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増田信夫の油外放浪記
MIC社長増田信夫 第17回「激化するSSの生存競争」

脱「ガソリン」経営でないと生き残れない

2010年トラ年にちなみ、某大学の先生から聞いた話ですが「人食い虎」の話をご紹介します。
ある日2人の旅人が森を歩いていました。すると突如、目の前に獰猛な虎が現れました。果たしてこれが噂に聞く"人食い虎"です。逃げるしかありません。し かし人間の脚力では、すぐ追いつかれることは目に見えています。万事休す。とそのとき、一人がかがみ込んで靴ひもを締め直しているではありませんか。もう 一人は、恐怖で顔が引きつりながらも言いました。「今さら靴ひもを締めたところで、逃げ切れるものではないよ」 すると男はうつむいたまま答えます。「いいんだ。君より早く走れば助かるんだから」

ブラックジョークですね。その先生は、国際競争に直面する国内産業の成熟に喩えて話されていましたが、SS業界も同じです。
「不況だ」「車離れだ」「低燃費車だ」と、今後も国内のガソリン需要はどんどん減少し、生存競争が激しくなることは疑いありません。

しかしすべてのSSがなくなるわけではないでしょう。競争力の弱い順番からトラに 食われ、 いずれSS数の減少スピードは鈍化すると思います。今や政府も、自治体も、元売会社も、組合も、銀行も、自身の生き残りに必死です。ですから誰も救いの手 を差し伸べてはくれません。SSは自助努力で、見えないゴールを目指し、少しでも前を走ろうと、喘ぎながらも走り続けるしかないのです。

当社の運営するSSにも、さすがに"トラの足音"が聞こえてきました。1月も、販売量の減少と低い口銭のダブルパンチに見舞わました。(表1)

2年前は1SS平均340万円あった燃料油粗利ですが、昨年1月は180万円、今年1月は140万円と、収益悪化は止まりません。

リーマンショック以降、燃料市況が安くなろうが高くなろうが、数量は伸びず、しかもマージンは低く固定されてしまったように感じます。当社のような中小販売店は、有力量販店の争いに積極参戦できません。ですから価格は市況任せ、したがって燃料収益はダッチロールします。

ですから自助努力でコントロールできるのは油外だけです。いや、給油のついでに買っていだだく「油外商品」という考えでは足りません。「油外」でなはく「事業」として成立するよう業態転換を図ることが急務です。

レンタカー利用者に300人に聞いてみました

レンタカーが好調です。
レンタカーはSSの埋没コスト(施設・人)で運営でき、あらかじめ予約状況が分かりますから、店頭オペレーションもきわめて簡単。他の商品のように販売行動に対するストレスのない典型的な「プル型商品」です。

レンタカーの保有台数に比例して売上が上がります。
昨夏に同一商圏にある仲町台SSと茅ヶ崎SSで、レンタカー50台用意したところ月間売上が500万円を突破したことを書きました。その後も安定的に月商500万円をキープしています。

レンタカービジネスを開始して1年半が経ちますが、先頃、この2店のレンタカー利用者約300人にアンケート調査を実施しました。その結果を披露いたします。(図1)

(1)レンタカー利用回数
リピーターは6割。これは1年半の営業の積み重ねでしょう。すでに6回以上利用されているヘビーユーザーは4人に1人ありました。 また新規客が3割以上存在するということは、まだまだ成長途上にあると思われます。

(2)来店手段
SSまでどうやって来店していただいたか。2店とも地下鉄駅から徒歩圏内にありますので、やはり地下鉄が半数近くを占めます。次いで徒歩が30%です。

(3)レンタカー利用目的
利用目的は多岐にわたりましたが、年末から年始にかけてのアンケートでしたので、「レジャー」が3分の1と多く、次いで「買い物」となりました。時節柄の利用も散見されます。

(4)行き先
ではどこに行ったのか?
2店とも横浜市の北部に位置します。第1位は東京都内。車で30分~1時間圏です。2位は地元横浜。足元でのレンタカー利用も10人ありました。その他、 千葉、箱根、埼玉と続きます。 九州3日間という方もありましたが、SSから半日ないし日帰りできる場所がほとんどです。


SSレンタカーの立地条件は「多い」「低い」「近い」

SSレンタカーにとって立地条件は重要です。
上記のように利用客の大半がSSに近い場所から来ます。したがって「商圏世帯数」が多いSSほど有利です。当社のSSの半径2km圏世帯数は、仲町台SSが約2万世帯、茅ヶ崎SSが2.6万世帯です。

次に商圏内の「車両保有率」です。これは少ないほど良い。大都市ほど車の保有コス トが高いため保有率は少なくなる傾向にあります。当社SSの商圏の車両保有率は117%。つまり1世帯当り平均1.17台の車を保有していることになりま す。車を持っていない人ほど地元でレンタカーを使う機会が多くなりますが、そういう顧客は「最寄り駅」からの距離が意味を持ちます。もちろん近いほど良い わけです。

「商圏世帯数」「車両保有率」「最寄り駅」の3要素を牛丼のキャッチフレーズ風にまとめると、「多い」「低い」「近い」となります。

(表2)はニコニコレンタカー店の「台当り売上」の高い店舗(すなわちのレンタカー稼働率の高い店舗)の一覧です。

レンタカーの売上は、店舗の保有するレンタカー台数にほぼ正比例しますので、ここ では「売上」ではなく「1台当りの売上」を指標としました。商圏内世帯数は、どの店も「多い」ですね。車両保有率も一家に一台あるかないかで、おおむね 「低い」。駅からの距離は、どの店も1km圏内と「近い」ことが分かります。

当社のSSと比較すると、どの店も商圏世帯数、車両保有率に勝る立地にあります。 したがって1台当りの売上は2~5万円高くなっています。 ちなみにレンタカーのコストを考えると、レンタカーの償却費、税金、保険などの原価は1台当り月間2万円弱です。それから駐車場代。「多い」「低い」「近 い」の3要素が揃う都市部は概して駐車場のコストも高いので、工夫が必要です。

その他、広告宣伝費やコールセンターの人件費がかかりますが、これはFCに加盟す るか、自前でやるかで変わります。いずれにせよ、「多い」「低い」「近い」立地条件にあるSSは、車両を何台用意してもフル稼働します。いち早くレンタ カーを事業化すれば、トラに食われずに済むかもしれません。

反省!性懲りもなくオイルキャンペーン

冒頭の(表1)に戻ります。
1月は客数減少にもかかわらずオイル、TBAの収益が増えました。これは3月の車検ピーク商戦に向け、地ならしのためにVIP会員を拡大しようと考え、オイル交換を促進したわけです。

スタッフはオイル交換のおすすめを随分頑張ってくれたと思います。にもかかわらず、オイル、TBAは微増にとどまりました。しかし副作用として「車検」「車販」が落ち込んでしまいました。

駄目ですね。
私は以前、本連載で「油外の重点販売は2品まで」と述べました。 当社SSの場合「車検」と「車販」だったのです。ところがあまりの燃料収益悪化に「1月はオイルも売れ」「オイル交換時にメンテナンスも売れ」と性懲りもなく言ってしまいました。

その結果「車検」「車販」がおろそかになりました。大失敗です。ただ、改めて実感したことがあります。オイル、TBAといった「従来型油外商品」に対するお客様の"買い渋り"がいっそう顕著になっています。不要不急の出費はしないというお客様の「覚悟」すら感じます。

もう迷いません。ニーズがあり、スタッフの努力が報われ、高い収益が得られる「車検」と「車販」。そして顧客の方から求めてくれる「レンタカー」。いわゆる「自動車三品」に「選択と集中」しようと、意を固くした次第です。

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