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増田信夫の「油外放浪記」

「月刊ガソリンスタンド」2019年6月号掲載

SSであることが
「映える」レンタカー

7カ月連続ギネス更新

元号が「令和」に変わり、日本は新しい時代を迎えました。SSビジネスにも新ステージが拓けることを期待したいと思います。

当社のSSの営業利益は昨年10月以来、月間ギネス記録を更新し続けています。
4月の営業利益も、昨年(2018)は295万円でしたが、今年は557万円となりました(表1)。

燃料油粗利が240万円減り、経費も250万円増えたのですが、油外粗利が750万円改善されたため、260万円の増収です。
平成最後の月に有終の美を飾れたことを、スタッフたちとともに喜びたいと思います。

SS商売に逆転満塁ホームランはない

実は、当社にとって4月は長らく「鬼門」でした。3月の車検大需要の反動で、4月はドンと底冷えします。
レンタカーも月末(大型連休の期間中)以外は、あまり稼働しません。雨が多いので洗車も奮いません。

いつしか「4月は赤字やむなし」が当社の常識となっていました。 ところが、2017年を境に「4月も黒字が当たり前」のこととなりました(グラフ1)。

まず着手したのは、車検の抜本改革です。商品力、販促、販売力の強化に3年かかりましたが、4月でさえ、安定的に2,000万円を稼ぎ出せるようになりました。

次に、「新車リース」商品を1年がかりで開発しました。これによって4月でさえ、2,000万円近い車販収益を生むようになりました。

さらに昨年、レンタカーの利益率を改善する新スキームを編み出しました。 これを1年かけて全店に波及させると、レンタカーは、4月でさえ「1,700万円を稼ぎ出す」花形商品の仲間入りをしました。

こうして2013年と比べると、経費は2,000万円以上ふくらみましたが、油外粗利は6,500万円増え、4月でさえ安定黒字化を果たしたわけです。

振り返れば、実に、暗中模索の道のりでした。前例がなく分からないことばかり、行ったり来たりしました。今ならもっと短期間にローコストで到達できただろうな、と思いますが、それは後知恵。分からないからやってみる。そうすると少し分かります。逆に、分からないことが山ほど出てきます。

こうしてくじけずにやり通したからこその、今日の結果なのだと思います。つくづくSSという商売は、あきらめたら終わり。飽きずに追求し続ければ、いつか必ず報われると感じる次第です。

堀之内店の黒字はバブルと消えた

昨年11月に新設オープンした堀之内店に目を移します。
3月は車検とレンタカーの需要獲得に成功し、「オープン5カ月目に黒字!」とお伝えしましたが、やはり4月は馬脚を現しました(表2)。もっとも、これは想定内の事態です。

商品力強化と販売促進にお金をかけ、空から降ってきた顕在需要は、需要期を過ぎると霧消します。今後は、お客様の潜在需要にまで踏み込んで掘り起こすスキルをスタッフに体得させる一方で、これまで後回しにしていた「車販」に力を入れます。まずは「新車リース」という分かりにくい商品を、商圏や来店客にお知らせするキャンペーンの準備にかかります。

馴れ合いがSSをダメにする

堀之内店はオープン以来、新規客を会員化し、さらに、車検を予約していただく活動を行ってきました。これが堀之内店の営業基盤を形成します。ですから、今後もこれをルーチン活動とし、決しておろそかにしてはなりません。

ところが、この活動に暗雲が立ち込めています。 オープン当初、新規採用した初々しいアルバイトたちが、教えられた通りに接客したところ、「会員獲得率8割、車検予約率5割という華々しい成果を挙げました!」と本稿でも報告しました。

ところが、3カ月もすると、初々しさは失われます。接客手順はデタラメになり、行動にムラが生じ、会員獲得率は4割台、車検予約率は2割台に激減しました(グラフ2)。

特に3月は、社員もアルバイトも、車検業務(入庫台数174台)とレンタカー業務(貸し渡し1,003回)に忙殺されたでしょう。学生は帰省したり、卒業して辞めた者もいて、投入人員も減ったでしょう。

でも、オープン当初と比べると新規客の来店数も半減しましたから、必要な行動量も半分です。
やはり、最大の要因は「慣れ」「緩み」だと思います。現場を見ても、緊張感が失せ、マンネリが横行していると感じます。店長に注意を与えました。改善を期待しているところです。

レンタカービジネスは SS兼業と専業ではまったく異なる

ところで最近、レンタカービジネスにおけるSSの優位性を改めて感じています。
スタッフの練度などとは無関係に、あまりにも容易に好結果が出るため、当社のSSは、全店でレンタカーを取り扱っています。堀之内店がオープン5カ月目にあっけなく(瞬間風速ですが)黒字化したのも、まさにレンタカーのお陰です。

車を10台単位で増やせば、100万円単位で売り上げが拡大します。商圏内需要を満たすまで、車両台数とほぼ正比例して売り上げは伸びます。
レンタカーを始めてから1年も経つと、すでにこの仮説は検証されつつありました。

そこで何を血迷ったか、SSだけの展開に満足できなくなりました。いわゆる「レンタカー専業店」をやってみたくなったのです。
SSを造るには億単位のお金がかかります。しかし、レンタカー専業なら、車両仕入れを含めても初期投資は数千万円。リースを活用すれば、キャッシュフローのリスクもありません。

…などと安易に考え、JR新横浜駅前にテナントを借りたのは9年前のこと。たちまち月間売り上げは1,000万円を突破し、ニコニコレンタカーの売り上げランキングでトップに躍り出ました。
さぞや、ホクホクかと思いきや、実は年間5,000万円の大赤字を出していたのです。 SS兼業と専業では、運営の難しさやコスト構造がまった<異なります。固定の家賃や人件費が丸々かかります。

大手レンタカーさんとのガチンコ勝負なので、品質の高い車を用意する必要もあり、広告宣伝費もかかります。朝晩のラッシュ時に合わせて人員を配備すると、昼間は何人ものスタッフを遊ばせることになります。

本当は、大手レンタカー並みの料金をいただきたいところですが、ニコニコレンタカーの格安料金では、貸せども貸せども赤字が累積します。
軽い気持ちで始めたはいいが、底なし沼から抜け出せなくなってしまいました。

ならば、毒を食らわば皿までと今度は、家賃や駐車場代が安く、しかも需要の見込める立地ー地方空港前に出店してみました。
周りは原野なので、地元需要はありません。狙うは、旅行観光需要だけですが、こんなにも季節変動が激しく競争が厳しいものかと愕然としました。
当然ながら、赤字は膨らむばかりです。

ここに至り、もうお手上げです。幸いレンタカーのプロをヘッドハントすることができ、彼に運営の全権を委ねました。

さすが「餅は餅屋」ですね。
SS事業者では、到底考えが及ばない手をどんどん繰り出し、数年で黒字化してくれました。
さらに、出店数も拡大して、専業店数は現在7店。年間1億円の経常利益を生み出すドル箱に成長しました。

損益分岐点の低さが七難隠す

話が逸れました。
専業店と比べ、SSレンタカーの運営は、何とシンプルかと改めて感じているのです。 地元の生活に密着した、ほとんど競争のないマーケットで、人員も設備も兼用できるのがSSレンタカーです。

表3を見てください。
当社の専業店とSS兼業店の収益構造を比較してみました。車1台当たりの売り上げは専業店の方が1~2万円高くなっています。旅行客が主なターゲットなので、単価が高い車を貸し出したり、オプションサービスを一生懸命つけてもらったりしています。また、保険会社など法人営業の成果も大きいでしょう。

その代わり専業店は、車1台当たり経費が2倍かかります。
SS兼業の方が、損益分岐点は圧倒的に低い。だから平日の稼働率が悪くても、客単価が低くても、ド素人経営でも、ほとんど努力せずに利益を確保できるわけです。

顧客満足に力点を置くだけ

唯一努力するとすれば、顧客満足度の維持向上でしょう。生活レンタカーはリピーターが蓄積するほど利益率が向上するのです。

ポイントは3つ
➊需要に見合った車両台数を用意します。
➋接客品質は、日常のSSマネジメントで難なくクリアできます。
➌車両品質は、整備清掃を徹底することと合わせて、人気の高い高年式車両を揃えたいところです。
車両の償却費は高くなりますが、整備や維持費が抑え られるため、却って安くなります。
さらにトラブルなども激減し、良いことづくめです。


表3をもう一度見てください。
SSレンタカーは、コスト負担が小さいために一般貸し渡しだけで1台当たり月間3万円の利益を出せます。

つまり、100台を用意すれば年間利益は、3万円×100台×12カ月=3,600万円。
この利益を安定的に確保できるなら、どれだけ優秀な人材を採用したり、設備投資できることか、ワクワクしませんか。
こんな商品は他にないでしょう。しかもSSでしか出せない利益です。何とも愉快ではありませんか。

国内のマイカー保有率は、若者の「車離れ」もあり、今は4割台。どんどん低下しています。ところが運転免許の保有率は今なお8割以上あり、ほとんど変わっていません。つまり、車を「持たない」けれども、「使いたい」のが、「車離れ」現象の本質だと思います。

「令和」の新時代、私たちSSが躍進する切り札は、レンタカーかもしれません。