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増田信夫の油外放浪記  MIC社長増田信夫 第19回「レンタカーステーション」構想に着眼

EVレンタル開始!

待望の電気自動車(EV)が、当社直営の仲町台SSにやって来ました。三菱自動車の「i-MiEV」2台です。
レンタカー事業のシンボリックな存在になればと、神奈川県や横浜市の補助金制度も利用して購入しました。

納車されて2週間ほどの間は、社内で試乗会を行いました。多くの社員が興味津々に乗り込みましたが、その感想を聞くと、凄まじいものがありました。
「アクセルのレスポンスの速さは未知との遭遇」 「自動車がこんなに静かに走って良いのだろうか」 「キャビンが広くて軽自動車とは思えない」 など絶賛の嵐です。

感動のあまり「電気の夜明けは近い!」と坂本龍馬になった者もいました。
これはイケると、満を持してレンタルを開始しました。料金設定は「電気満タンで3時間2525(ニコニコ)円」。i-MiEVの充電走行距離が160kmですから、3時間単位の貸出しです。

物珍しさから、マスメディアはいろいろ報道してくれました。ところが今のところ、 お客様の反応はあまり芳しくありません。お客さんは正直ですね。「走行可能距離」や「レンタル可能時間」が、レンタカーにとっていかに重要であるかを再確 認することになりました。

仲町台SSは横浜市北部にあります。地元で利用する方も多くいますが、片道 100km以上の利用が一般的です。遠方ともなると、千葉の房総半島、群馬県、熱海、中には秋田県や三重県まで走る方もいらしゃいます。しかもまだ世の中 は充電設備のインフラが不十分です。ですから3時間しか走れないことは、EVレンタカーの利用に大きなネックとなっているのが現状です。

しかしEV試乗会の"絶賛"ぶりは、明らかにEV車のドライバビリティの高さを裏付けています。今後のバッテリー性能の改良や充電インフラの拡大にともない、確実に市場を広げていくでしょう。 また動きがあれば、この紙面で報告したいと思います。

新横浜駅に単独店を出店、スタートから絶好調

3月2日に中古車レンタカー店を新横浜駅の至近に出店しました。東海道新幹線下りホームの目の 前のビルの一室を借り、SSとは独立した店舗です。新横浜駅は北口が玄関口であり、洗練された町並みです。しかし当社が出店した南口は「裏口」と言ってよ く、農地や倉庫に囲まれ、人通りのない寂れた風景です。駅出口付近も60年代にタイムスリップしたかのような一杯飲み屋街です。

借りた部屋は築40年の雑居ビル5階。立ち飲み店や金券ショップの横から旧式エレベーターで昇って来店してもらいます。古すぎるエレベーターなので初めての方にはちょっと怖さを感じるかもしれません。

店舗立地としては最悪ですが、以前本連載で述べたように、中古車レンタカーの3要素は備わっています。すなわち、①商圏人口が「多い」 ②自動車保有率が「低い」 ③駅から「近い」という条件が揃っていたのです。

これを信じて、広告宣伝活動はほとんど行いませんでした。ビルの入口付近にノボリ旗と看板を置き、新幹線ホームから見える窓にポスターを貼ったのみで、チラシ折込やポスティング、チラシ配りといった告知活動は一切しない、きわめて静かなオープンでした。

果たして、オープン前からレンタカーの予約ホームページにお客様が殺到しました。車両は当初15台を用意しましたが、最初の土日は稼働率が90%を超え、平日も50~60%です。 すぐに車両を24台、35台と増車しました。しかし増やした分だけ予約が入り、稼働率は変わらず、まだ足りない状況です。

その結果、オープン初月にもかかわらず、245万円を売上げました。 思えば、当社の仲町台SSで初めてレンタカーを開始したのが2年前の夏でした。当時は誰も知りませんから、チラシ、ポスティング、店頭看板、地域ローラー などいろいろ宣伝活動を実施したものです。それでも売上200万円を超えるのに、丸1年かかりました。その間かかった広告宣伝費は1,000万円を下りません。

ところが今や、広告宣伝一切せずに、初月から200万円突破です。
そのポイントは次の3つです。
①横浜市という大きな市場(需要)
②車両をたくさん確保した(供給)
③インターネットでの認知度
レンタカーは、店舗を見てお客様が来店するような通常の小売店とは異なり、あらかじめインターネットで調べて予約してから来てくれるという特徴がありま す。ですから寂しい場所、汚いビル、怖いエレベーターといった悪条件にも、まったく関係ないようです。

当社が加盟するレンタカーチェーンはその点、知名度が群を抜いて高く、インター ネットからアクセスされやすいポジションにあります。試しにGoogle、Yahoo!などで「レンタカー」と検索してみてください。ニッポンレンタカー やトヨタレンタカーに負けず、ニコニコレンタカーが必ず上位にヒットします。
これはアクセス件数が毎日5~6千件ある超人気サイトだからですが、裏を返せば、多くのお客様が一生懸命安いレンタカーを日夜探していることを示します。

SS初!インターネットだけで売れる商材

レンタカーは、極めてWeb向きの商材です。
お客様は目当てのレンタカーホームページを探し、借りたい店舗、日時、車種を指定します。これで商談は成立です。あとは店舗に現れたお客様に、予約の車を貸し出すだけです。そこには大きな潜在市場を感じます。

たとえば、当社チェーンは今、全国に1,500台弱のレンタカーを保有していますが、インターネットからのアクセスは月間15万件です。1台当り100件のアクセスですから、かなりの競争率です。

一方、業界最大手のトヨタレンタリースは乗用車6万7千台に対してアクセス数16万3千件(※)ですから、1台当り2.4件のアクセスです。 (※2010年1月「レンタカー」を含む複合ワード検索件数 Yahoo!調べ)

SSレンタカービジネスは、まさに「娘1人に婿100人」という状態が1年以上続いている訳です。「借りたいのに借りられない」というお客様が今も多数いらっしゃる状態、すなわちSSにとっては「機会ロス」が多く発生しています。
この状態を少しでも解消したいというのが、単独店を出した理由の一つです。 案の定、車両を増やせば増やしただけ、予約が増えたというわけです。

単独店でもう1つ再認識。SSの優位性

ただし単独店をやってみて、思い知ったことがあります。
「レンタカービジネスは、やはりSSでやるに限る」ということです。

新横浜店は、雑居ビルの1室を借りただけではありません。幾つかの駐車場を借り、35台の車両を分散配置しています。スタッフは折りたたみ自転車で駐車場に走ります。
また貸渡しスペースは、お客様には申し訳ないけれども、ゴミ置き場の隣にわずか2坪のスペースを借りました。洗車は少し離れたコンビニの裏で水道の使える場所を借り、手洗いでやっています。

その点、SSはすべての面で有利ですね。当社直営の茅ヶ崎SSは、同じ3月に311万円を売り上げました。しかしオペレーションは比較にならないくらい楽で、他の油外販売にも全く影響がありません(図1)。


コストもSSと単独店とではケタ違いです。
SSではレンタカー車両償却費とその維持費がかかりますが、単独店ではその他に、
・店舗賃料
・人件費(店番と作業者に男性2名、女性1名)
・駐車場、貸渡場所、洗車場所の賃借料
・その他販管費(FAX、パソコン、レジスター、カード端末などリース料含む)
が別途かかります。

ですから245万円を売上げてもまだ損益分岐は突破せず、大きな赤字です。
仕事は大変、コストもかかる。あらためて既存レンタカー店がSSレンタカーに対抗できない理由が実感できた次第です。

SSはレンタカーだけでやれる

もう一つ、SSレンタカービジネスについて、はっきり実感したことがあります。
これまでSSで取扱ってきた商品やサービスは、すべてSSの規模や設備に大きく左右されてきました。

たとえばガソリンをたくさん売ろうと思えば、相当数の計量機や給油スペースが必要 です。洗車収益を上げるには、洗車機、動線、タッチアップスペースの拡充が求められます。車検もオイルもタイヤも、作業スペース、設備機器が、そのSSの キャパシティを制限してしまいます。

ところがレンタカーの場合、SSの規模がハンデになることは全くありません。
レンタカービジネスにおいて、SSとお客様との関係は、敷地面積や施設の規模ではなく、距離の問題だけです。また従来のビジネスは、SS店舗内のスペース を占有し作業することによって売上げが発生します。しかしレンタカーは天下の公道でお客様が売上げを"稼いで"くれます。店舗にスペースが必要なのは、車 両受け渡しの瞬間だけなのです。

3月に311万円を売上げた茅ヶ崎SSは、210坪の小さなSSです。ガソリンや油外収益が低迷する中、人件費を減らしているにもかかわらず、レンタカーだけでガソリン1L当り11円の収益を稼いだという事実は、朗報です。
どうやら小規模SSでも、ガソリンとレンタカーだけで十分に競争力を得ることができそうです。

(表2)に、当社SSの3月実績を示しました。同じ集客力を持つレンタカーでも、SSによって収益レベルが大きく異なることが分かると思います。立地条件が適合するSSは、レンタカーだけで1L当り10円以上の収益を上げることが可能です。


この新しいSS業態を、私は「レンタカーステーション」と呼んでいます。
その構想を、次回以降考えてみたいと思います。お楽しみに。

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