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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第20回SSレンタカーの足元商圏を考える

SSレンタカー1年間の決算

本連載ではこのところ、「SSレンタカー」について多くを語っています。
毎日のレンタカーの予約状況や、全国のSSレンタカーの売上動向を見ていると、本当に大ブレイクを実感します。

当社のSSでレンタカーのビジネス実験をスタートしたのが1年半前。昨年3月頃からはレンタカーを展開するSSが急速に増え始めました。

昨年3月時点でニコニコレンタカーの店舗数は24か所ありました。当時の平均売上 は299千円。それが1年経ち、同じSSの今年3月の平均売上は815千円です。3倍近くに飛躍しています(グラフ1)。原価(車両維持費)を差し引いた 粗利は62万円ですから、油外の柱として十分な収益源に育ちました。

レンタカー取扱い店舗数も1年間で300店を突破しました。レンタカーだけでL当り10円以上をコンスタントに稼ぐSSもたくさん現れてきました。
洗車やオイルや車検で10円/L増収するのに、どれだけのコストと労力が必要でしょうか? ここでレンタカーの維持費(原価)の話をしておきます。

まず車両の調達費が上げられます。多くは中古車オークションから仕入れ(落札)す るわけですが、高い車も安い車も、稼ぎは変わりません。前回新横浜店が3月にオープンしたことをお伝えしましたが、それに際して1ヶ月間に約30台を仕入れました。本体価格は1台当り89千円、加修費として33千円、合わせて平均122千円で車両を調達しました。これを法定2年で償却します。

その他、税金や保険が定期的にかかりますが、これはコストダウンできません。また定期的なメンテナンス費用もかかります。 これらを合計すると、レンタカーは、1台当り月間2万円の原価がかかると考えていいでしょう。
「粗利益=売上-原価」ですから、原価が固定的にかかる以上、粗利を増やすには売上を最大化することが、レンタカービジネスのポイントの一つです。

足元商圏の世帯数と車保有率に相関

それではレンタカーの売上は何に左右されるか、マーケティングの観点から考えてみます。よく「レンタカーの稼働率」と聞かれますが、稼働率は「1台当り売上」とほぼ比例します。したがってここでは「台当り売上を高める要因」を考えます。
台当り売上が2万円以上なら黒字(成功)、2万円以下なら赤字(失敗)というわけです。

まず店舗商圏の車両保有率は売上にどう影響するでしょうか?
車両保有率とは「商圏内車両台数÷商圏内世帯数」すなわち「一家に平均何台の車両があるか?」を意味します。

車を持っている人でもレンタカーを借りることはよくあることですが、車を持っていない人の方が、より借りる機会が多いのも事実です。

図2は、ニコニコレンタカー店舗の車両保有率をヨコ軸に、その店舗の台当り平均売上をタテ軸にした相関分布図です。

「台当り売上は、車両保有率に反比例する」ことが明らかです。車両保有率が150%以下のエリアでは、SSレンタカーが失敗することはまずないと思われます。


次は、商圏世帯数です。
当然人がたくさん住んでいるエリアほどレンタカー売上は伸びるわけですが、どうでしょう。

図3はヨコ軸に半径2km圏世帯数をとった相関分布です。やはり「台当り売上は、商圏世帯数に比例する」ことが明白です。

半径2km圏に15,000世帯以上ある店舗なら、文句なく成功が約束されていると言えるでしょう。


SSレンタカーの市場規模とシェア

SSレンタカーの可能性を探るために、専門調査会社に委託して定期的に市場調査を実施していますが、最近の調査では、このような結果が出ました。(有効回答1,042件)
(1)SSレンタカーを利用したい人・・・54%
(2)地元で利用したい人・・・・・・・・・・・34%
(3)年間何回利用するか?・・・平均3.05回

SSレンタカーの貸渡し客単価は、1回当り平均6,500円です(全国平均)。したがって、1世帯が年間に支出してくれる金額は、(1)×(2)×(3)×6,500円=3,640円と試算できます。

月間需要は1世帯当り300円となります。もし、半径2km圏に1万世帯があれば、SSレンタカーのマーケットサイズは月間300万円、3万世帯なら900万円、10万世帯なら、何と月間3,000万円となります。
このうち、どれだけシェアを獲得できるでしょうか?

弊社の運営する茅ヶ崎SSは、2km圏に26,000世帯ありますので、マーケッ トサイズは月間7,800千円です。3月のレンタカー売上は3,116千円でしたから、シェアは約40%となります。ところが、冒頭の1年経過した 24SSの平均売上は815千円ですが、その平均シェアを調べてみると、わずか6%でした。

これは、「本来もっと売上が上がっていてもおかしくないのに、平均車両台数がわずか9.9台しかないために、ニーズに応えられていない」ということを意味します。
車両台数が少ないため、需要に供給が追いつかない、だから顧客ニーズに応えられない、シェアが伸びない、売上が伸びない。これがSSレンタカーの現在の実情ではないでしょうか。

この24SSのそれぞれのマーケットサイズから試算してみると、車両を平均21台にすれば10%のシェアを獲得することができ、平均売上は200万円を超えます。
車両21台の原価(車両維持費)は42万円。他にかかる経費は、SSで実施する限り設備費や人件費はかかりません。駐車場費などが増えたとしても、十分な営業利益を手にできます。

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