営4ヵ所のSSで月間1,700klのガソリンを販売していました。しかし、果てしなく下落を続け、とうとう月販1,000klを割り込むレベルになりました。
これはガソリンに収益寄与の意義が認められなくなったため、7年前に「減販やむなし」と指示を出したからです。本音を言うと、ここまでガソリン販売量が落ち込むとは思っていませんでした。せいぜい1年もすれば減販も落ち着くとタカをくくっていたのです。

ガソリン販売量は前年同月比で毎月100klも下回り続けました。その結果、7年前と比較すると700klも減ってしまいました。

「表1」は当社が運営する4ヵ所のSSの、7月、8月、9月の実績比較(今期と前期)です。今年6月に引き継いだ寒川SSの分は除いています。

7月は、ご覧のとおり4ヵ所のSSで前年同月比102klの減販です。このままではSS経営を維持するのに必要な最低客数さえも割り込んでしまうのは、時間の問題です。こうした危機感が募り、方針を一転。8月から「ガソリン増販」という方向に舵を切ることにしました。

実行した活動は2つです。
①来店客への悉皆リスト取りと
 来店礼状の発信
②周辺価格に合わせた価格看板の掲示

その成果は直ちに表れました。 ガソリンの減販は8月に止まりました。
とはいえ、市況対応の影響で燃料油収益は340万円ものマイナスです。油外収益が200万円以上増えましたが追いつきません。
まったくガソリンという商品は「進むも地獄退くも地獄」- 増販しても減販しても、手痛い副作用がありますね。

9月は少し市況が改善しました。L当たり3.8円のマージンを確保でき、増販効果と相まって燃料油収益は昨年を少し上回りました。油外収益も増え、総収入は前年比110万円改善しました。この調子で客数を回復し、本命である車検をどんどん獲得するための下地としたいと思います。

リスト獲りの足並みが揃わない

3ヵ年計画で「車検復活」を目論んでいます。その入り口となるのが「リスト獲り」です。
これは客数の確保およびダイレクトメール(DM)や電話コールによる顧客とのコミュニケーション強化を狙うものです。

「表2」を見てください。 「リスト獲得率」とは、「声かけ率」×「リスト記入率」、すなわちリスト獲得対象客に占めるリスト記入者の割合です。

この比率を100%に近づけることが大切なのですが、たった4店舗なのに17~55%と大きなバラツキが生じています。悩ましいところです。

リスト未獲得の新規客が来店すると、車番認識システムが教えてくれます。そしてお客様のところにスタッフが駆け寄って「ご記入ください」とリスト用紙を差し出します。これがいわゆる声かけです。お客様が記入してくれたら作業はそれでお終いになります。手順はいたって簡単です。

仲町台SSはフルサービス店です。店頭には給油アテンダーが配備されているので、「声かけ率」は高く8割以上を示しています。
他の直営4SSはいずれもセルフ運営です。なかなか思うようにいかないものですね。目下注力している寒川SSでさえ、声かけ率は67%です。しかしこれは、気長にやり続ければいいと思っています。声かけができなければ、次回来店時に車番認識システムが再びコールするわけですから・・・。

問題は「記入率」です。
これはリスト用紙を差し出すタイミング、トーク、引き際が肝心です。しかし、他の業務のついでにやっているようだと途端に獲得率は下がってしまいます。リスト取りを断られてしまったお客様には車検の案内を直接行うことができません。

寒川SSはスタッフも業務内容もフレッシュな分、声掛け率が8割を常にキープしており、健闘しています。他の直営SSももう少し手順を守り、リスト獲得率を上げてほしいものです。

レンタカー専業店は苦労する

「表1」に戻りますが、8月の油外収益は4店舗合計で224万円増加しました。ただし、その立役者はレンタカーです。逆に、車検収益は50万円減少しました。車検が復活するまでの間、今後しばらくはレンタカーが油外減少を食い止めてくれるでしょう。

さて当社は直営5ヵ所の全SSがレンタカーを展開し、さらに4ヵ所の専業店を運営し、実証実験を繰り返しています。毎年8月にピークを迎えますが、今年は売り上げが5,000万円を超えました。営業利益も9店舗合計で1,000万円に達しました。

年々成長著しいレンタカー事業ですが、市場の「伸びシロ」はまだまだあると見ています。しかしながら、本稿で再三申し上げていますが、やはり専業で低価格レンタカーを運営する場合、経費をコントロールするのが非常に困難です。

実労働時間以外のアイドルタイムに対し、想定以上の人件費がかかります。賃料にしても、都心部は田舎に比べると割り高です。どう工夫しても3~5倍は余計にかかってしまいます。
車の稼働率も注意深く見ていく必要があります。実験店とはいえ、この夏は、そのニーズ以上に車を投入し過ぎました。さすがに時期尚早だったと反省しています。
また土・日の需要に対応しようと車両を配備すると、稼働率の低い平日は車両があぶれます。この問題を解消するために法人客を獲得したいのですが、すると今度は、営業人件費や販促費が嵩みます。一筋縄ではいかないですね。

直営レンタカーの「全力実験」(失敗実験)を通じて大切なことが分かりました。
 【教訓】
  ①レンタカーの売り上げはリピーターの増加に伴って増える。
だから、リピーターの増加に応じて車両を徐々に増やしていくことが重要である。
    一度にまとめて車両を投入しても売り上げはついてこない。

  ②リピーターの数を増やすことに真剣に取り組む。
すなわち、QSC(品質・サービスークレンリネス)を徹底追求し、
    かつ利用促進のための販売促進活動も重要である。

  ③人件費の使い方が収益を左右する。
人件費のマネジメントに長けた店長でなければ、専業店は務まらない。

-というわけで、いかにして専業で低価格レンタカー事業が成立するか、今なお四苦八苦しています。

車検収益を向上させる
もう一つのアプローチ手法

さて当社はこの9~10月の両月、車検収益改善セミナーを各地で開催しました。たくさんのSS事業者に参加していただくと同時に、大きな反響が寄せられました。そのエッセンスを述べたいと思います。

車検は景気に左右されることもない法定需要に守られた商品です。ですから、行動量に応じた成果がはっきり現れます。この場面においても、多くのSS事業者が「油外の柱はやはり車検しかない」と認識を新たにしていることを実感しました。
にもかかわらず、従来の油外商品の延長線上で車検を考えてはいないでしょうか。
オイルや水抜き剤を売るのと同じ次元で車検をとらえ、販売数量(獲得台数)ばかりに重点を置いているSSが今も多いと感じます。

車検ステッカーを確認のうえ、声かけをするのは良いのですが、よく見かけるSS店頭での行動パターンは、「見積もりをさせてください。すぐ終わりますから」とその場で保安基準部品だけを点検して見積書を作成することです。
仮に車検が受注できたとして、その時点で車検収益まで確定せざるを得ません。これでは車1台当たり2万円前後の租利しか得られません。
タイヤを売る時は、見積もりをどんどん発行すると一定の効果が現れます。しかし、車検の場合、同じ手法を用いると逆効果です。

車検の意味を考え直してください。消費者にとって車検は一種の「記念日」です。車をできるだけ「買った時と同じ状態に戻したい」と考えています。ですから、見積もり内容に納得し、予算内の金額なら、不具合を解消することを厭いません。
そのポイントは「事前点検」です。誤解しないでほしいのですが、車検を受注する「前」の点検ではなく、車検を実施する「前」の点検です。

車検は基本料金やサービス内容を示せば受注できます。受注したら「車検を実施する前に一度ご来店ください。お車をしっかり診て、もし悪いところがあればご案内します」と事前点検の予約をとります。こうして約束した事前点検日に整備を受注するのです。

つまり、点検のタイミングを変えるだけです。これだけのことで必要最低限しか点検できなかったSSが、100項目以上を点検できるようになります。さらに点検の結果をじっくりお客様に説明し、整備の必要性を理解してもらいます。必ず20項目くらいの整備見積書を提示できますから、お客様の意向を確認しながら受注できます。

実際このプロセスを踏み、当社のSSは車1台当たり4万5千円の車検租利を得ています。
と言うと、現場スタッフから必ず反論が出ます。「最近の車は壊れない」「いくら点検しても不具合箇所がない」「必要ないのにお客を騙すのか」などといったものです。もっともな反論です。

しかし「壊れてから直しますか、それとも今のうちに直しておきますか」という予防整備の提案は、お客様へ安心を提案することになります。また快適性、経済性を追及する提案も喜ばれます。トータルカーケアステーションとして、ボディーコーティング、板金、カーディテイリング、各種ケミカル剤、その他あらゆる提案が可能です。

提案を自主規制してはいけません。「買う」「買わない」はお客様が判断することです。普段、給油の際に「ついでにプラス1万円でどうですか」と声かけしても全く売れない商品が、10万円以上の出費を覚悟している車検時だと「プラス1万円ならやってみるか」という顧客心理に変わるのです。

車検客に2万円のコーティングを勧めたら3割が買ってくれたというSSの実証データも報告されています。このように、車検はSSにとって大きな収益機会です。何より車両の状態についてお客様と共有する時間をもつことは、SSに対する信頼感や顧客満足を高めるうえで絶好の機会になります。

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